1923年6月に録音された音楽

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1923年6月に録音された音楽

1923年6月は、政治秩序の再編と新技術の実証が並行して進んだ月でした。アメリカ合衆国ニューヨーク州では6月1日、州の禁酒取締法であるミュラン=ゲージ法(Mullan-Gage Act)が撤回され、禁酒法運用の重心が州から連邦へ移りました。ブルガリア王国(Kingdom of Bulgaria)では6月8日–9日のクーデターでアレクサンダル・スタンボリイスキ(Aleksandar Stamboliyski, 1879–1923)政権が倒れ、政局が急変しました。中国では6月12日–20日に中国共産党第三回全国代表大会(The Third National Congress of the Communist Party of China)が開かれ、中国国民党(Kuomintang)との統一戦線方針が採択されました。イギリスではメイベル・フィリプソン(Mabel Philipson, 1886–1951)が6月にイギリス庶民院(House of Commons)で活動を始め、女性議員史の一節となりました。イタリア王国(Kingdom of Italy)のシチリア島では6月17日にエトナ山(Mount Etna)が大きく噴火し、東部地域に被害を与えました。さらに6月27日にはアメリカ陸軍航空隊(U.S. Army Air Service)が空中給油の成功実験を行い、長距離飛行技術の発展に新しい段階を開きました。

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1923年6月の録音に関する情報のまとめ

1923年6月の録音業界では、都市部での新譜販売、地方への出張録音、そしてラジオ放送への対応が同時に進んでいたことが確認できます。コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)では新方式盤の販売好調が報じられ、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)では6月発売の新譜供給が継続していました。ブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)では放送出演の統制が見え、オットー・ハイネマン・フォノグラフ・サプライ社(Otto Heineman Phonograph Supply Co.)のオーケー・レコード(OKeh Records)では南部出張録音が進みました。スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)のジェネット・レコード(Gennett Records)でも月末録音が確認でき、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)とエオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン(Vocalion)でも販売・放送対応の動きが見えます。

コロムビア

コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)では、1923年6月15日付の業界誌で新方式盤の売れ行きが好調と報じられており、同月の市場で同社の新譜供給が強い位置を保っていたことが分かります。6月20日付広告では、ポール・スペクト(Paul Specht, 1895–1954)の楽団盤やベッシー・スミス(Bessie Smith, 1894–1937)のレコードを含む新譜広告が確認でき、6月末時点の録音一覧にも同月日付のコロムビア盤が複数見えます。

ヴィクター

ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)では、6月15日付新聞広告に「New Victor Records On Sale Today」とあり、6月発売の新譜供給が確認できます。6月22日付の録音一覧にも同社マトリクスが見え、販売と録音が月内に継続していたことが分かります。

ブランズウィック

ブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)では、1923年6月号の業界誌見出しとして、所属アーティストの放送出演に会社の許可を要する旨が確認でき、ラジオ時代における出演統制が具体化していました。6月22日付の録音一覧にも同社マトリクスが見え、放送対応と録音継続が並行していた月だったことが分かります。

オーケー

オットー・ハイネマン・フォノグラフ・サプライ社(Otto Heineman Phonograph Supply Co.)のオーケー・レコード(OKeh Records)では、ラルフ・シルヴェスター・ピア(Ralph Sylvester Peer, 1892–1960)が1923年6月中旬にアトランタで出張録音を行っていたことが確認できます。6月30日付一覧にも同月録音のオーケー盤が複数見え、同社がニューヨーク以外での現場録音を拡張していた時期だったことが分かります。

ジェネット

スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)のジェネット・レコード(Gennett Records)では、1923年6月30日付の録音一覧に8427–8430など同月日付のマトリクスが確認でき、月末にかけても録音活動が継続していました。6月の時点で同社が新規録音を止めていなかったことは、この月末資料から確認できます。

エジソン

トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、1923年6月15日号の業界誌でニュー・エジソンの再現性を前面に出した販売訴求が確認できます。同月の業界誌見出しには、同社所属アーティストの放送出演支援に触れた記事も見え、販売と放送対応の両面で活動していたことが分かります。

ヴォカリオン

エオリアン社(The Aeolian Company)のヴォカリオン(Vocalion)では、アメリカ議会図書館(Library of Congress)の所蔵目録に「Vocalion Red Records, June 1923」が確認でき、6月付の赤盤資料が残っています。加えて同月の業界誌見出しには放送用リサイタル編成に関する記事が見え、同社もラジオ対応を進めていたことが分かります。