1921年12月に録音された音楽
1921年12月は、第一次世界大戦後の国際秩序と各国の内政再編が並行して進んだ月でした。12月6日には英愛条約(Anglo-Irish Treaty)が調印され、アイルランド自由国成立への道筋が定まりました。同じ12月6日のカナダ連邦総選挙ののち、12月29日にはウィリアム・ライアン・マッケンジー・キング(William Lyon Mackenzie King, 1874–1950)が首相に就任しました。12月10日のノーベル賞授与関連行事では、アナトール・フランス(Anatole France, 1844–1924)がノーベル文学賞を受け、カール・ヤルマル・ブランティング(Karl Hjalmar Branting, 1860–1925)とクリスチャン・ラウス・ランゲ(Christian Lous Lange, 1869–1938)がノーベル平和賞を授与されました。さらに12月13日には四国条約(Four-Power Treaty)が調印され、12月23日にはラビンドラナート・タゴール(Rabindranath Tagore, 1861–1941)が構想したヴィスヴァ・バーラティ(Visva-Bharati)が独自の憲章を備えた公的団体となりました。
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1921年12月の録音に関する情報のまとめ
1921年12月の同時代業界誌では、年末商戦に向けて各社が販売店網の拡張、地方卸の整備、店頭実演、広告投入、価格調整、販売教育を同時に進めていたことが確認できます。大手メーカーの全国施策だけでなく、地域卸や専門店の新設、新会社の立ち上げ、地方市場での継続販促も目立ち、需要回復を見込んだ準備が広い範囲で進んでいました。同月資料上では、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)、コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)、ブランズウィック=バルク=コーレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)、ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)、エオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン(Vocalion)、ゼネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corporation)のオーケー・レコード(Okeh Records)、パテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Co.)、カメオ・レコード社(Cameo Record Corp.)、グランビー・フォノグラフ社(Granby Phonograph Corp.)、ジュエット・フォノグラフ社(Jewett Phonograph Co.)、スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)のジェネット・レコード(Gennett Records)で具体的な活動が確認できます。
ヴィクター
12月15日号のピッツバーグ報告では、C. C. メラー社(C. C. Mellor Co.)の卸ヴィクター部門が、当時の需要水準としては満足できる販売量を報告し、とくに高級機種の年末需要を見込んでいました。担当者のトーマス・T・エヴァンス(Thomas T. Evans, 生没年不明)は直前にニューヨークとカムデン工場を訪れており、年末商戦に向けた供給確認も進められていました。
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コロムビア
12月15日号の同じピッツバーグ報告では、コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)の現地事務所が年末の大きな需要を見込み、直近数日でグラフォノーラ5車分が販売店向けに動いたと報じられました。レコード面でも実売ベースで人気上昇が語られ、11月比および前年12月比での伸びを期待する発言が掲載されています。
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トーマス・A・エジソン社
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、12月5日付オレンジ発の記事として、全米横断の販売学校計画がほぼ整い、販売店とその代表者の登録が2,000人を超え、22都市で22クラスの設置が確定したと報じられました。最初の授業は1922年2月にボストンとフィラデルフィアで同時開始予定とされ、販売教育を通じて販路を立て直そうとする年末時点の会社方針が明確に示されています。
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ブランズウィック
12月上旬の記事では、ミシガン州マスキーゴンにブランズウィック=バルク=コーレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)製品を前面に出す「Brunswick Music Shop」が新設され、西ウェスタン街91番地に新店舗が開いたことが報じられました。さらに12月15日号には、ハードマン・ペック社(Hardman, Peck & Co.)が五番街店をブランズウィックの新たな販売拠点として打ち出す大型広告が掲載され、都市部での販売拠点強化も確認できます。
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ソノラ
12月15日号では、ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)のシギノー工場が年末需要に向けた急増注文でフル稼働していると報じられました。過去6週間で工員数は600人まで増え、さらに増員を続けながら出荷体制を強化しており、年末商戦への生産集中が明瞭に確認できます。
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ヴォカリオン
12月初頭のクリーブランド記事では、エオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン(Vocalion)について、オハイオ州向け卸会社が新たに組織され、機械とレコードの常備在庫を置く体制が整えられたと報じられました。さらに12月15日号のピッツバーグ報告では、クリスマス前の前倒し注文が予想を上回り、新規販売店の追加も進んでいたことが確認できます。
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オーケー
12月3日付アトランタ記事では、ゼネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corporation)のオーケー・レコード(Okeh Records)を専門に扱う店舗「The Okeh Record Shop」がディケーター街73番地に開店したと報じられました。記事では、オーケー盤への需要増加を理由に専業化したこと、あわせて地域的な販売促進策も計画されていることが記されています。
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パテ
12月初頭のインディアナポリス報告では、パテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Co.)の機械販売は前年並みながら、レコード販売は急速に持ち直していると伝えられました。さらに12月15日号のピッツバーグ報告では、実演者ジャック・バーネット(Jack Barnett, 生没年不明)を使った店頭実演が行われ、地区販売責任者はクリスマス期の取引増を見込んでいました。
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カメオ
12月15日号では、カメオ・レコード社(Cameo Record Corp.)が新会社として設立され、資本金190万ドル、50セント盤の製造販売を掲げて発足したと詳報されています。エドワード・N・バーンズ(Edward N. Burns, 生没年不明)が社長となり、ジョーンズ録音研究所(Jones Recording Laboratories)が吸収され、録音・事務機能がニューヨーク西38丁目に集約されたことも記されています。
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グランビー
12月1日付セントルイス記事では、グランビー・フォノグラフ社(Granby Phonograph Corp.)の「Granby Week」に始まる広告企画がその後も継続され、日刊紙・日曜紙広告と店頭ウインドー展開が販売成果を上げていると報じられました。さらに12月5日付ハイポイント記事では、サザン・ファーニチャー・マーケットでの展示が注目を集め、新規取引先の開拓にも成功していたことが確認できます。
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ジュエット
12月15日号では、ジュエット・フォノグラフ社(Jewett Phonograph Co.)のアレガン工場がほぼ24時間体制で稼働していると報じられました。記事では受注超過と繰り返し注文の多さが強調されており、供給が追いつかないほどの需要を抱えながら年末出荷を急いでいたことが読み取れます。
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ジェネット
12月の業界誌では、スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)のジェネット・レコード(Gennett Records)が戦前水準への値下げを実施し、85セント盤と1ドル盤を75セントと90セントに改めたことが報じられました。あわせてフィラデルフィアでは75セントの12月リスト配布が確認でき、同月の景況見通し記事でもジェネット盤の販売増加がとくに目立つと述べられています。
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