1891年1月に録音された音楽
1891年1月は、政治と社会不安、そして近代化の影が同時に濃く映った月でした。日本では内村鑑三不敬事件が起き、国家と教育・信仰の関係が公的論争となりました。続いて帝国議会議事堂(Imperial Diet Building)が火災で焼失し、新制度を支える象徴空間の脆さも露呈します。南米ではチリ内戦が始まり、マヌエル・バルマセダ(Manuel Balmaceda, 1840–1891)政権と議会派の武力衝突が海軍力を軸に展開しました。欧州ではポルトガル王国で共和派の蜂起が発生し、対外屈辱への反発が体制動揺へつながります。太平洋ではハワイ王国でリリウオカラニ女王(Liliʻuokalani, 1838–1917)が即位し、主権をめぐる緊張が高まります。産業面ではアメリカ合衆国のペンシルベニア州で炭鉱爆発が起き、多数の死者を出して安全の課題を突きつけました。
この月の確認されている録音:0曲
1891年1月の録音に関する情報のまとめ
1891年1月の録音については、現存する一次資料の多くが「年月日」までを連続して示さないため、月単位で確定できる情報は限られます。たとえばコロンビア・フォノグラフ・カンパニー(Columbia Phonograph Company)のカタログ群は1890年12月22日付の次が1891年6月1日付として整理されており、1891年1月時点の販売曲目や新録音の動きは資料上確認できません。また、ノース・アメリカン・フォノグラフ・カンパニー(North American Phonograph Company)の流通網で扱われたエジソン・フォノグラフ・ワークス(Edison Phonograph Works)制作の「音楽フォノグラム」は別系統として扱われるため、1891年1月の録音状況をまとめる際は、会社別・系列別に「未確認」を明記して整理する必要があります。
コロンビア・フォノグラフ・カンパニーのカタログ上の空白(1890年12月22日–1891年6月1日)
コロンビア・フォノグラフ・カンパニー(Columbia Phonograph Company)について、公開されているカタログ整理資料では、1890年12月22日付の次に確認できる日付付きカタログが1891年6月1日付として示されています。このため、1891年1月に同社が新録音や新規追加曲目を出したかどうかは、当該資料からは資料上確認できません。
- https://archive.org/details/ColumbiaPhonograph1889-1896
- https://archive.org/stream/ColumbiaPhonograph1889-1896/Columbia%20Phonograph%201889-1896_djvu.txt
ノース・アメリカン・フォノグラフ・カンパニーのコイン投入式運用の差止
ノース・アメリカン・フォノグラフ・カンパニー(North American Phonograph Company)について、ライブラリー・オブ・コングレス(Library of Congress)の解説では、コイン投入式の展示・運用ビジネスをめぐる差止が述べられており、1890年12月の一時差止が1891年1月に恒久化した経緯が示されています。この記述は、当月の具体的な録音題目の増減を直接示すものではありませんが、当時のフォノグラフ事業が再生機の設置・運用と結びついていた状況を示しています。
トーマス・アルバ・エジソン関連文書にみえる流通・保守の実務
トーマス・アルバ・エジソン(Thomas Alva Edison, 1847–1931)のデジタル公開文書には、1891年1月10日付で州レベルの販売・サービスに関する書簡があり、差出人としてグレンジャー・ファーウェル(Granger Farwell, 生没年不明)が示され、ノース・アメリカン・フォノグラフ・カンパニー(North American Phonograph Company)への言及も確認できます。また1891年1月28日付の書簡では、機器・付属品に関するやり取りが記録されています。これらの文書からは、1891年1月の具体的な録音題目を確定することはできませんが、当時のフォノグラフ事業における販売・保守・機器供給に関する実務の一端が確認できます。
- https://edisondigital.rutgers.edu/document/D9152AAD
- https://edisondigital.rutgers.edu/document/LB047123
エジソン系「音楽フォノグラム」が別系統として分岐する点
コロンビア・フォノグラフ・カンパニー(Columbia Phonograph Company)の整理資料では、「音楽フォノグラム」がエジソン・フォノグラフ・ワークス(Edison Phonograph Works)制作で、ノース・アメリカン・フォノグラフ・カンパニー(North American Phonograph Company)配給の系統であることに触れつつ、当該整理の対象には含めない旨が明記されています。この記述からは、同時代の録音物がカンパニーや流通系列の違いによって整理対象が分かれていたことが確認できます。
- https://archive.org/details/ColumbiaPhonograph1889-1896
- https://archive.org/stream/ColumbiaPhonograph1889-1896/Columbia%20Phonograph%201889-1896_djvu.txt
