1950年10月に録音された音楽
1950年10月は、朝鮮戦争(Korean War)の推移が国際情勢を大きく左右した月でした。10月15日にはハリー・S・トルーマン(Harry S. Truman, 1884–1972)とダグラス・マッカーサー(Douglas MacArthur, 1880–1964)がウェーク島会談(Wake Island Conference)を行い、10月19日にはアメリカ合衆国第8軍(Eighth United States Army)が平壌を占領しました。10月25日には中国側部隊の存在が戦場で確認され、戦局は新たな段階に入りました。科学技術では、連邦通信委員会(Federal Communications Commission)が10月11日にカラー・テレビジョンに関する第2次報告を公表しました。文化面では、チャールズ・M・シュルツ(Charles M. Schulz, 1922–2000)の漫画『ピーナッツ』(Peanuts)が10月2日に掲載を開始しました。社会・宗教面では、10月7日にマザー・テレサ(Mother Teresa, 1910–1997)の神の愛の宣教者会(Missionaries of Charity)が正式に成立し、10月14日にはタコマ・ナローズ橋(Tacoma Narrows Bridge)の再建橋が開通しました。
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1950年10月の録音に関する情報のまとめ
1950年10月の米国録音産業では、78回転盤、45回転盤、33 1/3回転盤の併存が、販売施策、契約、レーベル運営、製造受託の各面に表れていました。コロムビア・レコード(Columbia Records)は音楽オペレーター向け施策や45回転盤展開を強め、アールシーエー・ヴィクター・レコード部門(RCA Victor Record Department)は有力歌手の獲得と新作供給を進めました。さらに、デッカ・レコード(Decca Records)、マーキュリー・レコード社(Mercury Records, Inc.)、コーラル・レコード(Coral Records)、ジュビリー・レコード社(Jubilee Record Co., Inc.)などでも契約・新商品・販促の動きが確認でき、ロンドン・レコード(London Records)は販売網の再編を進めました。ユニバーサル・レコーダーズ(Universal Recorders)は録音受託と盤生産の拡大を示しており、当月の資料からは、音盤市場が規格競争と流通再編のなかで活発に動いていたことが確認できます。
コロムビア・レコード
1950年10月、コロムビア・レコード(Columbia Records)は、音楽オペレーター向けの専門部門を新設し、全米の事業者に対する集中的な郵送施策を始めました。10月第1週から新譜案内カードを送付する方針が示され、またラミネート盤からソリッド・ストック盤へ戻す方針も報じられました。さらに、10インチ児童向け樹脂盤の価格改定と絵本付き児童向け商品の準備が確認でき、10月下旬には『サウス・パシフィック』(South Pacific)と『キス・ミー・ケイト』(Kiss Me, Kate)のオリジナル・キャスト盤を45回転盤で発売する動きも示されました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1950/CB-1950-10-07.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1950/CB-1950-10-14.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1950/Billboard%201950-10-28.pdf
アールシーエー・ヴィクター
アールシーエー・ヴィクター・レコード部門(RCA Victor Record Department)は、1950年10月にダイナ・ショア(Dinah Shore, 1916–1994)と5年契約を結び、年16面以上の録音を見込む契約内容が報じられました。あわせて、テレビ番組出演者による童謡アルバムを45回転盤と78回転盤で同月中に発売予定とし、ポピュラー歌手の獲得と子ども向け商品の展開を同時に進めていました。
デッカ・レコード
デッカ・レコード(Decca Records)は、1950年10月16日から、エセル・マーマン(Ethel Merman, 1908–1984)との専属録音契約を本格的に活用する方針を打ち出しました。10月21日号の業界誌は、この契約を起点とした販促展開の開始を報じており、舞台スターの録音商品化を強める動きが確認できます。
ジュビリー・レコード
ジュビリー・レコード社(Jubilee Record Co., Inc.)は、1950年10月時点でシルヴィア・フルース(Sylvia Froos, 生没年不明)とディック・ブラウン(Dick Brown, 生没年不明)を長期契約で迎え入れていました。業界誌は、両名の録音がジュークボックス市場で流通している状況も伝えており、同社が歌手層の拡充と現場需要の取り込みを同時に進めていたことが確認できます。
コーラル・レコード
コーラル・レコード(Coral Records)は、ジェリー・レスター(Jerry Lester, 生没年不明)と録音契約を結び、初回盤の発売を急ぎ、広範な販促支援を行う方針を示しました。テレビ露出のある人物を速やかに録音商品へ結び付ける動きが、1950年10月の資料に明確に表れています。
マーキュリー・レコード
マーキュリー・レコード社(Mercury Records, Inc.)は、ヴィック・ダモーン(Vic Damone, 1928–2018)との契約を更新しました。業界誌は、5年契約で年額4万5000ドルの保証を伴う条件を報じており、同社が有力歌手との長期関係を維持しようとしていたことが確認できます。
フォー・スター・レコード
フォー・スター・レコード(Four Star Records)は、1950年10月にウェスタン/ヒルビリー系の補助レーベル、ギルト・エッジ(Gilt-Edge)を再始動させました。同社は価格水準を維持しつつ、独自の配給網と独立した人材開拓を行う方針を示しており、フォーク市場への再投入を図っていたことが確認できます。
ロンドン・レコード
ロンドン・レコード(London Records)は、1950年10月1日付で販売網を再編し、クリーブランド、ピッツバーグ、ポートランドで新たな配給先を定めました。さらに、音楽オペレーター、ディスクジョッキー、販売店への販促を重視する新方針を示し、最新作への即時反応を販売網から吸い上げる計画も報じられました。
ユニバーサル・レコーダーズ
ユニバーサル・レコーダーズ(Universal Recorders)は、1950年10月時点で10インチ・ビニライト盤の生産が直近3か月で前2四半期比50%増、1950年1月–9月の全体実績も前年同期比25%増だったと報じられました。さらに、アメリカ合衆国海軍(United States Navy)とアメリカ合衆国海兵隊(United States Marine Corps)向けを含む200番組以上の録音・転写実績、プログレッシブ・ブロードキャスティング・システム(Progressive Broadcasting System)の試作盤制作開始、複数レーベルによる同社設備利用も確認できます。
