1940年11月に録音された音楽
1940年11月は、第二次世界大戦(World War II)の戦局と国際秩序が大きく動いた月です。11月5日の1940年アメリカ合衆国大統領選挙(United States presidential election of 1940)では、フランクリン・デラノ・ルーズベルト(Franklin Delano Roosevelt, 1882–1945)がウェンデル・ルイス・ウィルキー(Wendell Lewis Willkie, 1892–1944)を破り、アメリカ合衆国史上初の3期目に進みました。11月7日にはタコマナローズ橋(Tacoma Narrows Bridge)が崩落し、橋梁工学に大きな教訓を残しました。11月11日–12日にはターラント空襲(Battle of Taranto)でイギリス海軍(Royal Navy)がイタリア王国海軍(Regia Marina)に打撃を与え、11月14日–15日にはコヴェントリー空襲(Coventry Blitz)で都市中心部が甚大な被害を受けました。11月15日にはワルシャワ・ゲットー(Warsaw Ghetto)が封鎖され、占領下ポーランドのユダヤ人迫害はさらに制度化されました。文化面では、11月13日にウォルト・ディズニー・プロダクションズ(Walt Disney Productions)の『ファンタジア(Fantasia)』がニューヨークで公開され、ファンタサウンド(Fantasound)による上映が試みられました。11月20日–24日には、ハンガリー王国(Kingdom of Hungary)、ルーマニア王国(Kingdom of Romania)、スロバキア共和国(Slovak Republic)が三国同盟条約(Tripartite Pact)に加わりました。
この月の確認されている録音:0曲
1940年11月の録音に関する情報のまとめ
1940年11月の録音関連資料では、アメリカ合衆国の大手レコード会社を中心に、スウィング、ポピュラー歌曲、ダンス・オーケストラ、ジャズ、カントリー音楽系録音の動きが確認できます。コロムビア・レコーディング・コーポレーション(Columbia Recording Corporation)では、コロムビア・レコード(Columbia Records)とオーケー・レコード(OKeh Records)の系列で主要スウィング録音が続きました。アールシーエー・マニュファクチャリング社(RCA Manufacturing Co., Inc.)では、ヴィクター(Victor)とブルーバード・レコード(Bluebird Records)の両系列で、ダンス・バンドとジャズ系録音の活動が確認できます。デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)では、ポピュラー歌曲とダンス・オーケストラの商業録音が継続し、スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)のジェネット・レコーディング・ラボラトリーズ(Gennett Recording Laboratories)では、同社最後期の商業録音活動が資料上で確認できます。
コロムビア
コロムビア・レコーディング・コーポレーション(Columbia Recording Corporation)では、1940年11月にコロムビア・レコード(Columbia Records)とオーケー・レコード(OKeh Records)の両系列で、スウィング系録音の活動が確認できます。11月7日にはベニー・グッドマン・セクステット・フィーチャリング・カウント・ベイシー(Benny Goodman Sextet Featuring Count Basie)の録音が行われ、11月13日と11月29日にもベニー・グッドマン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Benny Goodman and His Orchestra)の録音が続きました。11月19日にはカウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and His Orchestra)の録音が確認でき、同月のコロムビア系録音は、同社のスウィング・カタログを支える主要セッションを含んでいました。
- https://www.78discography.com/COL35500.htm
- https://www.78discography.com/OK5600.htm
- https://www.mosaicrecords.com/lester-young-1936-1940-okeh-recordings-mosaic-records/
アールシーエー・マニュファクチャリング
アールシーエー・マニュファクチャリング社(RCA Manufacturing Co., Inc.)では、1940年11月にヴィクター(Victor)とブルーバード・レコード(Bluebird Records)の両系列で録音活動が確認できます。ヴィクター(Victor)系列では、トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Tommy Dorsey and His Orchestra)の録音が同月の代表的な活動として確認でき、「Star Dust」はフランク・シナトラ(Frank Sinatra, 1915–1998)とパイド・パイパーズ(Pied Pipers)の歌唱を含む録音として記録されています。ブルーバード・レコード(Bluebird Records)系列では、アースキン・ホーキンス・アンド・ヒズ・オーケストラ(Erskine Hawkins and His Orchestra)、ファッツ・ウォーラー・アンド・ヒズ・リズム(Fats Waller and His Rhythm)、グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Glenn Miller and His Orchestra)などの録音が確認でき、同社が大衆的なダンス・バンド録音とジャズ系録音を並行して扱っていたことが分かります。
- https://www.78discography.com/vic27000.html
- https://www.78discography.com/BB10500.htm
- https://www.78discography.com/BB11000.htm
デッカ
デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)では、1940年11月にポピュラー歌曲とダンス・オーケストラの録音が確認できます。11月9日にはウッディ・ハーマン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Woody Herman and His Orchestra)の録音が確認され、11月28日にはディック・ロバートソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Dick Robertson and His Orchestra)の録音が確認できます。資料上で確認できる範囲では、同月のデッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)は、特定の単独企画よりも、商業流通向けのダンス・バンド録音とポピュラー歌曲録音を継続していた月として位置づけられます。
ジェネット
スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)のジェネット・レコーディング・ラボラトリーズ(Gennett Recording Laboratories)では、1940年11月9日にインディアナ州リッチモンドで、同社最後の確認済み商業録音セッションが行われたとされています。このセッションは、ウォーレン・キャプリンガー(Warren Caplinger, 生没年不明)、アンディ・パターソン(Andy Patterson, 生没年不明)、ウィリアム・A・“フリップ”・ストリックランド(William A. “Flip” Strickland, 生没年不明)によるカントリー音楽系トリオの録音で、短命のファイアサイド・メロディーズ(Fireside Melodies)向けに行われたものとされています。1930年代後半のジェネット・レコーディング・ラボラトリーズ(Gennett Recording Laboratories)は、効果音、私的録音、カスタム録音、ラジオ用トランスクリプション、外部クライアント向け制作業務へ比重を移しており、1940年11月のセッションは同社の商業録音活動の終盤を示す事例です。
