1932年12月に録音された音楽

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1932年12月に録音された音楽

1932年12月は、世界恐慌の長期化のなかで、政治秩序の再編、国際協調の模索、放送網の拡張、大都市文化施設の誕生が同時に進んだ月でした。ドイツでは12月3日にクルト・フォン・シュライヒャー(Kurt von Schleicher, 1882–1934)が首相に就任し、ワイマール共和政末期の政局はさらに不安定化しました。シャムでは12月10日にプラジャーディポック(Prajadhipok, 1893–1941)がシャム王国憲法(Constitution of the Kingdom of Siam)に署名し、立憲君主制への移行が制度上確定しました。ジュネーヴでは12月11日に五カ国宣言(Five-Power Declaration)がまとまり、世界軍縮会議(World Disarmament Conference)へのドイツ復帰を促す枠組みが示されました。英国放送協会(British Broadcasting Corporation)のエンパイア・サービス(Empire Service)は12月19日に開始され、12月25日にはジョージ5世(George V, 1865–1936)が最初のクリスマス放送を行いました。同月25日には中国甘粛省で大地震が発生し、12月27日にはニューヨークでラジオ・シティ・ミュージック・ホール(Radio City Music Hall)が開場しました。

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1932年12月の録音に関する情報のまとめ

1932年12月の同時代業界資料では、年末商戦に向けた盤質改良、ブロードウェイ新作との連動録音、追加盤の機動投入、既存電気式フォノグラフの機能拡張が目立ちました。各社は単なる月次新譜の告知だけでなく、盤の素材、供給体制、返品制度、再生機構、舞台連動の宣伝効果まで含めて商品力を組み直しており、不況下でも家庭内娯楽需要を確保しようとする姿勢が明瞭です。

コロムビア

コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)は、1932年12月号の業界誌で、新素材による「Royal Blue」盤の完成と製造を打ち出しました。記事では、より静かな表面、針音の減少、音の共鳴性、音量、耐久性、視覚的訴求が強調され、同時にコネチカット州ブリッジポート工場とカリフォルニア州ハリウッド工場から全米の販売網へ直結する供給方針、ポピュラー盤を2週間ごとに出す方針、新しい返品制度、12インチのクラシック盤・準クラシック盤を1ドルに改める方針も示されました。さらに、エディ・カンター(Eddie Cantor, 1892–1964)、ロジャー・ウルフ・カーン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Roger Wolfe Kahn and His Orchestra)、ルディ・ヴァリー・アンド・ヒズ・コネチカット・ヤンキース(Rudy Vallee and His Connecticut Yankees)などを前面に出し、新素材盤の発売を人気芸能人の新録で押し出していました。1932年12月の同社は、盤質改善、供給短縮、価格改定、芸能人起用を一体化して年末需要へ対応していたといえます。

RCAヴィクター

アールシーエー・ヴィクター社(RCA Victor Co., Inc.)は、1932年12月号で RE-80 ラジオ・フォノグラフを年末販売向けに大きく訴求し、8球スーパー、二速度ターンテーブル、レコード再生側の自動補償回路、ラジオとレコードを一体化した家庭用機としての利便性を打ち出しました。録音面では、同号の「Phonograph News」で、レオ・ライスマン(Leo Reisman, 1897–1961)がブロードウェイのショー・ヒット録音を担当していること、フレッド・アステア(Fred Astaire, 1899–1987)が『ゲイ・ディヴォース』(The Gay Divorcee)の楽曲録音に参加していること、『ミュージック・イン・ジ・エア』(Music in the Air)の楽曲も同じ流れで扱われていることが紹介されています。すでに出ていた No.24157 と No.24156 もベストセラーとして強く押し出されており、1932年12月の同社は、機械販売とブロードウェイ連動盤の双方で市場を押していたと整理できます。

ブランズウィック

ブランズウィック・レコード社(Brunswick Record Corporation)は、1932年12月号の業界誌で、ビング・クロスビー(Bing Crosby, 1903–1977)の「Please」No.6394 が同人の従来盤を上回る販売実績に達し、なお動き続けていると報じられました。あわせて、正規の12月リスト外の追加盤として、ガイ・ロンバード・アンド・ヒズ・オーケストラ(Guy Lombardo and His Orchestra)の No.6426、カーメン・ロンバード(Carmen Lombardo, 1903–1971)関連の No.6417、キャブ・キャロウェイ(Cab Calloway, 1907–1994)の No.6424、テッド・フィオ・リト・アンド・ヒズ・オーケストラ(Ted Fio Rito and His Orchestra)の No.6422、ザ・スリー・キーズ(The Three Keys)の No.6423、ビング・クロスビー(Bing Crosby, 1903–1977)の No.6427、ボズウェル・シスターズ(Boswell Sisters)の No.6418 が挙げられていました。1932年12月の同社は、既存ヒット盤の継続販売に加えて、定例リスト外の追加盤まで年末需要へ即応的に投入していたことが確認できます。

オーダック

オーダック社(The Audak Company)は、1932年12月号の業界誌で、78回転の電気式フォノグラフ・モーターに装着できる二速度ターンテーブル「Duo-Disc」を完成させたと紹介されました。記事では、既存モーターへの装着が容易で、ねじ操作だけで78回転と33⅓回転を切り替えられ、減速歯車を使わずに安定した33⅓回転を得られることが評価されています。レコード会社ではありませんが、1932年12月の録音再生市場で、既存機の延命と新しい再生需要への適応を支える周辺企業の動きとして重要です。