1941年9月に録音された音楽

この記事は約8分で読めます。
スポンサーリンク

1941年9月に録音された音楽

1941年9月は、第二次世界大戦(World War II)が軍事・政治・社会の各面で拡大した月でした。9月1日、ラインハルト・ハイドリヒ(Reinhard Heydrich, 1904–1942)は、ドイツ国(German Reich)などのユダヤ人に黄色いダビデの星の着用を命じました。9月6日、日本では昭和天皇(1901–1989)臨席の御前会議で、近衛文麿(1891–1945)内閣が対米交渉と戦争準備を並行させる方針を決定しました。9月8日にはレニングラード包囲戦(Siege of Leningrad)が始まり、9月11日にはフランクリン・デラノ・ルーズベルト(Franklin Delano Roosevelt, 1882–1945)がアメリカ合衆国海軍駆逐艦グリア(USS Greer, DD-145)をめぐるグリア事件(Greer Incident)を受け、大西洋上で枢軸国側艦艇への警戒を強める演説を行いました。イランでは9月16日にレザー・シャー・パフラヴィー(Reza Shah Pahlavi, 1878–1944)が退位し、9月17日にモハンマド・レザー・パフラヴィー(Mohammad Reza Pahlavi, 1919–1980)が即位しました。9月20日にはアメリカ合衆国で歳入法(Revenue Act of 1941)が成立し、国防財源の拡大が進みました。9月27日にはリバティ船パトリック・ヘンリー(SS Patrick Henry)が進水し、戦時輸送体制の象徴となりました。9月29日–30日にはバビ・ヤール虐殺(Babyn Yar Massacre)が起き、同じ9月29日にはモスクワ会議(Moscow Conference, 1941)が始まり、連合国側の対ソ支援協議が進められました。

この月の確認されている録音:0曲

1941年9月の録音に関する情報のまとめ

1941年9月の録音関連情報では、アメリカ合衆国(United States of America)の大手レコード会社が、映画主題歌、ダンス・バンド、ジャズ、ポピュラー歌曲を中心に録音を継続していたことが確認できます。当月の目立つ動きとしては、ハロルド・アーレン(Harold Arlen, 1905–1986)とジョニー・マーサー(Johnny Mercer, 1909–1976)による《Blues in the Night》が、アーティ・ショウ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Artie Shaw and His Orchestra)、ウディ・ハーマン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Woody Herman and His Orchestra)、キャブ・キャロウェイ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Cab Calloway and His Orchestra)などにより、複数社で録音されたことが挙げられます。大手各社では、アールシーエー・マニュファクチャリング社(RCA Manufacturing Co., Inc.)系のヴィクター・レコード(Victor Records)とブルーバード・レコード(Bluebird Records)、デッカ・レコード・インコーポレイテッド(Decca Records, Inc.)、コロムビア・レコーディング社(Columbia Recording Corporation)系のコロムビア・レコード(Columbia Records)とオーケー・レコード(Okeh Records)の録音活動が確認できます。また、キーノート・レコード(Keynote Records)ではアルマナック・シンガーズ(The Almanac Singers)の《Talking Union》が同時代誌で取り上げられており、労働歌・フォーク系録音の流通面でも当月の動きが確認できます。

アールシーエー・マニュファクチャリング

アールシーエー・マニュファクチャリング社(RCA Manufacturing Co., Inc.)では、ヴィクター・レコード(Victor Records)とブルーバード・レコード(Bluebird Records)の両系統で1941年9月の録音活動が確認できます。ヴィクター・レコード(Victor Records)では、アーティ・ショウ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Artie Shaw and His Orchestra)が9月2日にニューヨークで《Blues in the Night》を録音し、デューク・エリントン・アンド・ヒズ・フェイマス・オーケストラ(Duke Ellington and His Famous Orchestra)は9月26日にハリウッドで《Five O’Clock Drag》を録音しています。ブルーバード・レコード(Bluebird Records)では、グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Glenn Miller and His Orchestra)が9月3日に録音を行い、ボブ・チェスター・アンド・ヒズ・オーケストラ(Bob Chester and His Orchestra)は9月25日に《Joltin’ Joe Di Maggio》を録音しました。同社系の当月録音は、スウィング・バンド、映画主題歌、戦時下の大衆的話題を取り込むポピュラー歌曲を中心に展開していました。

デッカ・レコード

デッカ・レコード・インコーポレイテッド(Decca Records, Inc.)では、1941年9月にダンス・バンド、ポピュラー歌手、ヴォーカル・グループの録音が確認できます。ウディ・ハーマン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Woody Herman and His Orchestra)は9月10日に《Blues in the Night》と《This Time the Dream’s On Me》を録音し、同月の映画音楽系録音の中でも重要な位置を占めます。ボブ・クロスビー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Bob Crosby and His Orchestra)は9月4日に録音を行い、ガイ・ロンバード・アンド・ヒズ・ロイヤル・カナディアンズ(Guy Lombardo and His Royal Canadians)は9月6日に録音を行いました。アンドリューズ・シスターズ(The Andrews Sisters)の9月10日録音も確認でき、同社の当月活動は、スウィング、映画音楽、ヴォーカル・アンサンブルを含む幅広い大衆音楽録音に及んでいました。

コロムビア・レコーディング

コロムビア・レコーディング社(Columbia Recording Corporation)では、コロムビア・レコード(Columbia Records)とオーケー・レコード(Okeh Records)の両方で1941年9月の録音活動が確認できます。コロムビア・レコード(Columbia Records)では、ハリー・ジェームズ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Harry James and His Orchestra)が9月8日に録音を行い、同社の人気スウィング・バンド録音を継続しました。オーケー・レコード(Okeh Records)では、キャブ・キャロウェイ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Cab Calloway and His Orchestra)が9月10日に《Blues in the Night》を録音し、同月の同曲録音群の中でも重要な一例となっています。また、ジーン・オートリー(Gene Autry, 1907–1998)の9月26日録音も確認でき、同社系レーベルの当月活動は、スウィング、ジャズ、カントリー系録音を含む構成でした。

キーノート・レコード

キーノート・レコード(Keynote Records)では、アルマナック・シンガーズ(The Almanac Singers)の3枚組78回転盤アルバム《Talking Union》が、1941年9月15日付のタイム(Time)誌記事「Music: September Records」で取り上げられています。同記事では、《Talking Union》が前週にキーノート・レコード(Keynote Records)から発売されていたことが確認できます。この録音は1941年5月録音とされるため、1941年9月録音とは扱いませんが、同月に発売・批評対象となった録音関連活動として確認できます。アメリカ議会図書館(Library of Congress)の全米録音登録簿(National Recording Registry)では、《Talking Union》は2010年登録作品として扱われ、1941年の労働歌録音およびアメリカ合衆国(United States of America)のフォーク・リヴァイヴァル史に関わる重要録音と位置づけられています。