1949年10月に録音された音楽
1949年10月は、戦後世界の政治構造と社会制度が大きく動いた月でした。10月1日、毛沢東(Mao Zedong, 1893–1976)が中華人民共和国(People’s Republic of China)の成立を宣言し、10月7日にはドイツ民主共和国(German Democratic Republic)が発足しました。10月24日にはニューヨークで国際連合恒久本部(United Nations Permanent Headquarters)の定礎式が行われ、国際連合(United Nations)の恒久的な活動拠点整備が進みました。米国では10月26日、ハリー・S・トルーマン(Harry S. Truman, 1884–1972)が1949年公正労働基準法改正(Fair Labor Standards Amendments of 1949)に署名し、連邦最低賃金は時給40セントから75セントへ引き上げられました。科学技術分野では10月20日、ノーマン・ジョセフ・ウッドランド(Norman Joseph Woodland, 1921–2012)とバーナード・シルバー(Bernard Silver, 1924–1963)が、分類装置および方法(Classifying Apparatus and Method)の特許を出願しました。文化面では10月5日、映画『イカボードとトード氏』(The Adventures of Ichabod and Mr. Toad)が公開されました。
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1949年10月の録音に関する情報のまとめ
1949年10月の録音業界では、長時間盤と45回転盤をめぐる規格競争が、商品政策・価格設定・権利処理の各面で具体化しました。アールシーエー・ヴィクター・レコード(RCA Victor Records)は、ブルーバード・レーベル(Bluebird label)の運用再編と低価格45回転盤の投入を進め、デッカ・レコード(Decca Records)はアルバム商品を複数速度で展開する方針を前面に出しました。コロムビア・レコード(Columbia Records)では長時間盤の出版使用料体系が整えられつつあり、録音媒体の新形式が流通実務と権利処理の再設計を促していたことが確認できます。さらに、アトランティック・レコード(Atlantic Records)は児童向けレコード分野への進出計画を明らかにしており、1949年10月は、既存市場の再編と新規需要の開拓が同時に進んだ時期でした。
アールシーエー・ヴィクター・レコード
アールシーエー・ヴィクター・レコード(RCA Victor Records)は、1949年10月15日号の『ビルボード(The Billboard)』で、ブルーバード・レーベル(Bluebird label)に柔軟なストック・カンパニー方式を導入する新しい運用方針を進めていると報じられました。これは、低価格帯レーベルの編成と制作体制を機動的に扱うための施策として示されています。
続く10月22日号では、ブルーバード・レーベル(Bluebird label)の第3次新譜が10月14日に出荷され、従来型盤と45回転盤の双方で供給されたと報じられました。45回転盤版は49セントという低価格で設定され、アールシーエー・ヴィクター・レコード(RCA Victor Records)が45回転盤の普及を価格面からも後押ししようとしていたことが読み取れます。同記事では、ブルーバード45回転盤を黒色盤に統一し、従来の色別区分を省く方針も説明されています。さらに10月29日号には、45回転盤の展開を訴求する広告が掲載され、同社の新規格普及策が当月を通じて継続していたことが確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/40s/1949/Billboard%201949-10-15.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/40s/1949/Billboard%201949-10-22a.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/40s/1949/Billboard%201949-10-29.pdf
デッカ・レコード
デッカ・レコード(Decca Records)は、1949年10月22日号の『ビルボード(The Billboard)』特別ディスクジョッキー補遺で、「デッカ・アルバムズ・イン・2・スピーズ(Decca Albums in 2 Speeds)」と題する広告を掲載しました。これは、同社がアルバム商品を複数の再生速度に対応させて販売する方針を強く打ち出していたことを示しています。1949年の音盤市場では、従来型盤、長時間盤、45回転盤の併存が流通と購買行動に直接影響し始めており、デッカ・レコード(Decca Records)の当月広告は、その移行期の販売戦略を端的に示す資料です。
コロムビア・レコード
コロムビア・レコード(Columbia Records)は、1949年10月29日号の『ビルボード(The Billboard)』で、長時間盤に対する出版使用料体系をほぼ整えたと報じられました。記事では、一般的なポピュラー作品に対する既定の料率に加え、著作権が存続するクラシック作品の長時間盤利用についても、出版社側の承認を前提に料率調整が進められていると説明されています。あわせて、10インチ盤では1曲あたり1.5セント、より高価格帯の長時間盤では1曲あたり2セントという料率が示されており、長時間盤の普及が録音販売だけでなく、出版権処理の標準化にも影響を及ぼしていたことが確認できます。
アトランティック・レコード
アトランティック・レコード(Atlantic Records)は、1949年10月22日号の『ビルボード(The Billboard)』で、児童向けレコード分野への進出計画が報じられました。記事では、同社が11月10日に児童向け商品を投入する予定であり、10インチ盤2枚に合計256話を収める構成が示されています。1949年10月時点での発表内容ではありますが、これは同社がリズム・アンド・ブルースやジャズだけでなく、家庭向け・児童向け市場にも事業領域を広げようとしていた動きを示す当月の重要資料です。
