1943年5月に録音された音楽

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1943年5月に録音された音楽

1943年5月は、第二次世界大戦(World War II)の戦局と政治構想が大きく動いた月です。5月13日、チュニジア戦役(Tunisia Campaign)で枢軸国軍が降伏し、北アフリカ戦役(North African Campaign)は連合国軍の勝利で終結しました。ポーランドでは、ワルシャワ・ゲットー蜂起(Warsaw Ghetto Uprising)が5月16日に鎮圧されました。5月12日–25日には第三次ワシントン会談(Third Washington Conference / Trident Conference)が開かれ、フランクリン・D・ルーズベルト(Franklin D. Roosevelt, 1882–1945)とウィンストン・チャーチル(Winston Churchill, 1874–1965)が対独戦略を協議しました。太平洋では5月11日からアッツ島の戦い(Battle of Attu)が始まり、北太平洋の島嶼戦が本格化しました。5月16日–17日には、イギリス空軍第617飛行隊(No. 617 Squadron Royal Air Force)がチャスタイズ作戦(Operation Chastise)を実施し、ドイツのダムを攻撃しました。政治面では5月15日に共産主義インターナショナル(Communist International)の解散決議が採択され、文化面では5月29日のサタデー・イブニング・ポスト(The Saturday Evening Post)表紙にノーマン・ロックウェル(Norman Rockwell, 1894–1978)の「ロージー・ザ・リベッター(Rosie the Riveter)」が掲載されました。

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1943年5月の録音に関する情報のまとめ

1943年5月のアメリカ合衆国録音業界では、1942年8月1日に始まったアメリカ音楽家連盟(American Federation of Musicians)の録音禁止が継続していました。そのため、大手会社の活動は、楽器奏者を伴う新規録音よりも、録音済み原盤の発売・再発売、声楽中心の録音、旧原盤の市場再投入、業界誌上の販売動向として確認されます。1943年5月に資料上の動きが確認できる中心的な会社は、デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)、コロムビア・レコーディング社(Columbia Recording Corporation)、ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(Radio Corporation of America)のアールシーエー・ヴィクター(RCA Victor)です。

デッカ・レコード

デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)では、1943年5月27日にディック・ヘイムズ・アンド・ザ・ソング・スピナーズ(Dick Haymes and The Song Spinners)による「ユール・ネヴァー・ノウ(You’ll Never Know)」が録音されています。同じ録音日のデッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)関連資料では、「ウェイト・フォー・ミー、メアリー(Wait for Me, Mary)」、「イン・マイ・アームズ(In My Arms)」、「イット・キャント・ビー・ロング(It Can’t Be Wrong)」も確認できます。これらは、アメリカ音楽家連盟(American Federation of Musicians)の録音禁止下で、器楽中心の大編成録音ではなく、声楽を軸に商業盤を供給した事例です。デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)が1943年5月に通常の器楽録音を全面的に再開していたことは、確認資料上では確認できません。

コロムビア・レコーディング

コロムビア・レコーディング社(Columbia Recording Corporation)では、1943年5月の市場動向として、既録音原盤の再活用が重要です。ハリー・ジェームズ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Harry James and His Orchestra)とフランク・シナトラ(Frank Sinatra, 1915–1998)による「オール・オア・ナッシング・アット・オール(All or Nothing at All)」は、録音自体は1939年9月17日ですが、1943年にフランク・シナトラ(Frank Sinatra, 1915–1998)の人気上昇とともに再び大きく流通しました。また、ベニー・グッドマン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Benny Goodman and His Orchestra)による「ホワイ・ドント・ユー・ドゥ・ライト(Why Don’t You Do Right)」は、1942年7月27日録音のColumbia 36652として確認でき、ペギー・リー(Peggy Lee, 1920–2002)の歌唱を含む同盤は1943年の市場で重要な位置を占めました。オーケー・レコード(Okeh Records)では、アル・デクスター・アンド・ヒズ・トルーパーズ(Al Dexter and His Troopers)による「ピストル・パッキン・ママ(Pistol Packin’ Mama)」が1943年のカントリー系ヒットとして動き始めていますが、録音日は1942年3月20日であり、1943年5月の新録音ではありません。

アールシーエー・ヴィクター

ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(Radio Corporation of America)のアールシーエー・ヴィクター(RCA Victor)では、1943年5月の新規器楽録音よりも、1942年録音原盤の販売・流通が確認できます。グレン・ミラー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Glenn Miller and His Orchestra)による「ザット・オールド・ブラック・マジック(That Old Black Magic)」は、Victor 20-1523として確認でき、録音日は1942年7月15日です。同じ原盤は後にVictor 20-1560にも関連して確認され、1943年のチャート上で広く流通しました。アールシーエー・ヴィクター(RCA Victor)が1943年5月に、アメリカ音楽家連盟(American Federation of Musicians)の録音禁止を越えて通常の商業器楽録音を再開したことは、確認資料上では確認できません。