1936年3月に録音された音楽
1936年3月は、欧州の軍事秩序、航空技術、災害対策、国際軍縮が同時に大きく動いた月です。3月1日、アメリカ合衆国(United States of America)ではフーバー・ダム(Hoover Dam)が完成し、ニューディール期の大規模公共事業を象徴する施設となりました。3月4日にはドイツ国(German Reich)でLZ 129ヒンデンブルク(LZ 129 Hindenburg)が初飛行し、翌3月5日にはイギリス(United Kingdom)でスーパーマリン・スピットファイア(Supermarine Spitfire)試作機K5054が初飛行しました。3月7日、ドイツ国(German Reich)はラインラント(Rhineland)へ軍を進め、ベルサイユ条約(Treaty of Versailles)とロカルノ条約(Locarno Treaties)に基づく欧州安全保障体制を揺るがしました。日本では二・二六事件後の政局再編を経て、3月9日に広田弘毅(1878–1948)内閣が成立しました。アメリカ合衆国北東部では3月9日–22日に豪雨と融雪が重なり、ニューイングランド地方(New England)から中部大西洋岸にかけて大規模洪水が発生しました。3月25日には1936年ロンドン海軍条約(London Naval Treaty of 1936)が署名され、海軍軍備制限の枠組みが再整理されました。
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1936年3月の録音に関する情報のまとめ
1936年3月の録音関連資料では、アメリカ合衆国のデッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)、アメリカン・レコード・コーポレーション(American Record Corporation)、RCAビクター社(RCA Victor Company, Inc.)系のビクター(Victor)、およびイギリスのエレクトリック・アンド・ミュージカル・インダストリーズ社(Electric and Musical Industries Limited)系レーベルで録音活動を確認できます。ジャズ、スウィング、ダンス音楽、ポピュラー歌唱、器楽小編成の録音が並行して行われ、ニューヨーク、ニューオーリンズ、ロンドンなど複数都市の録音拠点が継続的に機能していました。
デッカ・レコード
デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)では、1936年3月にニューヨークとニューオーリンズで複数の重要録音が確認できます。アンディ・カーク・アンド・ヒズ・トゥエルヴ・クラウズ・オブ・ジョイ(Andy Kirk and His Twelve Clouds of Joy)は、1936年3月2日にニューヨークで「Walkin’ and Swingin’」「Moten Swing」「Lotta Sax Appeal」などを録音し、3月3日、3月4日、3月7日、3月11日、3月31日にも同月内の録音活動が確認できます。メアリー・ルー・ウィリアムズ(Mary Lou Williams, 1910–1981)はこの楽団のピアニスト、編曲者として重要な位置を占め、「Walkin’ and Swingin’」などの録音と結びついています。
同社では、コニー・ボズウェル(Connee Boswell, 1907–1976)のデッカ録音も1936年3月5日に確認できます。3月16日にはレッド・ノーヴォ・アンド・ヒズ・スウィング・セクステット(Red Norvo and His Swing Sextette)がニューヨークで「I Got Rhythm」を録音しました。3月21日にはニューオーリンズでシャーキー・ボナーノズ・ニューオーリンズ・ボーイズ(Sharkey’s New Orleans Boys)が「Everybody Loves My Baby」「Yes, She Do, No, She Don’t」などを録音し、同社がニューヨーク以外の地域録音にも関与していたことを示しています。3月29日にはジミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Jimmy Dorsey and His Orchestra)による「Is It True What They Say About Dixie?」の録音も確認できます。
- https://mainspringpress.org/wp-content/uploads/2026/01/RUST_JRR-6.pdf
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1936-03-21
- https://libweb.umkc.edu/spec-col/local627/music/record-labels/walkin-and-swingin.htm
アメリカン・レコード・コーポレーション
アメリカン・レコード・コーポレーション(American Record Corporation)系では、ヴォカリオン(Vocalion)を中心に1936年3月のジャズ録音が確認できます。ウィンギー・マノン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Wingy Manone and His Orchestra)は、1936年3月10日にニューヨークで録音を行い、「Shoe Shine Boy」「West Wind」「Is It True What They Say About Dixie?」「Goody, Goody」などが同日の録音として確認できます。
3月13日にはスタッフ・スミス・アンド・ヒズ・オニックス・クラブ・ボーイズ(Stuff Smith and His Onyx Club Boys)がニューヨークでヴォカリオン(Vocalion)向けに録音し、「I Don’t Want To Make History」「’Tain’t No Use」「After You’ve Gone」「You’se A Viper」が確認できます。ジョナ・ジョーンズ(Jonah Jones, 1909–2000)、スタッフ・スミス(Stuff Smith, 1909–1967)、コージー・コール(Cozy Cole, 1909–1981)を含む小編成で、ニューヨークのクラブ・シーンと商業録音の接点を示す録音です。3月11日にはシカゴ・リズム・キングス(Chicago Rhythm Kings)のシカゴ録音も確認できますが、奏者情報には推定を含む資料があるため、録音名義と録音日を中心に扱います。
- https://syncopatedtimes.com/wingy-manone-and-his-orchestra/
- https://www.jazzarcheology.com/artists/stuff_smith.pdf
- https://mainspringpress.org/wp-content/uploads/2026/01/RUST_JRR-6.pdf
RCAビクター
RCAビクター社(RCA Victor Company, Inc.)系のビクター(Victor)では、1936年3月にトミー・ドーシー(Tommy Dorsey, 1905–1956)関連の録音活動が確認できます。1936年3月27日、トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・クラムベイク・セヴン(Tommy Dorsey and His Clambake Seven)はニューヨークで「Rhythm Saved the World」を録音しました。この録音にはエディス・ライト(Edythe Wright, 1916–1965)の歌唱が入り、スウィング期の小編成録音として位置づけられます。
同時期のトミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Tommy Dorsey and His Orchestra)は、RCAスタジオで継続的に録音を行っており、1936年3月後半から4月初旬にかけてビクター(Victor)向けの商業録音が続きました。資料上確認できる範囲では、当月の録音活動はニューヨークのRCAスタジオを中心に行われています。
- https://www.colorado.edu/amrc/sites/default/files/attached-files/tommy_dorsey_1936_0.pdf
- https://swingandbeyond.com/2017/12/27/rhythm-saved-the-world-1936-tommy-dorseys-clambake-seven-with-edythe-wright/
- https://www.library.ucsb.edu/special-collections/performing-arts/victor
エレクトリック・アンド・ミュージカル・インダストリーズ
エレクトリック・アンド・ミュージカル・インダストリーズ社(Electric and Musical Industries Limited)系では、1936年3月のロンドン録音が確認できます。ヒズ・マスターズ・ヴォイス(His Master’s Voice)系では、1936年3月9日にロンドンのアビイ・ロード・スタジオ(Abbey Road Studios)でジョージ・スコット=ウッド(George Scott-Wood, 1903–1978)のピアノ・アコーディオン録音が行われ、モーリス・エルウィン(Maurice Elwin, 1896–1975)がヴォーカル・コーラスで参加した「Song of Songs」「Ah, Sweet Mystery of Life」が確認できます。
同社系のコロムビア(Columbia)およびリーガル・ゾノフォン(Regal Zonophone)関連では、ハリー・ロビンズ・アンド・ヒズ・レッドブレスツ(Harry Robbins and His Redbreasts)の1936年3月録音が確認されます。ロンドンの軽音楽、ダンス音楽、器楽録音は、アメリカ合衆国のスウィング録音と同時期に並行して進み、1936年3月の録音活動が大西洋両岸で継続していたことを示しています。
- https://mauriceelwin.com/maurice-elwin-discography/
- https://mainspringpress.org/wp-content/uploads/2026/01/RUST_JRR-6.pdf
- https://musiktiteldb.de/Label/Col_FB01.html
