1938年3月に録音された音楽
1938年3月は、ヨーロッパの国境秩序、資源政策、戦時社会、文化産業が同時に大きく動いた月です。ドイツ国(German Reich)は3月11日–13日にオーストリア連邦国(Federal State of Austria)を併合し、アンシュルス(Anschluss)が実施されました。スペイン内戦(Spanish Civil War)では、3月9日にアラゴン攻勢(Aragon Offensive)が始まり、3月16日–18日にはイタリア王国(Kingdom of Italy)の航空機によるバルセロナ爆撃(Bombing of Barcelona)が行われました。ソビエト社会主義共和国連邦(Union of Soviet Socialist Republics)では、3月2日–13日に反ソヴィエト「右翼・トロツキスト・ブロック」事件(Case of the Anti-Soviet “Bloc of Rights and Trotskyites”)の裁判が行われ、ニコライ・ブハーリン(Nikolai Bukharin, 1888–1938)らが被告となりました。メキシコ合衆国(United Mexican States)では、ラサロ・カルデナス・デル・リオ(Lázaro Cárdenas del Río, 1895–1970)が3月18日に外国石油会社資産の収用を命じました。サウジアラビア王国(Kingdom of Saudi Arabia)では、3月4日にダンマーム第七号井(Dammam No. 7)で商業規模の石油が確認されました。アメリカ合衆国(United States of America)では、3月10日に第十回アカデミー賞授賞式(10th Academy Awards)が開かれ、『ゾラの生涯』(The Life of Emile Zola)が優秀作品賞(Outstanding Production)を受けました。
この月の確認されている録音:0曲
1938年3月の録音に関する情報のまとめ
1938年3月の録音関連資料では、アールシーエー製造社(RCA Manufacturing Co., Inc.)、デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)、アメリカン・レコード社(American Record Corporation)、ザ・グラモフォン社(The Gramophone Company Ltd.)に、当月日付の録音活動が確認できます。ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、ロンドンで、スウィング、ジャズ、ブルース、ポピュラー歌曲、器楽、愛国歌、宗教曲などの録音が行われ、主要レーベルがダンス音楽とポピュラー音楽の商業録音を継続的に展開していたことがわかります。
アールシーエー製造社
アールシーエー製造社(RCA Manufacturing Co., Inc.)は、1938年3月にヴィクター(Victor)とブルーバード(Bluebird)の両系列で録音活動を確認できます。ヴィクター(Victor)では、ニューヨークを中心に、ベニー・グッドマン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Benny Goodman and His Orchestra)、トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Tommy Dorsey and His Orchestra)、ファッツ・ウォーラー・アンド・ヒズ・リズム(Fats Waller and His Rhythm)、バニー・ベリガン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Bunny Berigan and His Orchestra)、ガイ・ロンバード・アンド・ヒズ・ロイヤル・カナディアンズ(Guy Lombardo and His Royal Canadians)など、当時の主要なスウィング、ジャズ、ダンス音楽系アーティストの録音が集中しました。ブルーバード(Bluebird)では、シカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスで、ブルース、ダンス音楽、ポピュラー歌曲の録音が確認でき、同社が高価格帯・大衆向け系列を並行して運用していたことを示しています。
- https://www.78discography.com/vic25500.html
- https://www.78discography.com/BB7500.htm
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/resources/detail/78_discography
デッカ・レコード社
デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)では、1938年3月にニューヨークを中心とする録音活動が確認できます。ボブ・クロスビー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Bob Crosby and His Orchestra)やジミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Jimmy Dorsey and His Orchestra)などのダンス・バンド録音に加え、歌手、器楽奏者、愛国歌・標準曲系の録音も行われました。同社の当月録音は、スウィング期の商業ダンス音楽を主軸にしながら、家庭向け・大衆向けの幅広いレパートリーを継続供給していたことを示しています。
- https://www.78discography.com/Dec1500.htm
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/resources/detail/78_discography
- https://www.decca.com/
アメリカン・レコード社
アメリカン・レコード社(American Record Corporation)では、1938年3月にブランズウィック(Brunswick)とヴォカリオン(Vocalion)の両系列で録音活動が確認できます。ブランズウィック(Brunswick)では、ロサンゼルス録音を含むダンス・バンド系の録音が行われ、ヴォカリオン(Vocalion)では、アール・ハインズ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Earl Hines and His Orchestra)、キャブ・キャロウェイ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Cab Calloway and His Orchestra)、ジョニー・ホッジス・アンド・ヒズ・オーケストラ(Johnny Hodges and His Orchestra)など、ジャズ色の強い録音が確認できます。ブランズウィック(Brunswick)とヴォカリオン(Vocalion)の使い分けから、同社がダンス音楽とジャズ寄りの録音を複数レーベルで展開していたことがわかります。
- https://www.78discography.com/BRN8000.htm
- https://www.78discography.com/VOC4000.htm
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/resources/detail/78_discography
ザ・グラモフォン社
ザ・グラモフォン社(The Gramophone Company Ltd.)のヒズ・マスターズ・ヴォイス(His Master’s Voice)では、1938年3月にロンドンでポール・ロブソン(Paul Robeson, 1898–1976)の録音が確認できます。この録音は、アメリカ合衆国のヴィクター(Victor)番号表にも関連して整理されており、同時期の英米間における原盤・発売連携を示す事例です。アメリカ国内のレコード会社だけでなく、英国録音と北米市場の結びつきも、1938年3月の録音状況を把握するうえで重要です。
- https://www.78discography.com/vic25500.html
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/resources/detail/78_discography
- https://www.library.ucsb.edu/special-collections/performing-arts/victor
