1903年11月に録音された音楽
1903年11月2日、イギリスでアルフレッド・ハームズワース(Alfred Charles William Harmsworth, 1865–1922)が新聞デイリー・ミラー(Daily Mirror)を創刊しました。11月10日、アメリカ合衆国でメアリー・アンダーソン(Mary Elizabeth Anderson, 1866–1953)の「窓清掃装置(Window-cleaning device)」が特許として成立し、車両前面ガラスの除雪・除氷を想定した機械式ワイパーの原型が公的に記録されました。11月3日、パナマ共和国(Republic of Panama)がコロンビア共和国(Republic of Colombia)からの独立を宣言し、アメリカ合衆国は11月6日に承認へ動きます。11月18日にはアメリカ合衆国のジョン・ヘイ(John Hay, 1838–1905)とパナマ側代表フィリップ=ジャン・ブナウ=ヴァリヤ(Philippe-Jean Bunau-Varilla, 1859–1940)によりヘイ=ブナウ=ヴァリヤ条約(Hay–Bunau-Varilla Treaty)が調印され、運河地帯をめぐる国際政治が加速しました。11月17日、ブラジル連邦共和国(Federative Republic of Brazil)とボリビア共和国(Republic of Bolivia)はペトロポリス条約(Treaty of Petrópolis)に署名し、アクレ地域(Acre)をめぐる係争の枠組みを定めます。同月、バージニア州リッチモンドではマギー・レナ・ウォーカー(Maggie Lena Walker, 1864–1934)が主導したセイント・ルーク・ペニー・セイヴィングス・バンク(St. Luke Penny Savings Bank)が営業開始とされ、黒人コミュニティの金融制度づくりが具体化しました。
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1903年11月の録音に関する情報のまとめ
1903年11月号のエジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly、第1巻第9号)は、ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)が業界向けに配布した月刊資料として、翌12月出荷分のエジソン・ゴールド・モールデッド・レコード(Edison Gold Moulded Records)の新譜予告を中心に構成されています。あわせて、英国向け・フランス系カナダ向けの特別リストを同梱し、地域別レパートリー供給の実務(発注期限・出荷延期の留保など)を明文化しています。また本文では、他社による廉価化(25セント化)を受けた市場状況に触れつつ、価格維持と品質差の主張を展開しています。広告面では、クランプ式ホーン・クレーンのような大型ホーン対応アクセサリーも提示され、再生環境の拡張が商品訴求の一部になっていることが確認できます。
1903年12月新譜(25点)の事前告知
「1903年12月の新エジソン・ゴールド・モールデッド・レコード(Edison Gold Moulded Records)」として、番号8549–8573の25点が事前リスト化されています。本文では、出荷は1903年12月1日頃を目標とし、ジョバー(卸)の在庫注文は1903年11月15日以前の発注分を対象に出荷するとされています。また、12月の補遺(サプリメント)は1903年12月1日の日付で作成し、在庫注文に添付して送付すること、リテール(小売)は速やかにジョバーへ在庫注文を出すこと、12月新譜の注文は他件と分けて専用注文用紙に記載することなど、受注・出荷のオペレーションが具体的に指示されています。末尾には「標準サイズのみで製造」「標準盤とコンサート盤はいずれも注文可能」「コンサート盤は番号にCを付す」旨が明記されています。
英国・フランス系カナダ向け特別リスト
同号には、英国向け・フランス系カナダ向けの「特別事前リスト」が別立てで掲載され、番号12828–12863(英国向け)および12876–12912(フランス系カナダ向け)の録音が列挙されています。出荷は可能であれば12月新譜と同送とされる一方、ジョバーの在庫注文は1903年11月15日以前が条件であり、さらに「通常新譜の需要が大きい場合は、これら特別録音の製造が間に合わず出荷を延期し得る」旨の留保が明文化されています。特別補遺(サプリメント)を別途発行し、注文したジョバーにレコードとともに送付すること、発注書を通常品と分けることも指示されています。
25セント化への反応(価格維持と「バーゲン・ロット」化の指摘)
巻頭記事「GOOD RECORDS AND OTHERS.」は、他社が自社レコード価格を1枚25セントに引き下げたことに触れつつ、ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)がエジソン・フォノグラフ(Edison Phonograph)およびレコードの価格を変更しない方針であることを述べます。続きでは、値下げされた廉価レコードが「固定価格を失い」、小売で「1ダース1ドル」や、デパートメント・ストアで「15セント」の客寄せ販売が行われている、といった市場状況を具体例として挙げています。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1903-Vol-1.pdf#page=121
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1903-Vol-1.pdf#page=124
クランプ式ホーン・クレーン(大型ホーン対応アクセサリー)の広告
広告ページに「No. 18 New Clamp Horn Crane(patent applied for)」が掲載され、36インチまでのホーン、および20½インチのベルに対応すると説明されています。取り付けは短時間で、キャビネットにネジを打たず「外観を損なわない」とされ、ニッケルメッキ仕上げ、価格2.00ドルが明記されています。販売者としてヴィクター・H・ラプケ(Victor H. Rapke, 生没年不明)の表記があり、所在地はニューヨーク市セカンド・アヴェニュー1661番地と記載されています。
