1941年5月に録音された音楽
1941年5月は、第二次世界大戦(World War II)の戦線拡大と、戦時下の社会・文化・技術の変化が重なった月でした。1日、映画『市民ケーン(Citizen Kane)』がニューヨークで世界初公開されました。10日–11日にはロンドンが大規模空襲を受け、約1,436人が死亡しました。14日、占領下パリで緑の切符一斉検挙(Rafle du billet vert)が行われ、外国籍ユダヤ人3,747人が逮捕されました。15日にはグロスター・エアクラフト社(Gloster Aircraft Company)のグロスター E.28/39(Gloster E.28/39)が連合国側初のジェット機として公式初飛行しました。20日にはクレタ島の戦い(Battle of Crete)が始まり、27日には戦艦ビスマルク(German battleship Bismarck)が撃沈されました。同日、フランクリン・デラノ・ルーズベルト(Franklin Delano Roosevelt, 1882–1945)は大統領布告2487(Proclamation 2487)により、アメリカ合衆国(United States of America)に無制限国家非常事態を宣言しました。
この月の確認されている録音:0曲
1941年5月の録音に関する情報のまとめ
1941年5月の録音関連資料では、アメリカ合衆国(United States of America)の主要商業レーベルを中心に、映画音楽と結びついたポピュラー録音、ジャズ/スウィング系録音、旧レーベル原盤の権利移転が確認できます。アールシーエー・ヴィクター部門(RCA-Victor Division of RCA Manufacturing Company, Inc.)では、ブルーバード・レコード(Bluebird Records)とヴィクター・レコード(Victor Records)向けの録音が行われました。コロムビア・レコーディング社(Columbia Recording Corporation)では、オーケー・レコード(Okeh Records)向けにビリー・ホリデイ(Billie Holiday, 1915–1959)の重要録音が残されました。デッカ・レコード・インコーポレイテッド(Decca Records, Inc.)では、同月の録音活動に加え、ブランズウィック・ラジオ社(Brunswick Radio Corporation)の取得が大きな動きとなりました。
アールシーエー・ヴィクター
1941年5月、アールシーエー・ヴィクター部門(RCA-Victor Division of RCA Manufacturing Company, Inc.)では、ブルーバード・レコード(Bluebird Records)とヴィクター・レコード(Victor Records)向けの録音活動が確認できます。7日には、グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Glenn Miller and His Orchestra)が、後に映画『銀嶺セレナーデ(Sun Valley Serenade)』で広く知られる「Chattanooga Choo Choo」を録音しました。13日には、ファッツ・ウォーラー(Fats Waller, 1904–1943)がヴィクター・レコード向けに「Honeysuckle Rose」などのピアノ・ソロを録音しました。戦時期に入った1941年の同社は、全国流通力を持つ大手レーベルとして、ダンス音楽とジャズ双方の主力録音を継続していました。
コロムビア・レコーディング/オーケー
1941年5月9日、コロムビア・レコーディング社(Columbia Recording Corporation)のオーケー・レコード(Okeh Records)は、ニューヨークでビリー・ホリデイ(Billie Holiday, 1915–1959)の録音セッションを行いました。この日に録音された「God Bless The Child」は、ビリー・ホリデイの代表作の一つとして後世に大きな位置を占める録音となりました。同セッションでは「Solitude」も録音され、伴奏者としてエディ・ヘイウッド(Eddie Heywood, 1915–1989)らが参加しました。1940年に廉価レーベルとして再開されたオーケー・レコードは、1941年にもジャズ/ポピュラー分野の重要録音を継続していました。
- https://billieholiday.be/album/1239_god_bless_the_child_%28cbs_m66267-3%29.html
- https://www.45cat.com/78rpm/record/6270us
- https://www.jazzdisco.org/billie-holiday/catalog/
デッカ
1941年5月2日、ワーナー・ブラザーズ・ピクチャーズ(Warner Brothers Pictures)は、ブランズウィック・ラジオ社(Brunswick Radio Corporation)をデッカ・レコード・インコーポレイテッド(Decca Records, Inc.)へ売却しました。5月8日、ジャック・カップ(Jack Kapp, 1901–1949)は、デッカ・レコード・インコーポレイテッドがブランズウィック・ラジオ社の全資本株式を取得したと発表しました。この取得により、1931年11月17日のブランズウィック=バルケ=コレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Company)レコード部門売却以前に録音されたブランズウィック・レコード(Brunswick Records)およびヴォカリオン・レコード(Vocalion Records)の原盤権利は、デッカ・レコード・インコーポレイテッド側へ移りました。録音面では、26日にビング・クロスビー(Bing Crosby, 1903–1977)とメアリー・マーティン(Mary Martin, 1913–1990)が、ジャック・ティーガーデン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Jack Teagarden and his Orchestra)とともに「The Waiter And The Porter And The Upstairs Maid」を録音しました。企業買収と話題性の高いポピュラー録音が同月に重なった点は、1941年5月のデッカの動向として特筆できます。
- https://www.78discography.com/78brndec.htm
- https://www.78discography.com/Dec3500.htm
- https://adp.library.ucsb.edu/index.php/objects/detail/312766/Decca_3816
