1929年9月に録音された音楽
1929年9月は、経済、外交、文化、技術の各分野で次代への転換を感じさせる出来事が重なった月でした。9月3日にはニューヨーク株式市場でダウ工業株平均が381.17の高値を記録し、同月9日にはアリスティード・ブリアン(Aristide Briand, 1862–1932)が国際連盟総会(League of Nations Assembly)でヨーロッパ連帯構想を提起しました。9月18日にはハーバート・フーヴァー(Herbert Hoover, 1874–1964)が平和努力と軍備縮小についてラジオ演説を行い、同月にはアーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway, 1899–1961)の『武器よさらば』(A Farewell to Arms)が書籍として刊行されました。さらに9月30日にはフリッツ・フォン・オペル(Fritz von Opel, 1899–1971)がロケット推進グライダーの飛行を実現し、下旬には1929年のバハマ・ハリケーン(1929 Bahamas hurricane)がバハマ諸島からフロリダ・キーズに被害を与えました。
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1929年9月の録音に関する情報のまとめ
1929年9月の録音業界では、9月25日の同日一覧だけでも、ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)、コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Company)、オーケー・フォノグラフ社(Okeh Phonograph Corporation)、ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)、トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)、スター・ピアノ社(Starr Piano Company)のジェネット・レコード(Gennett Records)、アメリカン・レコード社(American Record Corporation)、ザ・グラモフォン社(The Gramophone Company, Limited)の活動が並行して確認できます。都市向けダンス楽団、地方色の強いブルースやオールドタイム、民族語録音、ラジオ転写盤、映画音声の転写、ヨーロッパのクラシック録音が同じ月に併存しており、1929年9月は市場細分化がかなり進んだ時期として見ることができます。
ヴィクター
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Company)は、1929年9月25日にブルース独唱、バンジョー弾き語り、民族語の場面物、マウンド・シティ・ブルー・ブロワーズ(The Mound City Blue Blowers)のジャズ/ダンス録音を並行して行っていました。同じ日にはユナイテッド・アーティスツ社(United Artists Corporation)、フォックス・フィルム社(Fox Film Corporation)、パテ・ピクチャーズ(Pathé Pictures)の映画音声を蝋盤へ移す作業も確認でき、同社が通常のレコード制作と映画音声処理を同時に進めていたことがわかります。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1929-09-25
- https://www.library.ucsb.edu/special-collections/performing-arts/victor
- https://www.britannica.com/money/RCA-Corporation
コロムビア
コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Company)は、1929年9月25日にベン・セルヴィン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Ben Selvin and His Orchestra)とコロムビア・フォト・プレイヤーズ(The Columbia Photo Players)によるダンス楽団録音を残していました。9月の同社は、映画主題歌系のレパートリーと都市向け大衆舞曲録音を安定して供給していたことが読み取れます。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1929-09-25
- https://archive.org/details/columbiarecordca00colu_15
- https://archive.org/stream/columbiarecordca00colu_15/columbiarecordca00colu_15_djvu.txt
オーケー
オーケー・フォノグラフ社(Okeh Phonograph Corporation)では、1929年9月18日にリトル・チョコレート・ダンディーズ(The Little Chocolate Dandies)のジャズ録音が確認でき、9月25日には場面物、フィドルとギターのデュオ、ヨーデルを含む独唱録音が並んでいます。9月のオーケーは、ジャズ、オールドタイム、見世物的な掛け合い、地方色の強い録音を一つのレーベルの中で広く扱っていた月でした。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1929-09-25
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/mastertalent/detail/108534/Chocolate_Dandies
- https://americanhistory.si.edu/collections/archival-item/sova-nmah-ac-1222-ref1634
ブランズウィック
ブランズウィック=バルク=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)は、1929年9月25日に「Super Oil program」の連続ラジオ転写盤を制作しており、レコード業とラジオ番組供給の結びつきが強まっていたことを示しています。同じ日にはスペイン語歌唱、地方ブルース、流行歌独唱も確認できるため、同社は放送向け素材と市販向け録音を同時に扱っていました。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1929-09-25
- https://www.brunswick.com/our-company/our-history
エジソン
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)は、1929年9月25日にアサシネイターズ(Assassinators)とフィル・スピタルニー・アンド・ヒズ・ミュージック(Phil Spitalny and His Music)によるダンス・バンド録音を残していました。エジソンのディスク事業はこの年が終末期にあたりますが、9月の時点でも同社が大衆向け新録音を継続していたことは確認できます。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1929-09-25
- https://www.loc.gov/static/collections/edison-company-motion-pictures-and-sound-recordings/articles-and-essays/biography/life-of-thomas-alva-edison.html
- https://www.loc.gov/programs/national-recording-preservation-board/recording-registry/descriptions-and-essays/
ジェネット
スター・ピアノ社(Starr Piano Company)のジェネット・レコード(Gennett Records)は、1929年9月25日にフィドル、ギター、マンドリンを中心とした地方色の強い弦楽器録音を集中的に行っていました。リッチモンド拠点の同社が、この月にも都市型ダンス録音とは別の地域市場を支えていたことがわかります。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1929-09-25
- https://www.starrgennettfoundation.org/s-g-history
- https://exhibits.libraries.rutgers.edu/gennett-records/gennett-records-overview
ARC
アメリカン・レコード社(American Record Corporation)は、1929年9月25日の一覧でARC欄として確認でき、同日にはフランキー・マーヴィン(Frank James Marvin, 1904–1985)による男性独唱録音が残っています。件数自体は多くありませんが、1929年に成立した新しい再編体制の会社名がこの月の録音一覧にすでに現れている点は重要です。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1929-09-25
- https://catalog.rockhall.com/rrhof-ais/Details/archive/110000619
- https://www.countrymusichalloffame.org/about/collections/oral-history/frankie-marvin
グラモフォン
ザ・グラモフォン社(The Gramophone Company, Limited)は、1929年9月25日にオペラ独唱、スカラ座管弦楽団(Teatro alla Scala Orchestra)による録音、パリ音楽院協会管弦楽団(Orchestre de la Société des concerts du Conservatoire)による管弦楽録音、北欧系器楽録音を同日に残していました。9月の同社は、ヨーロッパのクラシック市場を国際的に編成していたことが明瞭に確認できます。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1929-09-25
- https://collection.sciencemuseumgroup.org.uk/people/cp111601/gramophone-company-limited
- https://archive.org/details/hismastersvoicei0000kell
