1937年4月に録音された音楽
1937年4月は、帝国統治、航空技術、社会制度、戦争の各分野で大きな動きが重なった月です。4月1日、アデン直轄植民地(Aden Colony)がイギリス帝国(British Empire)の直轄植民地となり、同日、ニュージーランド王立空軍(Royal New Zealand Air Force)が独立軍種として発足しました。4月12日にはフランク・ホイットル(Frank Whittle, 1907–1996)がパワー・ジェッツ WU(Power Jets WU)を地上試験し、ジェット推進の実用化に近づきました。アメリカ合衆国では、4月23日にアメリカ合衆国議会図書館(Library of Congress)の視覚障害者向けトーキングブック事業に関する予算上限引き上げが成立し、録音物を用いた読書支援が拡大しました。4月27日にはアメリカ合衆国下院歳入委員会(United States House Committee on Ways and Means)でマリファナ課税法(Marihuana Tax Act of 1937)案に関する公聴会が始まりました。4月26日、スペイン内戦(Spanish Civil War)下でゲルニカ爆撃(Bombing of Guernica)が起こり、空爆による民間被害が国際世論に強い衝撃を与えました。
この月の確認されている録音:0曲
1937年4月の録音に関する情報のまとめ
1937年4月の録音関連資料では、アメリカ合衆国のスウィング、ポピュラー歌謡、ジャズ小編成録音に加え、フランスでのジャズ専門レーベル活動も確認できます。アメリカ合衆国では、マスター・レコード社(Master Records, Inc.)とヴァラエティ・レコード(Variety Records)が4月1日に本格発売へ進み、アメリカン・レコード・コーポレーション(American Record Corporation)系の録音・製造基盤を利用した新興レーベル展開が始まりました。同月の録音資料では、デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)、アメリカン・レコード・コーポレーション(American Record Corporation)、アールシーエー・マニュファクチャリング社(RCA Manufacturing Company, Inc.)のヴィクター(Victor)、スウィング・レコード(Swing Records)の活動が確認できます。1937年4月は、既存大手による継続的な録音生産と、ジャズ専門・廉価盤・独立系に近い新レーベル活動が並行した月でした。
マスター・レコードとヴァラエティ・レコード
マスター・レコード社(Master Records, Inc.)とヴァラエティ・レコード(Variety Records)は、1937年4月1日に最初の発売を行いました。マスター・レコード社(Master Records, Inc.)は75セント盤、ヴァラエティ・レコード(Variety Records)は35セント盤として展開され、アーヴィング・ミルズ(Irving Mills, 1894–1985)が関与したレーベル活動として確認できます。資料上、初回発売は200タイトル規模とされ、デューク・エリントン(Duke Ellington, 1899–1974)、キャブ・キャロウェイ(Cab Calloway, 1907–1994)、ハドソン=デランジュ・オーケストラ(Hudson-DeLange Orchestra)、レイモンド・スコット・クインテット(Raymond Scott Quintette)などが含まれていました。
この展開は、アメリカン・レコード・コーポレーション(American Record Corporation)の録音・製造基盤を利用しながら、ジャズとポピュラー音楽を価格帯別に供給しようとする試みでした。1937年4月時点では、既存大手の通常価格盤と廉価盤市場の間に、スウィング時代の新しい需要を取り込むレーベル編成が現れていたといえます。
- https://mainspringpress.org/2025/06/16/new-free-download-american-record-companies-and-producers-1888-1950-second-edition-allan-sutton-mainspring-press/
- https://mainspringpress.org/wp-content/uploads/2026/01/RUST_JRR-6.pdf
デッカ・レコード
デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)では、1937年4月7日にニューヨークで、ルイ・アームストロング(Louis Armstrong, 1901–1971)とミルズ・ブラザーズ(The Mills Brothers)による録音が行われました。確認できる曲目は「Carry Me Back To Old Virginny」と「Darling Nelly Gray」で、デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)の人気歌手・ヴォーカル・グループ路線とジャズ系スターの接点を示す録音です。
同月30日には、ニューヨークでディック・ロバートソン(Dick Robertson, 生没年不明)関連の録音として「Toodle-Oo」「It Looks Like Rain In Cherry Blossom Lane」「On A Little Dream Ranch」が確認できます。デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)は1934年の設立後、35セント盤を軸にポピュラー歌謡、ダンスバンド、ジャズ系録音を広く扱っており、1937年4月の資料でも量産的な録音活動が継続していたことが確認できます。
- https://mainspringpress.org/2025/06/16/new-free-download-american-record-companies-and-producers-1888-1950-second-edition-allan-sutton-mainspring-press/
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アメリカン・レコード・コーポレーション
アメリカン・レコード・コーポレーション(American Record Corporation)系では、1937年4月1日にニューヨークで、テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and His Orchestra)による、ビリー・ホリデイ(Billie Holiday, 1915–1959)のヴォーカル録音が行われました。曲目は「Where Is The Sun?」「Let’s Call The Whole Thing Off」「They Can’t Take That Away From Me」「Don’t Know If I’m Comin’ Or Goin’」で、ヴォカリオン(Vocalion)およびオーケー・レコード(Okeh Records)系の発売情報と結びついています。
4月23日には、テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and His Orchestra)による、ヘレン・ウォード(Helen Ward, 1913–1998)のヴォーカル録音も確認できます。曲目は「There’s A Lull In My Life」「It’s Swell Of You」「How Am I To Know?」「I’m Coming, Virginia」で、ブランズウィック(Brunswick)およびヴォカリオン(Vocalion)系の資料に現れます。1937年4月のアメリカン・レコード・コーポレーション(American Record Corporation)系録音は、スウィング時代の小編成ジャズとポピュラー歌唱を結びつける制作方針を示しています。
- https://mainspringpress.org/wp-content/uploads/2026/01/RUST_JRR-6.pdf
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ヴィクター
アールシーエー・マニュファクチャリング社(RCA Manufacturing Company, Inc.)のヴィクター(Victor)系資料では、1937年4月2日にアメリカ合衆国ニュージャージー州カムデン(Camden, New Jersey, United States)で、オジー・ネルソン・オーケストラ(Ozzie Nelson Orchestra)による「To a Sweet Pretty Thing」の録音が確認できます。資料上のマトリクス番号はBS-06597です。
1930年代後半のヴィクター(Victor)系録音は、アールシーエー・マニュファクチャリング社(RCA Manufacturing Company, Inc.)の録音・製造体制の中で行われ、ヴィクター(Victor)およびブルーバード(Bluebird)などの系列レーベルを通じて販売されました。1937年4月のオジー・ネルソン・オーケストラ(Ozzie Nelson Orchestra)録音は、同社がダンスバンド系録音を継続していたことを示す当月資料です。
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/matrix/detail/200031172/BS-06597-To_a_sweet_pretty_thing
- https://mainspringpress.org/2025/06/16/new-free-download-american-record-companies-and-producers-1888-1950-second-edition-allan-sutton-mainspring-press/
スウィング・レコード
スウィング・レコード(Swing Records)では、1937年4月28日にパリで、コールマン・ホーキンス・アンド・ヒズ・オールスター・ジャム・バンド(Coleman Hawkins and His All-Star Jam Band)による録音が行われました。確認できる曲目には「Honeysuckle Rose」と「Crazy Rhythm」があり、コールマン・ホーキンス(Coleman Hawkins, 1904–1969)を中心に、ヨーロッパ滞在中のジャズ演奏家を記録したセッションとして重要です。
スウィング・レコード(Swing Records)は、シャルル・ドロネー(Charles Delaunay, 1911–1988)とユーグ・パナシエ(Hugues Panassié, 1912–1974)が関与したジャズ専門レーベルで、1937年4月の録音は、ヨーロッパにおけるジャズ録音の専門的な記録・発売活動を示しています。アメリカ合衆国の大手レーベル中心の録音産業とは別に、フランスでジャズを独立した記録対象として扱う動きが進んでいたことが確認できます。
- https://mainspringpress.org/wp-content/uploads/2026/01/RUST_JRR-6.pdf
- https://www.philschaapjazz.com/essays/coleman-hawkins-and-his-all-star-jam-band-april-28-1937
