1927年2月に録音された音楽
1927年2月は、教育、文化、外交、通信制度、気象、スポーツの各分野で象徴的な出来事が重なった月でした。アメリカ合衆国では2月1日に教育機関名がカリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California at Los Angeles)へ改められ、西海岸の高等教育拠点としての性格がより明確になりました。2月2日にはブロードウェイでミュージカル『リオ・リタ』(Rio Rita)が開幕し、同時代大衆文化の一つの話題となりました。外交面では2月18日にアメリカ合衆国とカナダの直接外交関係が成立し、ヴィンセント・マッセイ(Vincent Massey, 1887–1967)がワシントンで信任状を捧呈しました。通信制度では2月23日にアメリカ合衆国のラジオ法が成立し、連邦無線委員会(Federal Radio Commission)が設けられて放送行政の制度化が進みました。日本では2月14日に伊吹山の最深積雪が1182センチに達し、現在も気象庁の全国記録として残っています。カナダでは同月、トロントの国際リーグ加盟クラブが売却され、まもなくトロント・メープル・リーフ・ホッケー・クラブ(Toronto Maple Leaf Hockey Club)として再出発する転機を迎えました。さらに中国の上海共同租界(Shanghai International Settlement)をめぐっては、国民革命軍の接近を背景に2月を通じて各国の警備と外交折衝が緊張を深め、東アジア情勢の不安定さがいっそう可視化しました。
この月の確認されている録音:0曲
1927年2月の録音に関する情報のまとめ
1927年2月の録音界では、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company)、ブランズウィック=バルク=コレンダー社(The Brunswick-Balke-Collender Co.)、オーケー・フォノグラフ社(Okeh Phonograph Corporation)の活動が、当月の業界紙と録音日データの双方から確認できます。2月は単なる販売月ではなく、各社が新譜販促、放送連動、実演、専属契約、録音制作を同時進行させていた月でした。
ヴィクター
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)では、1927年2月上旬の業界紙に、ラジオ複合型機の前年度販売実績とともに、レコード販売がそれに埋没していないことが強調されていました。同じ号では、同社の外国盤部門がニューヨークでウィンナ・ワルツ盤を前面に出した販促を進めていたことが報じられており、2月18日と25日には放送番組を通じてヴィクター製品を訴求する販売連動企画も組まれていました。さらに録音面では、2月23日に「La regina delle rose」「O tu che sorridi!」などのヴィクター録音が確認でき、2月のヴィクターが販促と制作の両面で動いていたことが分かります。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine-Radio-Weekly/Phonograph-%26-Talking-Machine-Weekly-1927-02-09.pdf
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1927-02-23
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1927-02-11
コロムビア
コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company)では、1927年2月上旬の業界紙に、ジョン・A・ロバーツ社(John A. Roberts Co.)がユーティカで新しいコロムビア盤と新型蓄音機を用いた1日3回の実演販売を行っていたことが報じられています。録音面では、2月17日にベッシー・スミス(Bessie Smith, 1894–1937)がジェイムズ・P・ジョンソン(James P. Johnson, 1894–1955)伴奏で「Back Water Blues」を録音し、同じ2月17日にはジャッキー・サウダーズ楽団(Jackie Souders Orchestra)の「Promise」も記録されています。2月のコロムビアは、小売段階の実演とスタジオ録音の双方が具体的に確認できる月でした。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine-Radio-Weekly/Phonograph-%26-Talking-Machine-Weekly-1927-02-09.pdf
- https://learninglink.oup.com/access/content/bierman-dashboard-resources/back-water-blues-1927-bessie-smith-vocal-with-james-p-johnson-piano
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/matrix/refer/2000033155
ブランズウィック
ブランズウィック=バルク=コレンダー社(The Brunswick-Balke-Collender Co.)では、1927年2月の業界紙に、新型ブランズウィック・パナトロープ(Brunswick Panatrope)P-3を前面に出した広告が掲載され、同時に「ライト=レイ電気録音盤(Light-Ray Electrical Records)」をバレンタイン贈答と結びつける販促も行われていました。業界紙はその月の注目盤も示しており、機械販売とレコード販売を一体で押し進める構図が明瞭です。録音面でも、2月8日にはジョニー・マーヴィン(Johnny Marvin, 1897–1944)の「Ain’t She Sweet?」を含むブランズウィック録音が確認でき、2月23日にも同社の録音日が立っています。2月のブランズウィックは、電気録音商品群の販促強化と継続的録音の双方が確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine-Radio-Weekly/Phonograph-%26-Talking-Machine-Weekly-1927-02-09.pdf
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1927-02-08
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1927-02-23
オーケー
オーケー・フォノグラフ社(Okeh Phonograph Corporation)では、1927年2月の業界紙に、バー・ハーバー・ソサエティー・オーケストラ(Bar Harbor Society Orchestra)を専属録音契約に加えたことが報じられています。録音面では、2月1日に「In a Little Spanish Town」と「Hawaiian Waltz Medley」のオーケー録音が確認でき、2月4日にはフランキー・トランバウアー(Frankie Trumbauer, 1901–1956)の楽団とビックス・バイダーベック(Bix Beiderbecke, 1903–1931)を含む編成による「Singin’ the Blues」と「Clarinet Marmalade」が記録されました。2月のオーケーは、契約拡張、通常録音、そして後世のジャズ史に残る重要セッションが一つの月に重なっていたことが確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Talking-Machine-Radio-Weekly/Phonograph-%26-Talking-Machine-Weekly-1927-02-09.pdf
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1927-02-01
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/detail/254350/OKeh_40772
