1948年10月に録音された音楽

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1948年10月に録音された音楽

1948年10月は、戦後秩序の再編と各地の政治的・社会的緊張が重なった月でした。中国では国共内戦の遼瀋戦役(Liaoshen Campaign, 1948年9月12日–11月2日)が10月に決定局面へ入り、東北戦線の帰趨を左右する攻防が続きました。大韓民国では10月19日に麗水・順天10・19事件(Yeosu and Suncheon October 19 Incident)が発生し、建国直後の不安定な政治状況が表面化しました。1948年アラブ・イスラエル戦争(1948 Arab–Israeli War)では、イスラエル軍が10月15日–22日にヨアヴ作戦(Operation Yoav)、10月29日–31日にヒラム作戦(Operation Hiram)を実施しました。10月6日にはソビエト連邦のトルクメン・ソビエト社会主義共和国で1948年アシガバート地震(1948 Ashgabat Earthquake)が起こり、甚大な被害をもたらしました。アメリカ合衆国では10月27日–31日に1948年ドノラ・スモッグ(1948 Donora Smog)が発生し、大気汚染が公衆衛生に及ぼす危険を強く印象づけました。科学技術では、クロード・エルウッド・シャノン(Claude Elwood Shannon, 1916–2001)の論文『通信の数学的理論』(A Mathematical Theory of Communication)の後半が10月に公表され、情報理論の基礎が示されました。国際協力の分野では、10月5日にフランスのフォンテーヌブローで国際自然保護連合(International Union for the Protection of Nature)が設立されました。

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1948年10月の録音に関する情報のまとめ

1948年10月の録音業界では、アメリカ音楽家連盟(American Federation of Musicians)による録音禁止問題の収束をめぐる交渉が継続し、主要レコード会社は新規録音の制約が残るなかで、契約拡大、既存原盤の活用、海外流通網の整備、年末商戦に向けた販促、人事再編を進めていました。業界紙では、キャピトル・レコード社(Capitol Records, Inc.)の専属契約とメキシコ展開、コロムビア・レコード社(Columbia Records, Inc.)の長時間再生マイクログルーヴ盤の展開と担当再編、デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)の新レーベル準備、エムジーエム・レコード(MGM Records)のクリスマス販促、アポロ・レコード社(Apollo Records, Inc.)の重点盤プロモーション、ミュージクラフト・レコード(Musicraft Records)をめぐる契約訴訟が確認できます。

キャピトル・レコード社

キャピトル・レコード社(Capitol Records, Inc.)は、10月にアーティスト契約と海外展開の双方を積極化させました。10月9日付『ザ・キャッシュ・ボックス』(The Cash Box)は、ディーン・マーティン(Dean Martin, 1917–1995)とジェリー・ルイス(Jerry Lewis, 1926–2017)が同社と専属録音契約を結び、初回盤について特別な販売施策が予定されていると報じました。同号では、ニック・ルーカス(Nick Lucas, 1897–1982)との契約も紹介されています。さらに10月30日付同紙は、キャピトル・レコード社が10月12日付でメキシコにおける製造・流通契約を締結し、現地でのキャピトル盤供給とメキシコ録音物のアメリカ合衆国内流通を組み合わせる構想を進めたと伝えました。10月の同社は、スター契約の獲得と国際市場の拡張を同時に進めていました。

コロムビア・レコード社

コロムビア・レコード社(Columbia Records, Inc.)は、1948年6月に発表した長時間再生マイクログルーヴ盤の展開を10月も継続しました。1948年10月号『ラジオ・リテイリング』(Radio Retailing)は、同社の新たな長時間再生マイクログルーヴ盤として、ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini, 1858–1924)の歌劇『ラ・ボエーム』(La bohème)全曲盤を含む発売計画を紹介しています。また10月30日付『ザ・キャッシュ・ボックス』では、ベン・セルヴィン(Ben Selvin, 1898–1980)がハリウッドのポピュラー音楽部門の管理者に任命され、ジョー・ヒギンズ(Joe Higgins, 生没年不明)がニューヨークの東部担当へ移る人事が報じられました。あわせて、ジョージ・アヴァキアン(George Avakian, 1919–2017)が既存のジャズ部門業務に加えて外国語部門の管理も担うことになり、同社は商品開発と部門運営の両面で体制を整えていました。

デッカ・レコード社

デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)については、10月23日付『ザ・キャッシュ・ボックス』が、新レーベルとしてコーラル・レコード(Coral Records)を12月1日に開始予定であると報じました。同紙は、この新レーベルが標準価格帯で販売され、独立系販売網を通じて全国展開される計画であると伝えています。10月時点では開始前の準備段階ですが、デッカ・レコード社が既存の販売体制に加えて新レーベル事業を組み込み、戦後市場の拡大に対応しようとしていたことが確認できます。

エムジーエム・レコード

エムジーエム・レコード(MGM Records)は、10月末に年末商戦へ向けた全国規模の販促を開始しました。10月30日付『ザ・キャッシュ・ボックス』は、同社が児童向けシリーズとクリスマス商品を対象に、協同広告を含む全国キャンペーンを始めたと報じています。記事では、ライオネル・バリモア(Lionel Barrymore, 1878–1954)による『クリスマス・キャロル』(Christmas Carol)を含むホリデー商品が重点的に扱われ、季節需要を見越した販売施策が進められていました。録音禁止問題が続くなかでも、エムジーエム・レコードは既存商品と企画盤を活用し、年末需要の取り込みを図っていました。

アポロ・レコード社

アポロ・レコード社(Apollo Records, Inc.)は、10月にマーフィー・シスターズ(The Murphy Sisters)の「To Make a Mistake Is Human」を重点盤として大規模な販促を展開しました。10月23日付『ザ・キャッシュ・ボックス』は、同社がこの盤を対象に、ラジオ局・雑誌向け見本盤の増量、ニューヨークおよびニュージャージー地区でのディスクジョッキー向け施策、デトロイト、シカゴ、ロサンゼルス、ニューオーリンズ、フィラデルフィア、ニューヨーク、ボルティモアを重点地域とする宣伝を進めたと報じています。さらに10月30日付同紙では、同盤への注文急増を受け、通常生産に用いていたプレス設備を重点盤の供給へ振り向けたと伝えられました。アポロ・レコード社は、録音禁止以前に制作された音源を軸に、販促と供給を一体化させた対応を採っていました。

ミュージクラフト・レコード

ミュージクラフト・レコード(Musicraft Records)については、10月23日付『ザ・キャッシュ・ボックス』が、サラ・ヴォーン(Sarah Vaughan, 1924–1990)が同社を相手に訴訟を起こしたと報じました。同記事によれば、訴えは契約解除と、同社が保有していた複数のマスター録音に関する権利の移転を求める内容とされました。記事は伝聞形式で報じており、訴訟の最終的な帰結は同月資料だけでは確認できませんが、1948年10月時点でミュージクラフト・レコードをめぐる契約・原盤権の問題が業界紙上で明確に取り上げられていたことは確認できます。