1924年11月に録音された音楽
1924年11月は、政治、社会、技術、文化の各分野で後年まで参照される動きが重なった月でした。11月4日のアメリカ合衆国大統領選挙ではカルヴィン・クーリッジ(Calvin Coolidge, 1872–1933)が勝利し、同日の選挙ではネリー・テイロー・ロス(Nellie Tayloe Ross, 1876–1977)とミリアム・アマンダ・ウォレス・ファーガソン(Miriam Amanda Wallace Ferguson, 1875–1961)がそれぞれ州知事に選ばれて、アメリカ合衆国の女性知事史でも画期となりました。モンゴルでは11月26日に最初の憲法が採択され、国号がモンゴル人民共和国(Mongolian People’s Republic)となりました。11月27日にはニューヨークでメイシーズ・クリスマス・パレード(Macy’s Christmas Parade)が初めて開催され、都市の祝祭と百貨店文化の結びつきが広く可視化されました。11月にはラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ社(Radio Corporation of America)が大西洋横断の無線写真伝送を実用的に示し、月末にはジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini, 1858–1924)が死去して、十九世紀末から続いたイタリア歌劇の一時代が大きな節目を迎えました。
この月の確認されている録音:0曲
1924年11月の録音に関する情報のまとめ
1924年11月の録音関連資料では、少なくともトーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)、ゼネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corporation)のオーケー・レコード(OKeh Records)、ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)、グラモフォン社(The Gramophone Co., Ltd.)の活動が確認できます。11月15日、25日、29日、30日前後の記録には、ダンス・バンド、通俗歌、民族系・地域語系レパートリーが並行して現れており、当月の市場がすでに細分化された需要に応えていたことが読み取れます。
エジソン
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、11月15日にクローバー・ガーデン・オーケストラ(Clover Garden Orchestra)による「It’ll get you」「Too tired」「Nightingale」が録音されていました。いずれもダンス・バンド系の新録音として整理されており、1924年11月の同社がなお新しいポピュラー系レパートリーを継続的に制作していたことが分かります。
ヴィクター
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)では、11月11日にジョナス・ラマナウスカス(Jonas Ramanauskas, 生没年不明)による「Dzingulinkai」などが、11月30日にはミラヴチェヴィ・セストリ(Milavčevi Sestri)による「Sveta Lucija」「Ciganska sirota」「Planinarica」などが記録されています。11月の記録に多言語・移民系の題材が並ぶことから、同社が民族系市場を継続的に扱っていたことが確認できます。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1924-11-11
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1924-11-30
コロムビア
コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)では、11月の資料に通俗歌と地域系レパートリーの双方が確認できます。11月25日付の記録ではヴァーノン・ダルハート(Vernon Dalhart, 1883–1948)の「The prisoner’s song」や「De clouds are gwine to roll away」が見え、別系統のカタログではステファン・バジェルスキ(Stefan Bazielski, 生没年不明)による Columbia 18064-F が「approximately November」として整理されています。1924年11月の同社が、英語圏の通俗歌とポーランド系市場の双方を並行して動かしていたことが分かります。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse?Matrix_sort=MasterSize&date=1924-11-25
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/detail/449919/Columbia-18064-F
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/detail/417922/Diva-6001-G
オーケー
ゼネラル・フォノグラフ社(General Phonograph Corporation)のオーケー・レコード(OKeh Records)では、11月29日録音のベニー・モーテンズ・カンザス・シティ・オーケストラ(Bennie Moten’s Kansas City Orchestra)「South」が OKeh 8194 に結び付いており、同盤には「Vine Street blues」も収められています。さらに11月資料にはアーケイディアン・セレネーダーズ(Arcadian Serenaders)の「Fidgety feet」「San Sue strut」も確認でき、同月の同社がダンス・バンド系の新譜を機敏に市場へ供給していたことが読み取れます。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/detail/251581/OKeh-8194
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1924-11-30
ブランズウィック
ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)では、11月25日録音としてジーン・ゴールドケット・オーケストラ(Jean Goldkette Orchestra)による「Play me slow」が確認できます。この録音は後に Brunswick 14806–14807 や Brunswick 2849 に結び付いており、同月の同社がダンス・バンド路線を継続していたことを示しています。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/mastertalent/detail/114822/Hagen_Milt
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/detail/264894/Brunswick-2849
グラモフォン
グラモフォン社(The Gramophone Co., Ltd.)では、11月15日の録音としてフアン・ロシチ(Juan Rosich, 生没年不明)による「Marcha de los cadetas」が確認できます。スペイン語圏向けの声楽録音がこの時点で整理されていることから、同社が1924年11月にも地域別カタログを維持していたことが分かります。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1924-11-15
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/detail/108774/Gramophone-2-62329
