1903年9月に録音された音楽
1903年9月1日、砂糖条約(Sugar Convention)が発効し、砂糖補助金(bounty)をめぐる国際取引の枠組みが動きました。1903年9月3日にはアメリカズカップ(America’s Cup)でリライアンス(Reliance)がシャムロックIII(Shamrock III)を退け、挑戦シリーズが決着しました。1903年9月15日–17日には1903年ニュージャージー・ハリケーン(1903 New Jersey hurricane)がアメリカ合衆国ニュージャージー州沿岸を襲い、大きな被害を出しました。天文学では1903年9月21日に皆既日食(Total solar eclipse)が発生し、南極域と南インド洋を中心に観測可能域が広がりました。政治では1903年9月24日、エドマンド・バートン(Edmund Barton, 1849–1920)がオーストラリア連邦首相を辞し、アルフレッド・ディーキン(Alfred Deakin, 1856–1919)が後任に就きました。通信制度では1903年9月26日、ニュージーランドが無線電信法(Wireless Telegraphy Act)を制定し、無線通信を法制度として整備する動きが前進しました。
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1903年9月の録音に関する情報のまとめ
1903年9月のナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)の業界紙『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)』では、旺盛な需要により8月レコードの出荷が8月下旬までずれ込んだことが述べられ、供給体制の逼迫が読み取れます。同号は1903年10月向けの新譜アドバンスリストを掲げ、ジョバー(Jobber)と小売ディーラー(Retail dealer)に対し、期日までの在庫発注と事務処理の分離(10月レコードの件は別書式で発注する等)を求めています。内容面では、日本語レコードの供給開始と、英語圏で知られた旋律に日本語詞をのせた題目が含まれる点が紹介されています。さらに、反復再生用の新型リピーティング・アタッチメントの機構説明、外国語レコード・カタログ新版への切替予定など、販売促進と周辺機器の改良情報が同月の紙面に集約されています。
出荷遅延と10月新譜アドバンスリスト
同号は、レコード需要が強く、8月レコードの出荷が8月25日以降まで続いたことを記し、在庫供給が注文に追いつきにくい状況を示しています。あわせて1903年10月向けの新譜アドバンスリストを掲載し、所定期日までにジョバーの在庫発注が行われた場合、10月1日頃の出荷を目標に手配する旨を述べています。
- https://archive.org/download/edisonphonograph01moor/edisonphonograph01moor.pdf#page=89
- https://archive.org/download/edisonphonograph01moor/edisonphonograph01moor.pdf#page=90
日本語レコードの供給開始と内容紹介
同号は、日本語レコード案内のフォルダ(Form 464)を8月の回覧物に同封して発送したこと、そして当時点で日本語レコードの注文供給が可能になったことを述べています。収録者については、例外を除きソキチ・クヅオコ(Sokichi Kudzuoko, 生没年不明、氏名の日本語表記不明)によるものと紹介し、いくつかの題目がオールド・ラング・サイン(Auld Lang Syne)等の英語圏で知られた旋律に基づく点を具体例として挙げています。
新型リピーティング・アタッチメント
同号は、新型リピーティング・アタッチメント(New Style Repeating Attachment)の構造と動作原理を図とともに説明し、トライアンフ・フォノグラフ(Triumph Phonograph)等への装着例を示しています。録音媒体そのものの新譜告知と並行して、反復再生を可能にする周辺機構の改良が販売訴求点として扱われていたことが確認できます。
外国語レコード・カタログ新版への切替
同号の印刷物案内では、外国語レコード・カタログ(Catalogue of Foreign Records、Form 381)の在庫が尽き、以後の注文は9月中に新しい版へ切り替えて供給する予定であることが述べられています。新版への切替にともない、注文処理の遅延が起こり得る点もあわせて説明されています。
