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Handel festival: “Israel In Egypt” – Excerpt (1888)

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Handel festival: “Israel In Egypt” – Excerpt (1888)

1888年6月29日、ロンドンのクリスタル・パレスで開催されたHandel festival(ハンデル・フェスティバル)において、Georg Friedrich Händel(ジョージ・フリードリヒ・ヘンデル)のオラトリオ『Israel In Egypt(イスラエル・イン・エジプト)』の一部が演奏されました。この演奏は、音楽録音の歴史において特筆すべき出来事として知られています。

この日、指揮者August Manns(オーガスト・マンズ)のもと、約4,000人の合唱団が「モーセとイスラエルの子ら」を演奏しました。この壮大な合唱は、トーマス・エジソンの外国販売代理人であったGeorge Gouraud(ジョージ・グロー)がエジソンの蓄音機を用いて録音しました。録音は、黄色のパラフィンシリンダーに行われ、録音装置は合唱団から約100ヤード(約91メートル)離れた場所に設置されていました。

当時の録音技術の制約、合唱者数の多さ、録音装置と合唱団の距離、そしてクリスタル・パレスの音響特性などから、録音された音は当初から微かなものでした。さらに、年月の経過とともに音質は劣化し、現在ではかすかに聞き取れる程度ですが、それでも当時の演奏習慣や合唱の規模を知る貴重な資料となっています。

この録音は、長らく現存する最古の音楽録音とされてきましたが、2009年に1860年の「Au Clair De La Lune(月の光)」の録音が発見されたことで、その地位は変わりました。それでも、1888年の録音は、クラシック音楽の大規模な合唱演奏を記録した最初期の例として、音楽史において重要な位置を占めています。

ヘンデルの『イスラエル・イン・エジプト』は、1739年に初演された聖書に基づくオラトリオで、旧約聖書の「出エジプト記」や「詩篇」からの抜粋で構成されています。特に合唱部分が多い作品として知られ、物語の劇的な展開と音楽的表現が特徴です。

クリスタル・パレスでのハンデル・フェスティバルは、1857年に初めて開催され、その成功を受けて3年ごとに開催されるようになりました。1888年のフェスティバルもその一環として行われ、当時の音楽文化の盛況ぶりを示しています。

この1888年の録音は、当時の技術的限界を超えて音楽を記録しようとした試みとして、また大規模な合唱演奏の歴史的記録として、現在でも多くの研究者や音楽愛好家の関心を集めています。

Title

Performer

Authors and Composers

Disc Information

  • タイトル:Handel festival: “Israel In Egypt” – Excerpt
  • 演奏者:Orchestra & Chorus、August Manns(指揮者)
  • 録音日:1888年6月29日
  • 録音技師:Col. George Gouraud, foreign sales agent for Thomas Edison
  • レコード(シリンダー)タイプ):Edison yellow paraffine cylinder
  • 録音場所:England

References