1930年11月に録音された音楽
1930年11月、ブラジルではジェトゥリオ・ヴァルガス(Getúlio Vargas, 1882–1954)が11月3日に臨時大統領として政権を握り、旧来の政治秩序は大きく転換しました。エチオピアでは11月2日にハイレ・セラシエ1世(Haile Selassie I, 1892–1975)が皇帝として戴冠し、国家の中央集権化が新たな段階に入りました。ロンドンでは11月12日に第一次円卓会議が始まり、インド統治の将来が帝国規模で討議されました。日本では11月14日に浜口雄幸(1870–1931)が東京駅で銃撃され、政党政治をめぐる緊張がさらに深まりました。アメリカ合衆国では11月の商業銀行危機が、それまでの景気後退を大恐慌の本格的な金融危機へ変える転機となりました。文化面ではシンクレア・ルイス(Sinclair Lewis, 1885–1951)が同年のノーベル文学賞を受け、アメリカ人作家として初の受賞者となりました。
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1930年11月の録音に関する情報のまとめ
1930年11月の録音業界では、RCAヴィクター社(RCA Victor Company, Inc.)、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)、オーケー・フォノグラフ社(Okeh Phonograph Corporation)、ブランズウィック・ラジオ社(Brunswick Radio Corporation)の各系列で当月の活動が確認できます。新録の中心にはジャズ/ダンス盤がありましたが、同時にイタリア語盤やスペイン語盤、レース・シリーズも並行して動いており、不況下でも各社が市場を細分化しながら新譜供給を続けていたことが読み取れます。
RCAヴィクター
RCAヴィクター社(RCA Victor Company, Inc.)では、1930年11月26日にニューヨークでデューク・エリントン・アンド・ヒズ・コットン・クラブ・オーケストラ(Duke Ellington and His Cotton Club Orchestra)による《What good am I without you?》が録音されています。11月11日の録音一覧にもヴィクター盤が並んでおり、同社が月前半から月末までポピュラー盤とダンス楽団盤の新録を継続していたことが確認できます。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1930-11-26
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1930-11-11
コロムビア
コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)では、1930年11月11日にガイ・ロンバード・アンド・ヒズ・ロイヤル・カナディアンズ(Guy Lombardo and His Royal Canadians)による《You’re driving me crazy! (What did I do?)》が録音されており、英語圏向けの流行ダンス盤が当月も継続していました。これと並行して、Columbia 14630-F には11月盤としてイタリア語曲《Serenata amara》が確認でき、同社が外国語市場向けカタログも維持していたことが分かります。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1930-11-11
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/detail/214599/Columbia-14630-F
オーケー
オーケー・フォノグラフ社(Okeh Phonograph Corporation)では、1930年11月11日にクラレンス・ウィリアムズ・ウォッシュボード・バンド(Clarence Williams’ Washboard Band)による《Papa de-da-da (A New Orleans stomp)》が録音され、11月26日には《Three little words》が確認できます。さらに、ゴンサレス・アンド・エルナンデス(González and Hernández)による《Juan Reyna》が1930年11月盤として確認でき、同社がジャズ/ダンス盤だけでなくスペイン語圏向け録音も同月に並行して扱っていたことが読み取れます。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1930-11-11
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1930-11-26
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/mastertalent/detail/318257/Gonzlez_and_Hernndez
ブランズウィック
ブランズウィック・ラジオ社(Brunswick Radio Corporation)では、1930年11月2日にジョン・ウィルファート・コンセルティーナ・オーケストラ(John Wilfahrt Concertina Orchestra)による《The jolly crowd》と《Aunt Ellen’s polka》が録音されており、月初から地域色の強い器楽盤の新録が続いていました。さらに同月のブランズウィック盤には、オール・スター・カリフォルニアンズ(All Star Californians)による《Never swat a fly》が確認でき、同社が民族・地域系レパートリーと都市型ダンス盤を同時に扱っていたことが分かります。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1930-11-02
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/matrix/detail/2000232650/E35109-Never_swat_a_fly
ヴォカリオン
ブランズウィック・ラジオ社(Brunswick Radio Corporation)のヴォカリオン(Vocalion)では、レース・シリーズの Vocalion 1562 が1930年11月盤として確認でき、リー・グリーン(Lee Green, 生没年不明)による《Pork chop blues》と《Maltese cat blues》が収められています。1930年11月の時点で、同系列がブルース系の専用シリーズを保持し続けていたことをこの番号から直接確認できます。
