1890年10月に録音された音楽

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1890年10月に録音された音楽

1890年10月は、工業化と自然保護、そして国際化が同じ暦の上で交差した月でした。1890年10月1日、アメリカ合衆国ではヨセミテ国立公園(Yosemite National Park)が創設され、ジョン・ミューア(John Muir, 1838–1914)らの働きかけが、国家が景観と資源を守るという新しい発想を押し広げました。同じ日にはマッキンリー関税法(McKinley Tariff of 1890)が成立し、ウィリアム・マッキンリー(William McKinley, 1843–1901)が主導した保護関税は、ベンジャミン・ハリソン(Benjamin Harrison, 1833–1901)政権下の産業政策として国内外の商流に波紋を広げます。1890年10月11日にはアメリカ合衆国革命の娘たち協会(National Society Daughters of the American Revolution)が創設され、メアリー・スミス・ロックウッド(Mary Smith Lockwood, 1831–1922)らによる系譜と記憶の組織化が、近代の愛国的市民文化をかたちづくりました。さらに1890年10月14日、国際鉄道貨物運送条約(International Convention concerning the Carriage of Goods by Rail)が採択され、鉄道が結んだ市場に共通ルールを与える試みが前進します。保護と開放、自然と工業、地域の記憶と国際標準化がせめぎ合うこの月の空気は、のちに録音物や娯楽商品が広域に流通していく土台とも響き合っていきます。

この月の確認されている録音:0曲

1890年10月の録音に関する情報のまとめ

1890年10月の録音に関する現存資料は、個々の楽曲名よりも「録音の種別」と「本数」、および供給側の回覧(カタログ)といった形で録音活動の輪郭を伝えています。トーマス・アルバ・エジソン(Thomas Alva Edison, 1847–1931)の研究所に由来する業務メモでは、クラリネット、ブラス・カルテット、木琴、バンドなどが依頼先別・日付別に本数で記録されますが、曲目は資料上確認できません。また、コロンビア・フォノグラフ・カンパニー(Columbia Phonograph Company)の1890年10月1日付回覧では、アメリカ海兵隊軍楽隊(United States Marine Band)のシリンダーがジャンル別本数で整理されており、当時流通した録音の構成を推測ではなく「分類と数量」から把握できます。一方で、録音日や発売日が特定できる個別楽曲の情報は、この範囲の資料だけでは限定的です。

1890年10月の録音発注メモに見える「種別」と「本数」

1890年10月の録音に関する一次的な手がかりとして、『The First Book of Phonograph Records』には、依頼先(人物名)ごとに「クラリネット」「ブラス・カルテット」「木琴」「バンド」などの録音種別と本数が日付つきで記録されています。この範囲の記載は、個々の楽曲名よりも、当時の録音がどの種別で、どれだけ必要とされたかを示す性格が強く、曲目は資料上確認できません。

1890年10月9日のクラリネット需要(依頼先別の本数)

『The First Book of Phonograph Records』の1890年10月9日には、シュルツバーガー(Shultzburger, 生没年不明)向けにクラリネット10本、トーマス・アルバ・エジソン(Thomas Alva Edison, 1847–1931)向けにクラリネット8本という形で、同日に複数の依頼先へクラリネット種別の録音が手配されていることが読み取れます。ここでも曲名は示されていません。

1890年10月9日の複製用クラリネット・シリンダー(数量・不良本数・請求)

同じく『The First Book of Phonograph Records』には、ダブリュー・エム・タソン(Wm Tuson, 生没年不明)について「1890年10月9日」の項目があり、ピアノ付きのクラリネットとして「複製用クラリネット・シリンダー48本」、請求(charge)105、さらに「不完全なシリンダー9本」という注記が見えます。これは、録音物が流通や複製の工程に組み込まれ、品質管理や請求が具体的な数値として扱われていたことを示す断片資料です(曲名は資料上確認できません)。

1890年10月19日の混成注文(ブラス・カルテット/クラリネット/木琴/バンド)

『The First Book of Phonograph Records』の1890年10月19日には、ミスター・ハイセ(Hiese, 生没年不明)向けとして合計6本の内訳が示され、ブラス・カルテット2本、クラリネット1本、木琴2本、バンド1本という複数種別の組み合わせが確認できます。同日にはオーキンクロス(Auchincloss, 生没年不明)向けのクラリネット6本という記録もあり、10月中旬にはクラリネット需要と、複数種別を束ねた注文の両方が並行していたことが分かります(いずれも曲名は資料上確認できません)。

1890年10月20日の注記(ガルバノメーター室)と録音場所の手がかり

1890年10月20日の項目では、トンプソン(Thompson, 生没年不明)に「ガルバノメーター室(galvanometer room)」という注記が添えられ、ブラス・カルテット6本が記録されています。さらに「エー・オー・テイト宅(A. O. Tate House)」の記載も同じ並びで確認でき、少なくとも記録上は、研究所内の部屋名や個人宅名が録音関連のメモに登場します(この部分だけから、実際の録音実施場所や運用の詳細までは断定できません)。

1890年10月1日付回覧に見るアメリカ海兵隊軍楽隊の提供体系(区分による整理)

『The Recordings of the Columbia Phonograph Company 1889-1896』には、1890年10月1日付の「アメリカ海兵隊軍楽隊(United States Marine Band)回覧」が存在することが示されています。この回覧は、曲目を「行進曲」「ワルツ」「ポルカ」「ギャロップ」「ヨーク」「その他」といった区分で整理し、注文は区分・番号・名称で行う旨を掲げています。個々の録音日を示すというより、当時入手できる(提供される)レパートリーを、ジャンル区分で束ねて提示する形式の資料です。

日付が特定されている楽曲の録音・リリースに関するもの(1890年10月)

1890年10月1日:コロンビア・フォノグラフ・カンパニー(Columbia Phonograph Company)によるアメリカ海兵隊軍楽隊(United States Marine Band)の回覧(カタログ)。区分(行進曲/ワルツ/ポルカ/ギャロップ/ヨーク/その他)ごとに曲目が列挙されています。