1933年5月に録音された音楽

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1933年5月に録音された音楽

1933年5月の世界は、政治・経済・文化が同時に大きく動いた月でした。国家社会主義ドイツ労働者党(Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei)政権下のドイツでは、5月10日にベルリンのオーパーンプラッツ(Opernplatz)を含む各地で焚書が行われ、文化統制の強化が可視化されました。アメリカ合衆国では5月12日に連邦緊急救済法(Federal Emergency Relief Act)と農業調整法(Agricultural Adjustment Act)が成立し、連邦緊急救済局(Federal Emergency Relief Administration)と農業調整局(Agricultural Adjustment Administration)を軸とする大恐慌対策が進みました。5月18日にはテネシー川流域開発公社(Tennessee Valley Authority)が創設され、治水・電力・地域開発を一体化する連邦事業が始まりました。5月27日にはシカゴでア・センチュリー・オブ・プログレス国際博覧会(A Century of Progress International Exposition)が開幕し、同じ日にウォルト・ディズニー・プロダクションズ(Walt Disney Productions)の短編映画『三匹の子ぶた(Three Little Pigs)』も公開されました。月末の5月31日には、一般に塘沽停戦協定(Tanggu Truce Agreement)と呼ばれる停戦協定が結ばれ、華北情勢は新たな段階に入りました。

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1933年5月の録音に関する情報のまとめ

1933年5月の同時代業界誌を見ると、録音業界は不況下でも公共空間向け需要と家庭用複合機需要の両方を追っていました。アメリカ合衆国では酒類販売再開後の飲食店や娯楽施設で音楽需要が伸び、レコード会社はそれに合わせた新譜や販促物をオペレーター向けに整えていました。他方で家庭向けには、ラジオとグラモフォンを一体化した機種、自動レコード交換機構、33⅓回転と78回転の両対応、録音再生の自然さなどが大きな訴求点になっていました。

RCAヴィクター

RCAヴィクター社(RCA Victor Company, Inc.)は、1933年5月の『Radio Merchant』表紙でラジオ、フォノグラフ複合機、ヴィクター・レコード(Victor Records)を一体で打ち出していました。『Radio Retailing』では、同社が夏季販売向けの新ラインを投入し、RE-40 を 33⅓回転と78回転の両方に対応する電気式フォノグラフ付き機として紹介しています。レコード部門と機器部門を同時に押し出していた点が、この月の同社の特徴でした。

ポーク・ミュージカル・サプライ

ポーク・ミュージカル・サプライ社(Polk Musical Supply Co.)は、1933年5月の『Radio Merchant』で、アトランタ地区におけるヴィクター・レコード(Victor Records)とブルーバード・レコード(Bluebird Records)の配給業者に任命されたことが報じられています。月内に新たな流通体制が明示された主要販売会社として、この会社の動きは独立して押さえておく必要があります。

ブランズウィック

ブランズウィック・レコード社(The Brunswick Record Corporation)は、『Coin Machine Journal』1933年5月号で、メイ・ウェスト(Mae West, 1893–1980)、ウェイン・キング(Wayne King, 1901–1985)、ドン・レッドマン(Don Redman, 1900–1964)、レッド・ニコルズ(Red Nichols, 1905–1965)を前面に出したレコード会社として紹介されています。記事は、同社がオペレーター向けに販売補助物を整え、飲食店や娯楽施設向けの需要増加を取り込もうとしていたことを示しています。

ジェー・ピー・シーバーグ

ジェー・ピー・シーバーグ社(J. P. Seeburg Corporation)は、『Coin Machine Journal』1933年5月号で、新型の音楽機械を出している企業の一つとして明記されています。同号の広告でも新機種の販路拡張が強調されており、1933年5月の同社が設置型音楽機械市場で積極姿勢を取っていたことが確認できます。

ケープハート

ケープハート社(Capehart Corporation)も、『Coin Machine Journal』1933年5月号で新型の音楽機械を投入する企業として名指しされています。記事は、公共空間向けの音楽需要増加の文脈で同社名を挙げており、1933年5月のケープハート社(Capehart Corporation)がこの市場競争の一角にあったことがわかります。

エレクトラ

エレクトラ社(Electra Corporation)は、前記と同じ『Coin Machine Journal』1933年5月号で、ジェー・ピー・シーバーグ社(J. P. Seeburg Corporation)やケープハート社(Capehart Corporation)と並んで、新型の音楽機械を出す企業として記されています。誌面に社名が明示されているため、この月の録音関連企業一覧から外さない方が適切です。

ミルズ・ノヴェルティ

ミルズ・ノヴェルティ社(Mills Novelty Company)は、『Coin Machine Journal』1933年5月号で、以前から音楽機械運営で知られる企業として紹介され、同月には酒類販売再開と結びつけてコイン式フォノグラフの宣伝を進めていたと報じられています。飲食店需要と音楽機械の結びつきを示す、当月らしい動きでした。

エマーソン

エマーソン・ラジオ・アンド・フォノグラフ社(Emerson Radio & Phonograph Corp.)は、『Radio Retailing』1933年5月号で広告を出し、ユニヴァーサル・コンパクツ(Universal Compacts)を販売していました。会社名そのものが示すように、同社はラジオとフォノグラフを結びつけた家庭用小型機市場で存在感を持っており、1933年5月にも販路拡大を狙っていたことが確認できます。

ヒズ・マスターズ・ヴォイス

ザ・グラモフォン社(The Gramophone Co., Ltd.)は、ヒズ・マスターズ・ヴォイス(His Master’s Voice)名義で、1933年5月の『Modern Wireless』にスーパー・ヘット・オートラジオグラモフォン・セヴン・モデル524(Super-het Autoradiogram Seven, Model 524)を大きく掲載しました。七球スーパーへテロダイン回路に加え、八枚・十枚・十二枚盤に対応する自動レコード交換機構を備え、家庭用高級機市場で録音再生の利便性と連続演奏を強く訴求していました。

コロムビア

コロムビア・グラモフォン社(The Columbia Graphophone Co., Ltd.)は、『Modern Wireless』1933年5月号でコロムビア・ラジオグラフ・フォー(The Columbia Radiograph Four)を取り上げられています。誌面では、この機種がレコード再生でも高いリアリズムを持つと評価され、音の純度と自然さが販売上の中心価値として扱われていました。1933年5月の同社は、単なる受信性能ではなく、録音再生の質そのものを前面に出していたことがわかります。

エレクトリカル・リサーチ・プロダクツ

エレクトリカル・リサーチ・プロダクツ社(Electrical Research Products, Inc.)は、『Radio Retailing』1933年5月号で、フォノグラフ・レコードの写実的再生を目指す新しい平衡方式を実演した企業として紹介されています。記事によれば、この方式は新しいレコード用ワックス、新型ピックアップ、特別な増幅回路、複数の専用スピーカーを組み合わせるもので、商業導入時期は未定ながら、1933年5月時点で新技術の実証段階に進んでいました。