1933年11月に録音された音楽

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1933年11月に録音された音楽

1933年11月は、政治秩序の再編と国家介入の拡大が世界各地で同時進行した月でした。アメリカ合衆国ではフランクリン・デラノ・ルーズベルト(Franklin Delano Roosevelt, 1882–1945)政権が11月9日に民間土木事業局(Civil Works Administration)を始動させ、冬季失業対策を急ぎました。11月16日には同政権がソビエト社会主義共和国連邦(Union of Soviet Socialist Republics)を承認し、マクシム・リトヴィノフ(Maxim Litvinov, 1876–1951)との交渉が米ソ関係の転機となりました。ドイツでは11月12日の国民投票と選挙がアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler, 1889–1945)体制の一党支配を誇示し、スペイン第二共和国(Second Spanish Republic)では11月19日の総選挙で女性が初めて国政選挙に参加しました。ニューヨーク市では11月7日の市長選でフィオレロ・エンリコ・ラファエロ・ラガーディア(Fiorello Enrico Raffaelo La Guardia, 1882–1947)が当選し、都市行政の転換点となりました。

この月の確認されている録音:0曲

1933年11月の録音に関する情報のまとめ

1933年11月の録音関連資料を通して見ると、世界恐慌下でも各社が新録音を止めていなかったことがはっきり確認できます。アメリカ合衆国ではアメリカン・レコード・コーポレーション(American Record Corporation)系が廉価盤とダンス盤の供給を続け、ブランズウィック・レコード(Brunswick Records)、コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)、ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(Radio Corporation of America)系のヴィクター・レコード(Victor Records)も、それぞれ別の市場に向けた録音を動かしていました。イギリスではデッカ・グラモフォン社(The Decca Gramophone Co. Ltd.)が歌唱曲と器楽独奏の双方で新録音を残しています。廉価盤、ジャズ/ダンス盤、外国語盤、宗教盤、器楽独奏盤が並行して動いていた月として、1933年11月は録音産業の持久力を示す月でした。

アメリカン・レコード・コーポレーション

アメリカン・レコード・コーポレーション(American Record Corporation)では、1933年11月15日付の資料に、ジーン・カードス・オーケストラ(Gene Kardos Orchestra)による「Did you ever see a dream walking」と「Good morning glory」が確認できます。廉価盤中心の再編期にあっても、同社が11月中旬まで新しいダンス・バンド録音を続けていたことがわかります。

ブランズウィック

アメリカン・レコード・コーポレーション(American Record Corporation)が運用したブランズウィック・レコード(Brunswick Records)では、1933年11月17日付の資料に、エディ・コンドン・オーケストラ(Eddie Condon Orchestra)の「The eel」と「Home cooking」が確認できます。1933年11月後半の時点でも、同レーベルがジャズ/ダンス部門の新録音を継続していたことは明瞭です。

コロムビア

コロムビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company, Inc.)では、1933年11月24日付資料にコロムビア盤の新録音が見え、11月30日付資料にはギルダ・ミニョネット(Gilda Mignonette, 1880–1953)の「Parlami d’amore Mariu」などイタリア語盤が確認できます。同月は親会社グリグスビー=グラノウ社(Grigsby-Grunow Company)の経営破綻で同社が再び整理局面に入った時期でもあり、経営不安のなかでも外国語盤を含む録音活動が月末まで続いていたことが重要です。

ヴィクター

ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(Radio Corporation of America)系のヴィクター・レコード(Victor Records)では、1933年11月10日付資料に通常の10インチ盤録音が確認でき、11月17日付資料には33 1/3回転10インチ盤でセント・バーソロミューズ・クワイア(St. Bartholomew’s Choir)の宗教録音が見えます。少なくともこの月のヴィクター系は、通常盤と特殊回転数盤の両方を動かしながら、宗教盤を含む複数の需要に応えていました。

デッカ

デッカ・グラモフォン社(The Decca Gramophone Co. Ltd.)では、1933年11月30日付資料に、アルフレード・カンポリ(Alfredo Campoli, 1906–1991)の「My heart at Thy sweet voice」と「Traumerei」が確認できます。1933年11月末の段階で、同社が歌唱曲だけでなく器楽独奏の新録音も継続していたことが読み取れます。