1921年10月に録音された音楽
1921年10月は、第一次世界大戦後の国際秩序再編と大衆文化の拡大が同時に進んだ月でした。10月11日にはロンドンでイギリス政府とアイルランド側代表の条約交渉が始まり、のちの英愛条約(Anglo-Irish Treaty)へつながる局面が開きます。上シレジア問題では、国際連盟(League of Nations)の勧告を受けて列国大使会議(Conference of Ambassadors)が国境分割を採択し、戦後ヨーロッパの境界画定が前進しました。10月19日にはポルトガルのリスボンで「血の夜」と呼ばれる政変的暴力事件が起こり、政情不安が深まりました。アメリカ合衆国ではワールドシリーズ(World Series)がラジオ放送と結び付いて進み、スポーツと新しいメディアの関係がいっそう可視化されます。さらに10月下旬には大型ハリケーンがフロリダ西岸を襲い、自然災害の大きさも広く記録されました。
この月の確認されている録音:0曲
1921年10月の録音に関する情報のまとめ
1921年10月の録音業界では、新発明そのものよりも秋季商戦への対応が目立ちました。トーキング・マシン各社は、店頭実演、トーン・テスト、見本市展示、教育用途への販路拡張、多言語カタログの強化、人気楽団を前面に出した販促などを通じて、機械本体とレコードの双方を動かそうとしていました。当月の同時代業界誌では、価格改定や供給不安への反応も見えますが、全体としては販売網の再活性化と地域別需要の掘り起こしが中心課題だったことが確認できます。
ヴィクター
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)系では、オペラ講座をヴィクトローラとレコードで補助する催しが報じられ、家庭娯楽だけでなく音楽教育との接続も意識されていました。加えて、販売店大会では学校へのヴィクトローラ設置も論じられており、1921年10月の販路拡張は教育市場を含むものだったと整理できます。
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コロムビア
コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)では、地方見本市、新聞広告、店頭集中販売を組み合わせたグラフォノーラ拡販が各地で進められていました。さらに同社経営陣は、値下げ観測や新型投入観測を否定し、グラフォノーラとコロムビア・レコードの供給継続を明言しており、1921年10月には市場の不安を抑えつつ販売を維持する姿勢が見えます。
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ブランズウィック
ブランズウィック=バルク=コーレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)は、イシャム・ジョーンズ楽団の宣伝を秋季販促の中心に据え、複数州の販売店へウィンドー表示材を供給していました。あわせて外国語カタログの新レコード群も紹介されており、ダンス音楽の人気と移民市場の双方を意識した営業展開が確認できます。
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エジソン
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、カンザスシティー地区の販売競争で多数の販売店が参加し、まとまった販売実績を上げたことが報じられました。さらにトーン・テストの継続開催と、フランス語・ポーランド語・ノルウェー語・ロシア語のリ・クリエーション盤拡充も伝えられており、実演販売と多言語レパートリー強化を並行して進めていたことが分かります。
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オーケー
ジェネラル・フォノグラフ・コーポレーション(General Phonograph Corporation)のオーケー・レコード(Okeh Records)系では、シカゴ地域で需要改善と即納用注文の増加が報じられ、秋季商戦への期待が示されていました。また、新しいアイルランド歌曲を特色ある録音として押し出しており、民族的・地域的レパートリーを販促に活用する姿勢が確認できます。
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ヴォカリオン
サイセス・ヴォカリオン社(Scythes Vocalion Co., Ltd.)は、トロントの博覧会で防音バンガロー付きの展示を行い、ヴォカリオンとヴォカリオン・レコードを体験型に紹介しました。1921年10月の同社は、博覧会空間を使って試聴と実演を組み合わせる販売方法を重視していたとみられます。
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パテ
パテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Company)系では、州博覧会で多数の見込み客情報を集め、それを州内販売網へ配分して追客に活用する動きが報じられました。加えて、募金演奏会で機械再生を用いた公開実演や、新たな代理店獲得も伝えられており、1921年10月には実演と販路拡張の両面で活動が確認できます。
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チェイニー
チェイニー・フォノグラフ販売社(Cheney Phonograph Sales Corp.)では、価格改定後に販売が再加速し、音楽商大会での展示と実演を通じて新規取引先を獲得したことが報じられました。この月の同社は、価格調整後の回復局面に入り、展示会を販路拡大の足場としていたことが確認できます。
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ソノラ
ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Company, Inc.)については、ミルウォーキーでの販売好調と新規取扱店の拡大が報じられました。中心街店舗での大規模展示計画も伝えられており、1921年10月の同社は販売網拡張を具体的に進めていたことが分かります。
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