1952年2月に録音された音楽
1952年2月、イギリスではジョージ6世(George VI, 1895–1952)が2月6日に死去し、エリザベス2世(Elizabeth II, 1926–2022)が即位しました。国際政治では、2月18日にギリシャとトルコが北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization)へ加盟し、冷戦下の西側安全保障体制が拡大しました。インドでは、1951年10月から続いた1951–1952年インド総選挙(General Elections, 1951–52)が2月に投票過程を終え、独立後初の全国規模の議会選挙が一区切りを迎えました。南アジアでは、2月21日に当時のパキスタン領東ベンガルのダッカで、ベンガル語運動(Bengali Language Movement)の学生らが言語権を求めて抗議し、警察の発砲によって死者が出ました。文化・スポーツでは、2月14日–25日にノルウェーのオスロで第6回オリンピック冬季競技大会オスロ1952(VI Olympic Winter Games Oslo 1952)が開催されました。科学技術・医療では、ジョン・ヘイシャム・ギボン・ジュニア(John Heysham Gibbon Jr., 1903–1973)が2月に人工心肺装置を人の手術に用いる初の試みを行い、開心術の実現へ向けた重要な段階となりました。
この月の確認されている録音:0曲
1952年2月の録音に関する情報のまとめ
1952年2月の録音関連業界では、主要レコード会社がヒット盤、新譜、販促活動を積極的に展開する一方、既存録音の無断複製をめぐる訴訟や、支社・販売網の再編も確認できます。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1952年2月号では、アールシーエー・ヴィクター・レコード(RCA Victor Records)、コロムビア・レコード(Columbia Records)、デッカ・レコード(Decca Records)、キャピトル・レコード(Capitol Records)、マーキュリー・レコード(Mercury Records)、エムジーエム・レコード(MGM Records)、ロンドン・レコード(London Records)、キング・レコード(King Records)の当月活動が確認できます。また、ジュークボックス機器では、ルドルフ・ワーリッツァー社(The Rudolph Wurlitzer Company)とロックオラ・マニュファクチャリング社(Rock-Ola Manufacturing Corporation)が新型機器の訴求を継続しており、レコード販売と再生機器販売が並行して活発に動いた月でした。
アールシーエー・ヴィクター・レコード
アールシーエー・ヴィクター・レコード(RCA Victor Records)は、ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1952年2月2日号の表紙で、エディ・アーノルド(Eddy Arnold, 1918–2008)を大きく取り上げました。同号は、同人がアールシーエー・ヴィクター在籍6年間で1600万枚超を販売したと紹介し、同誌の第6回投票で「1951年最優秀フォーク・アーティスト」(Best Folk Artist of 1951)に選ばれたことも掲げています。さらに同社は、同号の広告でエディ・アーノルドの既発盤と新作アルバムをまとめて訴求し、フォーク/カントリー部門の主力アーティストとして販売を押し出しました。2月16日号のディスクジョッキー集計でも、同社盤〈Slow Poke〉、〈Anytime〉、〈Bermuda〉が上位に掲載されています。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-02.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-16.pdf
コロムビア・レコード
コロムビア・レコード(Columbia Records)は、ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1952年2月9日号で、ルイ・アームストロング(Louis Armstrong, 1901–1971)とともに、同人の1925年–1932年録音を無断で複製したとする訴訟を起こしたことが報じられました。訴えの対象は、ジョリー・ロジャー・レーベル(Jolly Roger label)名義で盤を発売していたパラドックス・インダストリーズ社(Paradox Industries, Inc.)で、当時のレコード業界における海賊盤対策の具体例として重要です。販売面では、同号のディスクジョッキー集計で〈Cry〉、〈The Little White Cloud That Cried〉、〈Shrimp Boats〉が上位に入り、同社のポピュラー盤が強い存在感を示しました。
デッカ・レコード
デッカ・レコード(Decca Records)は、ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1952年2月号で、複数のポピュラー盤を継続して訴求しました。2月16日号のディスクジョッキー集計では、フォー・エイシズ(The Four Aces)の〈Tell Me Why〉が上位に掲載され、同社の主力ヒットとして扱われています。2月9日号の新譜評では、コニー・ボズウェル(Connee Boswell, 1907–1976)の〈Believe It Beloved〉/〈Begin the Beguine〉が「スリーパー・オブ・ザ・ウィーク」(Sleeper of the Week)として紹介され、同社が既存のヒット盤だけでなく新譜の市場浸透にも力を入れていたことが確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-09.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-16.pdf
キャピトル・レコード
キャピトル・レコード(Capitol Records)は、ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1952年2月号で、ポピュラー部門の新譜と既発ヒットの双方を展開しました。2月9日号の新譜評では、スキーツ・マクドナルド(Skeets McDonald, 1915–1968)の〈Be My Life’s Companion〉/〈Tell Me Why〉、レス・バクスター・オーケストラ(Les Baxter Orchestra)の〈Please, Mr. Sun〉/〈Blue Tango〉が取り上げられています。また、同月のディスクジョッキー集計では、レス・ポール・アンド・メアリー・フォード(Les Paul and Mary Ford)の〈Tiger Rag〉が上位に現れ、同社のアーティスト盤が引き続き強い再生需要を得ていました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-09.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-16.pdf
マーキュリー・レコード
マーキュリー・レコード(Mercury Records)は、ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1952年2月号で、ポピュラー盤の販売促進を継続しました。2月16日号の新譜評では、マーキュリー盤〈Jump Through the Ring〉/〈My Funny Valentine〉が「ディスク・オブ・ザ・ウィーク」(Disk of the Week)として扱われています。また、同月のチャートでは、エディ・ハワード(Eddy Howard, 1914–1963)の〈Sin〉が上位に入り、同社のヒット盤が引き続き市場で存在感を保っていました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-09.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-16.pdf
エムジーエム・レコード
エムジーエム・レコード(MGM Records)は、ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1952年2月16日号の表紙で、〈Crazy Heart〉を歌うダニー・デイヴィス(Danny Davis, 生没年未確認)を取り上げ、同人にとっての最初のエムジーエム盤として訴求しました。2月9日号には、エムジーエム・レコード(MGM Records)の複数新譜を並べた大型広告が掲載されており、ハンク・ウィリアムズ(Hank Williams, 1923–1953)、ビリー・エクスタイン(Billy Eckstine, 1914–1993)などの盤を同時に押し出しています。1952年2月は、同社が新しい売り出し盤と既存アーティストの販売を併走させていた時期として確
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-09.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-16.pdf
ロンドン・レコード
ロンドン・レコード(London Records)は、ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1952年2月2日号で、映画『ア・マジック・ガーデン』(A Magic Garden)の特別試写を行い、その主題に関連する盤を宣伝したと報じられました。同記事では、過去のヒット〈The Third Man Theme〉に続く販促企画として、この映画音楽を扱っていたことが示されています。さらに、2月16日号のディスクジョッキー集計では、ロンドン盤〈Charmaine〉が上位10曲に入り、同社が映画関連企画と一般向けヒット盤の双方で存在感を示していました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-02.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-16.pdf
キング・レコード
キング・レコード(King Records)は、ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1952年2月9日号で、シカゴ支社の担当体制が変更され、着任直後から営業活動が活発化したことが報じられました。同号には、キング・レコード(King Records)の販売広告も掲載されており、支社運営と盤の販促を並行して強化していたことがうかがえます。録音そのものの新規発表に限定されず、流通・営業面の企業活動として当月に確認できる動きです。
ルドルフ・ワーリッツァー
ルドルフ・ワーリッツァー社(The Rudolph Wurlitzer Company)は、ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1952年2月号で、オールスピード・ワーリッツァー・モデル1400/1450(All-Speed Wurlitzer Models 1400 and 1450)を積極的に訴求しました。広告では、複数速度のレコード再生に対応すること、演奏選択や整備の利便性を重視した設計であることが示されています。2月9日号では、同機種の入荷分がすぐに出荷される状況も伝えられており、同社製ジュークボックスに対する業界需要の強さが確認できます。
ロックオラ・マニュファクチャリング
ロックオラ・マニュファクチャリング社(Rock-Ola Manufacturing Corporation)は、ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1952年2月号で、ロックオラ・スーパー・ロケット・フォノグラフ(Rock-Ola Super Rocket Phonograph)とロックオラ・ユニバーサル50セレクション・ウォール・ボックス(Rock-Ola Universal 50 Selection Wall Box)を広告しました。2月16日号では、50選曲対応、複数価格設定への対応、整備性を意識したタイトル表示部などが訴求され、ジュークボックス運用者向けの具体的な改良点が示されています。1952年2月は、同社が再生機器の操作性と収益性を前面に出した販促を継続していたことが確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-02.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1952/CB-1952-02-16.pdf
