1933年12月に録音された音楽

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1933年12月に録音された音楽

1933年12月は、政治・学術・大衆文化が同時に大きく動いた月でした。アメリカ合衆国では12月5日にアメリカ合衆国憲法修正第二十一条(Twenty-first Amendment to the United States Constitution)が成立し、禁酒法体制が終わりました。12月3日–26日に開かれた第七回米州諸国国際会議(Seventh International Conference of American States)では、12月26日に国家の権利及び義務に関する条約(Convention on Rights and Duties of States)が採択され、国家の成立要件と不干渉原則が明文化されました。12月10日にはノーベル物理学賞(Nobel Prize in Physics)がエルヴィン・シュレーディンガー(Erwin Schrödinger, 1887–1961)とポール・アドリアン・モーリス・ディラック(Paul Adrien Maurice Dirac, 1902–1984)に、ノーベル生理学・医学賞(Nobel Prize in Physiology or Medicine)がトーマス・ハント・モーガン(Thomas Hunt Morgan, 1866–1945)に、ノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)がイヴァン・ブーニン(Ivan Bunin, 1870–1953)に授与されました。12月17日にはナショナル・フットボール・リーグ(National Football League)初の公式優勝決定戦が行われ、シカゴ・ベアーズ(Chicago Bears)がニューヨーク・ジャイアンツ(New York Giants)を23対21で破りました。同月には、連邦議会図書館(Library of Congress)の委嘱のもとでジョン・A・ローマックス(John A. Lomax, 1867–1948)とアラン・ローマックス(Alan Lomax, 1915–2002)が南部各地で現地録音を進めており、商業録音の外側でも音の記録文化が着実に広がっていました。

この月の確認されている録音:0曲

1933年12月の録音に関する情報のまとめ

1933年12月の録音業界は、世界恐慌下の縮小均衡のなかでも年末商戦と映画音楽需要を背景に動いていました。同月の同時代資料で直接確認できる中心企業は、アールシーエー・ヴィクター社(RCA Victor Co., Inc.)、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)、ブランズウィック・レコード社(Brunswick Record Corporation)、同社が扱っていたヴォカリオン(Vocalion)、そして蓄音機系機器を扱うエマーソン・ラジオ・アンド・フォノグラフ社(Emerson Radio & Phonograph Corp.)です。『ラジオ・リテイリング』(Radio Retailing)1933年12月号では、レコードは映画館との連動販促で売れる商品として扱われ、同時にアールシーエー・ヴィクター社(RCA Victor Co., Inc.)、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)、ブランズウィック・レコード社(Brunswick Record Corporation)の現行盤番号が同じ月の誌面に並んでいます。したがって1933年12月の録音業界は、録音制作そのものの大幅拡大というより、既存盤の販売、映画関連曲の回転、年末需要への対応が前面に出た月として整理できます。

RCAヴィクター

アールシーエー・ヴィクター社(RCA Victor Co., Inc.)は、1933年12月の『ラジオ・リテイリング』(Radio Retailing)誌上で年末向けのレコード販売を強く押し出していました。同誌の広告では、児童向けの絵入り盤を含むホリデー商戦用の商品群に加え、ヴィクター・レコード(Victor Records)のポピュラー盤とレッド・シール(Red Seal)の両方をまとめて訴求していました。ここから、この月の同社が単なる新譜投入だけではなく、年末贈答需要と家族向け需要を見込んだ販売強化を行っていたことが確認できます。さらに同号の映画楽曲一覧には、同社の盤番号が多数並んでおり、映画との連動販売でも強い位置を保っていました。

コロムビア

コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)については、1933年12月の『ラジオ・リテイリング』(Radio Retailing)掲載の映画楽曲一覧に、Columbia 2834、2842、2844、2848、2849、2851、2852、2838、2828、2811 などの現行盤番号が見えます。これは同社が1933年12月の段階でも映画関連曲や流行曲の販売網に確実に残っていたことを示します。他方で経営面では、親会社グリグスビー=グラノウ社(Grigsby-Grunow Company)が1933年11月までに receivership の状態に入り、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)は再売却対象となっていました。したがって1933年12月のコロムビアは、営業上は活動を続けながら、企業としてはきわめて不安定な移行期にあったと位置づけられます。

ブランズウィック

ブランズウィック・レコード社(Brunswick Record Corporation)は、1933年12月の『ラジオ・リテイリング』(Radio Retailing)掲載の映画楽曲一覧で最も頻繁に現れるブランドの一つです。Brunswick 6671、6674、6675、6676、6683、6684、6685、6688、6689、6690、6693、6694、6696、6697、6698、6699、6702、6705、6706、6712、6713 など、多数の番号が同月の人気映画関連曲に対応しており、同社が年末の流行曲市場で非常に強い存在感を保っていたことがわかります。誌面の記事自体も、映画館との連動販促や劇場ロビー展示を使ってレコード販売を伸ばすよう勧めており、1933年12月のブランズウィック・レコード社(Brunswick Record Corporation)は、映画音楽需要を受け止める実売ブランドとして活発に動いていました。

ヴォカリオン

ヴォカリオン(Vocalion)については、連邦議会図書館(Library of Congress)のジョン・D・リード文書群に「Vocalion Records, December 1933」が含まれており、1933年12月の刊行物が現存することを確認できます。内容全文までは同検索記述から断定できませんが、少なくとも同月のヴォカリオン(Vocalion)が発売案内または補遺に相当する印刷物を出していたことは安全に言えます。したがって1933年12月のヴォカリオン(Vocalion)は、ブランドとして継続的に市場に出ていたと整理できます。

エマーソン

エマーソン・ラジオ・アンド・フォノグラフ社(Emerson Radio & Phonograph Corp.)は、1933年12月の『ラジオ・リテイリング』(Radio Retailing)で、事業拡張のためニューヨークのポート・オーソリティ・コマース・ビルディング(Port Authority-Commerce Building)に四万平方フィートの床面積を取得し、技術、研究、製造、販売、経営部門を一つの屋根の下に集めると報じられています。この記述は、同社が1933年12月にラジオ兼蓄音機系機器の事業を拡張していたことを直接示す同時代証拠です。レコード会社ではありませんが、録音再生機器を担う蓄音機系企業として、この月の活動は録音関連企業の動向として加えることができます。