1937年5月に録音された音楽
1937年5月は、戦争と亡命、航空事故、王室儀礼、科学探検、建築技術、文化事業、労働運動が同時に動いた月です。5月3日–8日、スペイン第二共和国(Second Spanish Republic)側のバルセロナ五月事件(Barcelona May Days)で内部対立が市街戦化しました。5月6日、ドイツの飛行船ヒンデンブルク号(LZ 129 Hindenburg)がアメリカ合衆国(United States of America)ニュージャージー州レイクハーストで炎上しました。5月12日、ジョージ6世(George VI, 1895–1952)とエリザベス・アンジェラ・マーガレット・ボーズ=ライアン(Elizabeth Angela Marguerite Bowes-Lyon, 1900–2002)の戴冠式がウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)で行われ、イギリス放送協会(British Broadcasting Corporation)のテレビ中継も注目されました。5月21日、ソビエト連邦(Union of Soviet Socialist Republics)は北極第一漂流基地(North Pole-1)を開設し、同日、客船アバナ号(SS Habana)はバスク地方の子ども約4,000人をグレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)へ避難させました。5月25日、パリ万国博覧会(Exposition Internationale des Arts et Techniques dans la Vie Moderne)が開幕しました。5月27日、ゴールデン・ゲート・ブリッジ(Golden Gate Bridge)が歩行者に開放され、5月30日にはシカゴのメモリアルデー虐殺事件(Memorial Day Massacre)が起きました。
この月の確認されている録音:0曲
1937年5月の録音に関する情報のまとめ
1937年5月の録音関連資料では、ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(Radio Corporation of America)のヴィクター部門、デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)、アメリカン・レコード・コーポレーション(American Record Corporation)、ホット・レコード・ソサエティ(Hot Record Society)、ウェブスター・エレクトリック社(Webster Electric Company)の活動が確認できます。内容は、録音セッション、映画・巡演と結びついたレコード販促、復刻盤事業、レコード再生機器部品の販売に分かれます。
ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ
『ラジオ・トゥデイ(Radio Today)』1937年5月号では、ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(Radio Corporation of America)のヴィクター部門が、フィラデルフィア管弦楽団(The Philadelphia Orchestra)のアメリカ合衆国(United States of America)とカナダ(Canada)における巡演を、レコード販売促進と結びつけていたことが確認できます。巡演はユージン・オーマンディ(Eugene Ormandy, 1899–1985)、ホセ・イトゥルビ(José Iturbi, 1895–1980)、レオポルド・ストコフスキー(Leopold Stokowski, 1882–1977)に関わるもので、1937年5月22日にニューヨーク州ホワイト・プレーンズで終わる予定とされています。同号の映画楽曲欄では、ヴィクター・レコード(Victor Records)とブルーバード・レコード(Bluebird Records)による『ヒット・パレード(The Hit Parade)』『メロディー・フォー・トゥー(Melody for Two)』『ニュー・フェイシズ・オブ・1937(New Faces of 1937)』関連曲の販売情報も確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Radio-Today/30s/Radio-Today-1937-05.pdf
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1937-05-14
デッカ・レコード社
『ラジオ・トゥデイ(Radio Today)』1937年5月号は、デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)について、サンフランシスコのオペラ歌手ジョセフィン・トゥミニア(Josephine Tumminia, 生没年不明)が同社のために「coloratura swing」2曲を録音したと伝えています。同号の映画楽曲欄では、『ヒット・パレード(The Hit Parade)』関連曲の「Sweet Heartache」「Love Is Good for Anything That Ails You」「Was It Rain」、『メロディー・フォー・トゥー(Melody for Two)』関連曲の「Melody for Two」「September in the Rain」について、デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)の発売品が複数挙げられています。米国歴史録音ディスコグラフィー(Discography of American Historical Recordings)では、1937年5月6日のデッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)マスター番号91226「Slocum blues」と、1937年5月14日のマスター番号62196「She lived beside the annex」が確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Radio-Today/30s/Radio-Today-1937-05.pdf
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse?Matrix_sort=PrimaryTitle.desc&date=1937-05-06
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/date/browse/1937-05-14
アメリカン・レコード・コーポレーション
アメリカン・レコード・コーポレーション(American Record Corporation)は、1937年時点でブランズウィック・レコード・コーポレーション(Brunswick Record Corporation)やマスター・レコード社(Master Records Inc.)と運用上重なる制作・販売網を持っていました。『ラジオ・トゥデイ(Radio Today)』1937年5月号の映画楽曲欄では、ブランズウィック・レコード(Brunswick Records)、マスター・レコード(Master Records)、メロトーン・レコード(Melotone Records)、ヴォカリオン・レコード(Vocalion Records)、ヴァラエティ・レコード(Variety Records)の発売品が並列して挙げられています。1937年5月14日には、デューク・エリントン(Duke Ellington, 1899–1974)のデューク・エリントン・アンド・ヒズ・フェイマス・オーケストラ(Duke Ellington and His Famous Orchestra)が、ニューヨーク市ブロードウェイ1780番地のマスター・レコード社(Master Records Inc.)スタジオで「Caravan」(マスター番号M 470-2)と「Azure」(マスター番号M 471-1)を録音しました。1937年5月18日には、ディック・マクドノウ(Dick McDonough, 1904–1938)を含むニューヨークのセッションで「Don’t Ever Change」「Two Hearts Are Dancing」「And Then They Called It Love」「You’re Looking For Romance」が録音されています。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-Radio-Today/30s/Radio-Today-1937-05.pdf
- https://www.mosaicrecords.com/duke-ellington-the-complete-1932-1940-brunswick-columbia-master-recordings/
- https://mainspringpress.org/wp-content/uploads/2026/01/RUST_JRR-6.pdf
ホット・レコード・ソサエティ
ホット・レコード・ソサエティ(Hot Record Society)は、1937年5月時点でニューヨーク市フィフス・アベニュー303番地1306号室を拠点とし、入手困難になっていた旧ジャズ録音を会員向けに限定再発する事業を始めていました。『タイム(Time)』1937年5月17日記事では、同会が年6点の限定再発を予定し、年会費6ドルで会員を募っていたことが確認できます。これは当月の新録音ではありませんが、1930年代後半にジャズ録音を歴史的対象として再流通させる動きが、レコード産業の周辺で具体化していたことを示します。
ウェブスター・エレクトリック社
ウェブスター・エレクトリック社(Webster Electric Company)は、『ラジオ・トゥデイ(Radio Today)』1937年5月号の新製品・広告欄で、レコード再生機器関連の活動を確認できます。同号では、ウィスコンシン州ラシーンのウェブスター・エレクトリック社(Webster Electric Company)が、マグネティック式蓄音機ピックアップの型番40-A-5を定価8ドルで掲載しています。これは録音セッションではなく、レコード再生機器・音響機器市場での同月活動です。
