1949年9月に録音された音楽

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1949年9月に録音された音楽

1949年9月、戦後秩序の再編と冷戦の緊張が同時に進みました。9月17日、北大西洋理事会(North Atlantic Council)がワシントンで初会合を開き、北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization)の運営体制が具体化しました。9月18日、グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)はスターリング・ポンドの切下げを発表し、対米ドル平価を1ポンド=2.80ドルとしました。9月23日、ハリー・S・トルーマン(Harry S. Truman, 1884–1972)は、ソビエト社会主義共和国連邦(Union of Soviet Socialist Republics)で原子爆発が起きたとの証拠を公表しました。ドイツ連邦共和国(Federal Republic of Germany)では、9月12日にテオドール・ホイス(Theodor Heuss, 1884–1963)が初代連邦大統領に、9月15日にコンラート・アデナウアー(Konrad Adenauer, 1876–1967)が初代連邦首相に選出されました。9月21日には中国人民政治協商会議第1回全体会議(First Plenary Session of the Chinese People’s Political Consultative Conference)が開幕し、文化面では9月2日に映画『第三の男』(The Third Man)がロンドンで初公開されました。9月30日にはベルリン空輸(Berlin Airlift)が終了しました。

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1949年9月の録音に関する情報のまとめ

1949年9月の録音産業では、低価格盤の拡充、専属契約の強化、映画産業との販促連携、地域流通網の再編が並行して進みました。大手企業は価格帯と商品系列を広げ、独立系企業は新レーベルの設立、配給拠点の整備、既存ヒットの全国展開に力を入れています。録音作品そのものだけでなく、販売ルート、広告手法、レーベル運営の変化が明確に表れた月でした。

アールシーエー・ヴィクター・レコード

アールシーエー・ヴィクター・レコード(RCA Victor Records)は、低価格盤シリーズのブルーバード(Bluebird)で第2次発売を進め、幅広いジャンルの新作を早期出荷対象として打ち出しました。販促面では、850のラジオ局への見本盤送付と、販売店向けの店頭装飾資材による46セント盤の訴求が計画されていました。組織面では、録音部門の大半をニューヨークの録音スタジオ近隣に移す方針が示され、6,000平方フィートの新拠点確保も報じられています。さらに、同社の45回転方式はテキサス・エンジニアリング・アンド・マニュファクチャリング社(Texas Engineering and Manufacturing Co., Inc.)の工場内音楽システムに導入され、家庭用以外の用途拡大も確認できます。

デッカ・レコード

デッカ・レコード・インコーポレイテッド(Decca Records, Inc.)は、9月上旬に新たな販売代理店3社を加え、全米の配給拠点を52か所へ拡大しました。録音契約では、カリプソ系歌手とカントリー系デュオを新たに専属契約へ迎え、ジャンルの幅を広げています。映画『ジョルソン再び歌う』(Jolson Sings Again)のサウンドトラック盤については、ディスクジョッキーを巻き込んだ大規模販促が展開されました。さらに9月下旬には、フォーク/ウェスタン分野で7組との新契約が公表され、同社が流通とレパートリー拡張を同時に進めていたことが分かります。

ロンドン・レコード

ロンドン・レコード(London Records)は、1949年9月にジャズおよびブルース分野への本格進出を表明し、新部門の設置と複数アーティストの契約を進めました。新部門は、黒人音楽市場とヒルビリー市場の双方を視野に入れた運営方針で動き始めています。ポピュラー分野でも新たな契約を進め、従来の輸入盤中心のイメージから、米国市場向けの録音会社としての性格を強めていました。9月下旬には、独立系レーベルが保有していた録音マスター2件を取得し、既存の地域ヒットを自社流通へ組み込む動きも見せています。

エムジーエム・レコード

エムジーエム・レコード(MGM Records)は、ロウズ・シアターズ(Loew’s Theatres)と連携し、映画館網をレコード販売促進に活用する方針を明確にしました。対象は映画サウンドトラック盤だけに限られず、劇場と直接結びつかない一般レコードまで販促対象に含める構想でした。セントルイスのロウズ・シアター(Loew’s Theatre)では、巨大なターンテーブル風ディスプレイと音響演出を備えた店頭型展示も行われています。映画興行とレコード流通を一体化させる販促モデルを積極的に試していたことが確認できます。

キャピトル・レコード

キャピトル・レコード(Capitol Records)は、ワーナー・ブラザース・スタジオズ(Warner Bros. Studios)の作曲家・指揮者であるマックス・スタイナー(Max Steiner, 1888–1971)と録音契約を結びました。発表では、今後多くの映画音楽スコアをアルバム形式で独占発売する構想が示されています。映画音楽を単発盤ではなく、まとまった鑑賞商品として展開する方針がうかがえます。戦後のレコード市場において、映画音楽の商品価値をより積極的に押し出す動きでした。

アトランティック・レコード

アトランティック・レコード・インコーポレイテッド(Atlantic Records, Inc.)は、新たな傘下レーベルとしてプラザ(Plaza)を近く始動させる計画を明らかにしました。既存のアトランティック・レコード・インコーポレイテッドと同様に、ジャズおよびブルースを主軸に据える方針が示されています。プラザには独自の所属アーティストを置き、新しい配給網も整える予定とされました。独立系レコード会社が、単一レーベルの拡大から複数ブランド運営へ進む局面を示す動きです。

レインボー・レコード

レインボー・レコード・インコーポレイテッド(Rainbow Records, Inc.)は、ザ・コールドウェルズ(The Caldwells)との新たな録音契約を公表しました。同グループはすでに約1年間レインボー・レコード・インコーポレイテッドで録音しており、今回の契約は長期契約と報じられています。既発盤「I Just Found Out」は5万枚を超えたとされ、ジュークボックスでも好調な反応を得ていました。次作「I Still Feel The Same About You」は間もなく発売予定とされ、主要な販売業者とオペレーターには見本盤が送られていました。

シグネチャー・レコード

シグネチャー・レコード(Signature Records)は、年末商戦を見据えた低価格クリスマス盤の販売計画を打ち出しました。すでに大手小売カタログへの掲載が進んでおり、同社は5セント・10セント店や百貨店を含む既存取引先へ、クリスマス商品ラインを一斉に提示しています。複数のアルバム商品を異なる価格帯で展開する構成が示され、季節需要を狙った明確な量販戦略が確認できます。単独ヒット盤ではなく、季節商品としてのアルバム販売を重視した動きでした。

スパイア・レコード

スパイア・レコード・リミテッド(Spire Records, Ltd.)は、ロサンゼルスに新たな配給拠点を開設する計画を発表しました。新会社のスパイア・ディストリビューティング・カンパニー(Spire Distributing Company)は、スパイア・レコード・リミテッドの商品だけでなく、他レーベル商品も南カリフォルニア地域で扱う予定とされました。これは録音制作にとどまらず、地域流通を自社主導で強める動きです。新譜の展開と配給会社の設置を同時に進めることで、西海岸市場での足場固めを図っていました。

マーキュリー・レコード

マーキュリー・レコード(Mercury Records)は、1949年9月下旬に、一定期間の売上が過去最高水準に達する見込みと報じられました。販売拡大の中心には複数のヒット盤があり、そのうち主力商品の1枚は35万枚を超えたと伝えられています。加えて、ポピュラー歌手やブルース歌手による好調盤が相次ぎ、同社全体の商勢を押し上げていました。マーキュリー・レコードが戦後の大衆市場で強い存在感を示していたことが読み取れます。

マナー・レコード

マナー・レコード(Manor Records)は、一般事務、在庫、展示、出荷の各部門を、より大規模な拠点へ移すことを決めました。移転先はニューアークのモスク・シアター・ビルディング(Mosque Theatre Building)で、業務機能の集約と物理的拡張が同時に進められています。ニューヨーク地域での配給は、引き続きコスナット・ディストリビューティング(Cosnat Distributing)が担当すると報じられました。販路を維持しながら管理機能を広げる再編でした。

スター・レコード

スター・レコード(Star Records)は、新作「Azar」の展開にあわせて、ニューヨーク地域とデトロイト地域の販売代理店を選定しました。ニューヨーク地域では販売活動がすでに始まり、デトロイト地域でも良好な初動が伝えられています。新譜を単に発売するだけでなく、地域ごとに配給体制を整えてから市場投入していたことが確認できます。独立系レーベルにとって、代理店網の確保が発売戦略の中核だったことを示す事例です。

シュープリーム・レコード

シュープリーム・レコード・インコーポレイテッド(Supreme Records, Inc.)は、全国展開を強化するための拡張計画を発表しました。計画は、東部と西海岸の営業・販促機能を連動させ、販売業者、オペレーター、小売店への浸透をさらに深める内容でした。資料では、従来の全国配給体制を短期間で再構築してきた経緯にも触れられており、単なる新譜投入ではなく、営業組織そのものの強化が主眼となっていました。既存ヒットの勢いを背景に、企業基盤を拡張する段階に入っていたことが分かります。

ナショナル・レコード

ナショナル・レコード・インコーポレイテッド(National Records, Inc.)は、2名の歌手と独占5年契約を結んだと発表しました。両者は近く録音を行い、初回発売は翌月初めに予定されていました。既存商品の販促だけでなく、中期的な契約関係を先に固めたうえで新録音を準備する方針がうかがえます。即時的なヒット狙いと、将来のレパートリー形成を並行して進める動きでした。