1951年12月に録音された音楽
1951年12月は、戦後復興の区切りと新しい国際秩序、科学技術、放送文化の展開が重なった月でした。12月10日にはノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)の授賞式が行われ、1951年受賞者のレオン・ジュオー(Léon Jouhaux, 1879–1954)が顕彰されました。12月20日、米国の実験増殖炉第一号(Experimental Breeder Reactor-I)は原子力による発電に成功し、同日、国際連合総会(United Nations General Assembly)は世界気象機関(World Meteorological Organization)を国際連合(United Nations)の専門機関としました。12月24日にはリビア連合王国(United Kingdom of Libya)が独立を宣言し、同日、ナショナル・ブロードキャスティング・カンパニー(National Broadcasting Company)はテレビ向けオペラ《アマールと夜の訪問者》(Amahl and the Night Visitors)を初放送しました。12月31日には欧州復興計画(European Recovery Program)が終了し、米国主導の戦後復興援助は一つの節目を迎えました。
この月の確認されている録音:0曲
1951年12月の録音に関する情報のまとめ
1951年12月の録音業界では、米国でレコード価格制度の見直しが進むなか、主要企業が制作部門、人事、流通、国外展開を同時に調整していました。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1951年12月1日号は、レコード業界向けの新たな価格上限制度の策定が進められていたことを伝えています。同月の資料では、アールシーエー・ヴィクター(RCA Victor)の制作部門人事、エムジーエム・レコード(MGM Records)の販売網再編、コロムビア・レコード社(Columbia Records, Inc.)のジュークボックス事業者向けカタログ、独立系レーベルの契約・原盤取得、販売会社とジュークボックス機器メーカーの販路整備が確認できます。
アールシーエー・ヴィクター
アールシーエー・ヴィクター(RCA Victor)では、1951年12月1日付のザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)が、デイヴ・カップ(Dave Kapp, 生没年不明)をポピュラー部門責任者に迎える動きが最終段階にあると報じました。ただし同記事は、契約書面はまだ締結されておらず、具体的な条件も確定記事として扱えないとしています。年末時点で、同社の制作体制再編が業界の注目を集めていたことは確認できます。
エムジーエム・レコード
エムジーエム・レコード(MGM Records)は、1951年12月1日号で販売代理網の再編を進めていると報じられました。記事では、シカゴ地域の代理店変更に加え、モンタナ州グレートフォールズとネブラスカ州オマハで新たな販売網が加わったことが示されています。同号はさらに、同社がリッキー・ヴァロ(Ricky Vallo, 生没年不明)と独占長期契約を結び、初回セッションをすでに終えたとも報じています。
コロムビア・レコード社
コロムビア・レコード社(Columbia Records, Inc.)は、1951年12月1日号で、45回転盤対応ジュークボックス運営者向けの専用カタログを用意したと報じられました。誌面によると、このカタログはタイトル、アーティスト、レコード番号を7区分で整理し、注文業務を簡便にすることを狙ったものでした。45回転盤の普及に合わせ、販売現場の実務支援を強めていた動きとして確認できます。
フェデラル・レコード
フェデラル・レコード(Federal Records)は、1951年12月1日号で、西海岸業務の強化と複数アーティストの新規契約を同時に進めていると報じられました。記事では、同社のアーティスト・アンド・レパートリー責任者が月末に西海岸へ移り、同地域の業務を統括する予定とされています。また、同社は複数のゴスペル、リズム・アンド・ブルース系アーティストとの契約を公表しており、年末時点で制作網の拡大を進めていたことが確認できます。
チェス・レコード
チェス・レコード(Chess Records)は、1951年12月1日号で、プレミアム・レコード(Premium Records)のマスター原盤を担保権処分によって取得したと報じられました。記事では、複数の既存原盤が含まれているとされ、取得後の発売時期については追って告知すると説明されています。チェス・レコードが既存原盤の確保を進めていた動きが確認できます。
マーキュリー・レコード
マーキュリー・レコード(Mercury Records)は、1951年12月1日号で、リズム・アンド・ブルース部門の強化を進めていると報じられました。同号は、リトル・エスター(Little Esther, 生没年不明)とジョニー・オーティス(Johnny Otis, 生没年不明)が同社と録音契約を結んだと伝えています。さらに、同部門の陣容拡充が進められていたことも記されており、同社が年末にレーベル戦略を広げていたことが確認できます。
デッカ・レコード・インコーポレイテッド
デッカ・レコード・インコーポレイテッド(Decca Records, Inc.)は、ザ・ビルボード(The Billboard)1951年12月8日号で、帝国蓄音器株式会社と、日本国内でレコードをプレスし配給する契約を結んだと報じられました。帝国蓄音器株式会社の社史では、デッカとの原盤契約を1951年9月の出来事として整理しています。したがって、1951年12月時点では、米国業界誌上で同契約の対日実施内容が具体的に報じられたことが確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1951/Billboard%201951-12-08.pdf
- https://www.teichiku.co.jp/90th/history/
コーヴェン・ディストリビューティング社
コーヴェン・ディストリビューティング社(Coven Distributing Company)は、1951年12月8日号で、ジュークボックス運営者向けの「ワンストップ・ミュージック・サービス」を開始したと発表されました。記事によると、同社は主要レーベルと独立系レーベルのレコード、タイトルストリップ、針、照明部品、機器部品、補給品、新品・中古のフォノグラフ機器までを一括で扱う体制を整えました。レコード販売と機器供給を一体化し、運営者の調達効率を高める販売網強化策として確認できます。
ルドルフ・ウーリッツァー社
ルドルフ・ウーリッツァー社(The Rudolph Wurlitzer Company)は、ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1951年12月1日号でWurlitzer 1400を大きく訴求し、オールスピード対応機、ゼニス・コブラ・スタイラス(Zenith Cobra Stylus)、低針圧を特徴として広告しました。さらに12月8日号では、コーヴェン・ディストリビューティング社(Coven Distributing Company)が同社の独占工場代理店としてWurlitzer 1400とWurlitzer 1450をショールーム展開していることが報じられています。12月時点で、同社がジュークボックス機器の販売訴求を強めていたことが確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1951/CB-1951-12-01.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1951/CB-1951-12-08.pdf
