1926年1月に録音された音楽
1926年1月は、放送、航空、政治、労働、演劇、映像技術で節目が重なった月でした。1月1日にはアイルランド自由国(Irish Free State)で2RNが正式放送を開始し、ダグラス・ハイド(Douglas Hyde, 1860–1949)が開局演説を行いました。1月3日にはギリシャでテオドロス・パンガロス(Theodoros Pangalos, 1878–1952)が独裁を宣言し、1月6日にはドイツ・ルフト・ハンザ社(Deutsche Luft Hansa AG)がベルリンで成立しました。1月8日にはアブドゥルアズィーズ・イブン・サウード(Abdulaziz Ibn Saud, 1875–1953)がヒジャーズの王に推戴されました。1月23日にはユージン・オニール(Eugene O’Neill, 1888–1953)の『偉大なる神ブラウン』(The Great God Brown)がニューヨークで初演され、1月25日にはアメリカ合衆国ニュージャージー州パサイクで大規模な繊維争議が始まりました。1月26日にはジョン・ロジー・ベアード(John Logie Baird, 1888–1946)がロンドンで生きたテレビ映像の公開実演を行い、新しい視聴覚時代の到来を印象づけました。
この月の確認されている録音:0曲
1926年1月の録音に関する情報のまとめ
1926年1月の録音業界では、電気再生機の販促、月例新譜の告知、ラジオとの結び付き、民族市場向けを含む継続録音が同時に進んでいました。確認できる資料は、月刊カタログ、業界紙、広告、録音台帳が並存しており、会社ごとに残り方が異なります。そのため、以下では1926年1月という月に直接ひもづく資料で活動を確認できる企業のみを取り上げ、ブランド名だけが見える場合は会社名と区別して記します。
ヒズ・マスターズ・ヴォイス
グラモフォン社(The Gramophone Company, Ltd.)のヒズ・マスターズ・ヴォイス(His Master’s Voice)では、1926年1月版のカタログが確認できます。加えて、1926年1月2日付『ワンガヌイ・クロニクル』は「January H.M.V. records」を紹介し、1月30日付の同紙は演説盤「Sportsmanship」と同月の新譜をあわせて扱っています。したがって同社は、少なくとも1926年1月に月例新譜の供給と販促を継続していました。
- https://natlib.govt.nz/items?i%5Bsubject%5D=Phonograph&il%5Brecordtype_authority_id%5D=-335666
- https://paperspast.natlib.govt.nz/newspapers/WC19260102.2.91.14.2
- https://paperspast.natlib.govt.nz/newspapers/WC19260130.2.124.2
ブランズウィック
ブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)では、1926年1月のカタログにブランズウィック・パナトロープ(Brunswick Panatrope)の複数機種と推奨盤が掲載され、1月15日付『ザ・トーキング・マシン・ワールド』(The Talking Machine World)でも電気再生を前面に出した広告が確認できます。さらにアメリカ歴史的録音ディスコグラフィー(Discography of American Historical Recordings)では、ロサンゼルスで1926年1月付のブランズウィック録音が確認でき、同社が当月も機械販売と録音制作を並行していたことがわかります。
- https://natlib.govt.nz/items?i%5Bsubject%5D=Phonograph&il%5Brecordtype_authority_id%5D=-335666
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine/20s/Talking-Machine-1926-01.pdf
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/matrix/detail/2000243970/LA63-LA64-La_maquina
コロムビア
コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)では、1926年1月号の『フォノグラフ・マンスリー・レビュー』(Phonograph Monthly Review)に「Columbia Viva-tonal Recording」の広告が掲載され、同月のダンス盤が一覧化されています。アメリカ歴史的録音ディスコグラフィー(Discography of American Historical Recordings)でも、1926年1月付のコロムビア録音が確認できるため、同社はこの月に新方式の訴求と継続録音を同時に進めていました。
- https://archive.org/stream/PMR_5_1/5_1_djvu.txt
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/matrix/index?Matrix%5BCompany%5D=Columbia&Matrix_page=1633&Matrix_sort=publicDomain.desc
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/talent/refer/174180
ヴィクター
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)では、1926年1月1日の年頭放送「Victor Hour」と、1月22日付で確認できる「Third Victor Hour of 1926」により、ラジオを用いた継続的販促が行われていました。また、1926年1月の技術誌ではオルソフォニック・ラジオ・フォノグラフ(Orthophonic Radio Phonograph)が紹介され、アメリカ歴史的録音ディスコグラフィー(Discography of American Historical Recordings)では1月18日付で処理記録の残るヴィクター盤が確認できます。したがって同社は、当月に放送宣伝、電気再生機の訴求、録音製作を並行していました。
- https://elibrary.arcade-museum.com/classic/Music-Trade-Review/1926-82-3/41
- https://www.virginiachronicle.com/?a=d&d=DPAL19260122-01.2.15.1
- https://www.aes-media.org/historical/html/recording.technology.history/ar173.html
オーケー
オットー・ハイネマン・フォノグラフ・サプライ社(Otto Heineman Phonograph Supply Co.)のオーケー・レコード(OKeh Records)では、アメリカ歴史的録音ディスコグラフィー(Discography of American Historical Recordings)に1926年1月付の盤が複数確認できます。ザ・ハピネス・ボーイズ(The Happiness Boys)やルイーズ・ヴァント(Louise Vant, 生没年不明)、ペリー・ブラッドフォード(Perry Bradford, 1893–1970)関連盤が含まれており、同社が当月も流行歌、コミック盤、アフリカ系アメリカ人音楽関係の録音を継続していたことがわかります。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/refer/254008
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/detail/253993/OKeh-8281
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/mastertalent/detail/106081/Bradford_Perry?Matrix_page=5
エジソン
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)では、1926年1月13日製作のヘンリー・フォードズ・オールド・タイム・ダンス・オーケストラ(Henry Ford’s Old Time Dance Orchestra)のダイアモンド・ディスクが確認できます。加えて、1926年1月のオーストラリア紙広告では、新しいエジソン・ダイアモンド・ディスク蓄音機とレコードの販促が複数確認できるため、同社は当月も録音製作と販売網向け宣伝を続けていました。
- https://www.thehenryford.org/collections/explore/artifact/349405
- https://trove.nla.gov.au/newspaper/article/283328704
- https://trove.nla.gov.au/newspaper/article/31901353
