1935年12月に録音された音楽
1935年12月、第二次イタリア・エチオピア戦争(Second Italo-Ethiopian War)は継続し、サミュエル・ホーア(Samuel Hoare, 1880–1959)とピエール・ラヴァル(Pierre Laval, 1883–1945)によるホーア=ラヴァル協定案(Hoare–Laval Pact)は、エチオピア帝国(Ethiopian Empire)を犠牲にする和平案として強い批判を受け、サミュエル・ホーア(Samuel Hoare, 1880–1959)は1935年12月18日に外相を辞任しました。1935年12月9日には第二次ロンドン海軍軍縮会議(Second London Naval Disarmament Conference)が始まり、海軍軍備制限をめぐる協議が続きました。同じ1935年12月9日、中華民国(Republic of China)の北平では一二・九運動が起こり、日本の華北進出に対する学生運動が広がりました。ドイツ国(German Reich)では親衛隊(Schutzstaffel)主導のレーベンスボルン計画(Lebensborn Program)が1935年末に創設され、ナチス・ドイツの人種政策が制度化されました。科学分野では、ジェームズ・チャドウィック(James Chadwick, 1891–1974)、イレーヌ・ジョリオ=キュリー(Irène Joliot-Curie, 1897–1956)、フレデリック・ジョリオ=キュリー(Frédéric Joliot-Curie, 1900–1958)らが1935年12月10日のノーベル賞授賞式に臨みました。航空では、1935年12月17日にダグラス・エアクラフト社(Douglas Aircraft Company)のダグラスDST(Douglas Sleeper Transport)が初飛行し、後のダグラスDC-3(Douglas DC-3)へつながる民間航空の転換点となりました。
この月の確認されている録音:0曲
1935年12月の録音に関する情報のまとめ
1935年12月のアメリカ合衆国の商業録音では、アールシーエー・マニュファクチャリング社(RCA Manufacturing Co., Inc.)系のヴィクター(Victor)およびブルーバード(Bluebird)、デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)、アメリカン・レコード社(American Record Corporation)、ブルンズウィック・レコード社(Brunswick Record Corporation)系の録音活動を確認できます。内容面では、ジャズ、ダンス・バンド、流行歌、ノヴェルティ曲が中心で、とくに「ザ・ミュージック・ゴーズ・ラウンド・アンド・アラウンド(The Music Goes ’Round and Around)」は1935年12月に複数社・複数レーベルで録音され、同月の流行曲市場を示す代表的な題材になっています。
アールシーエー・ヴィクター
アールシーエー・マニュファクチャリング社(RCA Manufacturing Co., Inc.)系では、1935年12月9日にトミー・ドーシー・アンド・ヒズ・クラムベイク・セヴン(Tommy Dorsey and His Clambake Seven)が「ザ・ミュージック・ゴーズ・ラウンド・アンド・アラウンド(The Music Goes ’Round and Around)」をヴィクター(Victor)向けに録音したことが確認できます。同曲は1935年末のノヴェルティ・ソング流行を象徴する録音で、1935年12月27日にはリトル・ランブラーズ(Little Ramblers)によるブルーバード(Bluebird)録音も確認できます。ヴィクター(Victor)とブルーバード(Bluebird)の双方で同曲が扱われたことは、アールシーエー・マニュファクチャリング社(RCA Manufacturing Co., Inc.)系が主力レーベルと廉価レーベルを使い分けながら、流行曲の市場化を進めていたことを示しています。
- https://theshedd.org/divp/series.aspx?artwork=3346&event=3558&rec=32&series=3552
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/detail/62352
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/detail/62353
デッカ・レコード社
デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)では、1935年12月13日にバニー・ベリガン(Bunny Berigan, 1908–1942)を中心とするブルー・ボーイズ(Blue Boys)が「アイム・カミング・ヴァージニア(I’m Coming, Virginia)」と「ブルース(Blues)」を録音したことが確認できます。1935年12月19日にはルイ・アームストロング・アンド・ヒズ・オーケストラ(Louis Armstrong and His Orchestra)が「サンクス・ア・ミリオン(Thanks a Million)」「シュー・シャイン・ボーイ(Shoe Shine Boy)」「ソリチュード(Solitude)」「アイ・ホープ・ガブリエル・ライクス・マイ・ミュージック(I Hope Gabriel Likes My Music)」を録音しており、デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)がジャズ系の有力演奏家を継続的に起用していたことが確認できます。1935年12月10日と1935年12月27日には、マイク・ライリー・アンド・エド・ファーリー(Mike Riley and Ed Farley)系の録音も確認でき、同社が流行曲とジャズ系ノヴェルティの双方を扱っていたことが分かります。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/matrix/refer/2000288345
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse?date=1935-12-19
- https://mosaicrecords.com/louis-armstrong-1935-1946-decca-sessions-mosaic-records/
アメリカン・レコード社
アメリカン・レコード社(American Record Corporation)系では、1935年12月23日にチック・ブロック(Chick Bullock, 1898–1981)名義の録音として「ザ・ミュージック・ゴーズ・ラウンド・アンド・アラウンド(The Music Goes ’Round and Around)」「ムーンバーン(Moonburn)」「ユー・レット・ミー・ダウン(You Let Me Down)」「イッツ・ビーン・ソー・ロング(It’s Been So Long)」がニューヨークで録音されたことが確認できます。これらはメロトーン(Melotone)、バナー(Banner)、コンカラー(Conqueror)、レックス(Rex)などの関連レーベルにまたがって扱われており、アメリカン・レコード社(American Record Corporation)が複数の価格帯・販路を通じて同一録音を展開していたことを示しています。
- https://theshedd.org/divp/series.aspx?artwork=3346&event=3558&rec=32&series=3552
- https://secondhandsongs.com/performance/1324817
- https://archive.org/stream/brian-rust-jazz-records-free-edition-6/Brian%20Rust_jazz-records_free-edition-6_djvu.txt
ブルンズウィック・レコード社
ブルンズウィック・レコード社(Brunswick Record Corporation)系では、1935年12月18日にウィンギー・マノン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Wingy Manone and His Orchestra)がヴォカリオン(Vocalion)向けに「ザ・ミュージック・ゴーズ・ラウンド・アンド・アラウンド(The Music Goes ’Round and Around)」を録音したことが確認できます。1935年12月21日にはハル・ケンプ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Hal Kemp and His Orchestra)がブルンズウィック(Brunswick)向けに同曲を録音しており、ブルンズウィック・レコード社(Brunswick Record Corporation)系でも同じ流行曲を複数の演奏者・レーベルで展開する動きが見られます。1935年時点のブルンズウィック(Brunswick)とヴォカリオン(Vocalion)はアメリカン・レコード社(American Record Corporation)系の事業網と密接に結びついていましたが、レーベル別の市場展開を示すため、ここでは独立した動向として整理できます。
- https://theshedd.org/divp/series.aspx?artwork=3346&event=3558&rec=32&series=3552
- https://archive.org/stream/brian-rust-jazz-records-free-edition-6/Brian%20Rust_jazz-records_free-edition-6_djvu.txt
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/matrix/refer/2000655759
コロムビア
アメリカン・レコード社(American Record Corporation)系のコロムビア(Columbia)では、1935年12月24日にフランク・フローバ・スウィング・バンド(Frank Froeba Swing Band)がニューヨークで「ザ・ミュージック・ゴーズ・ラウンド・アンド・アラウンド(The Music Goes ’Round and Around)」を録音したことが確認できます。この録音はコロムビア行列番号CO18444として記録され、コロムビア3110-Dに収録されました。同日の関連セッションには「チャーチ・マウス・オン・ア・スプリー(Church Mouse on a Spree)」も確認でき、コロムビア(Columbia)が小編成スウィング系の録音を同月に制作していたことを示しています。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/matrix/refer/2000655759
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/detail/644331/Columbia-3110-D
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/mastertalent/detail/106921/Froba_Frankie?Matrix_page=3
