1953年2月に録音された音楽
1953年2月は、冷戦、戦後復興、災害、放送技術、文化が同時に動いた月でした。1日、北海高潮災害(North Sea flood of 1953)がオランダ、イギリス、ベルギー沿岸を襲い、2,000人を超える死者を出しました。同日、日本放送協会(Japan Broadcasting Corporation)は東京でテレビ本放送を開始し、日本の放送史は映像時代に入りました。2日、ドワイト・デイヴィッド・アイゼンハワー(Dwight David Eisenhower, 1890–1969)は一般教書演説で、アメリカ合衆国第七艦隊(United States Seventh Fleet)の台湾海峡での任務変更を表明しました。3日、ポルトガル領サントメ・プリンシペ(Portuguese São Tomé and Príncipe)でバテパ虐殺(Batepá massacre)が発生しました。5日、ウォルト・ディズニー・プロダクションズ(Walt Disney Productions)の長編アニメーション映画『ピーター・パン(Peter Pan)』が米国で公開されました。10日には欧州石炭鉄鋼共同体(European Coal and Steel Community)で石炭、鉄鉱石、スクラップの共同市場が開かれ、27日にはロンドンでドイツ対外債務に関する協定(Agreement on German External Debts)が署名されました。16日にはラホールでパキスタン科学アカデミー(Pakistan Academy of Sciences)が発足しました。
この月の確認されている録音:0曲
1953年2月の録音に関する情報のまとめ
1953年2月のアメリカ合衆国の録音市場では、ポピュラー音楽の大手レーベルに加え、カントリー・アンド・ウェスタン、リズム・アンド・ブルース、ゴスペルを扱う独立系レーベルの動きが、同時代業界紙上で並行して現れています。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)およびビルボード(Billboard)の当月号では、ラジオ放送、ディスクジョッキー集計、小売店での反応、ジュークボックスでの選曲、業界広告が相互に結びつき、シングル盤の流通状況を形づくっていました。前年末から1953年初頭に録音・発売された盤も、2月のチャート、広告、地域市場の記事を通じて継続的に扱われており、当月の録音産業は「新録音」だけでなく、発売後の宣伝、再注文、放送上の浸透によって動いていました。大手各社ではアールシーエー・ビクター(RCA Victor)、コロムビア・レコード(Columbia Records)、キャピトル・レコード・インコーポレイテッド(Capitol Records, Inc.)、デッカ・レコード・インコーポレイテッド(Decca Records, Inc.)などがポピュラー音楽市場を支え、独立系ではアトランティック・レコード(Atlantic Records)、チェス・レコード(Chess Records)、チェッカー・レコード(Checker Records)、キング・レコード(King Records)、フェデラル・レコード(Federal Records)、スペシャルティ・レコード(Specialty Records)、デューク・レコード(Duke Records)、ピーコック・レコード(Peacock Records)などがリズム・アンド・ブルースおよびゴスペル市場で存在感を示しました。1953年2月の録音関連情報は、録音日が当月に限定される資料だけではなく、当月の業界紙に表れた販売・宣伝・流通活動を通じて、各社の市場展開を読み取ることができます。
アールシーエー・ビクター
ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(Radio Corporation of America)のアールシーエー・ビクター(RCA Victor)は、1953年2月のポピュラー音楽市場で強い露出を維持していました。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1953年2月14日号のディスクジョッキー集計では、ペリー・コモ(Perry Como, 1912–2001)の「Don’t Let the Stars Get in Your Eyes」が首位に置かれています。同号ではピー・ウィー・キング(Pee Wee King, 1914–2000)の「The Bell」などのアールシーエー・ビクター(RCA Victor)盤も確認でき、同社がポピュラー音楽とカントリー・アンド・ウェスタンの双方で当月の市場に現れていたことが分かります。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1953/CB-1953-02-14.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1953/Billboard%201953-02-14.pdf
コーラル
コーラル・レコード(Coral Records)は、テレサ・ブリューワー(Teresa Brewer, 1931–2007)の「Till I Waltz Again With You」により、1953年2月のポピュラー音楽市場で大きな存在感を示しました。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1953年2月14日号のディスクジョッキー集計では同曲が上位に掲げられ、同月の放送・販売面での強い動きが確認できます。コーラル・レコード(Coral Records)は、デッカ・レコード・インコーポレイテッド(Decca Records, Inc.)系のレーベルとして、当月のヒット市場で重要な位置を占めました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1953/CB-1953-02-14.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1953/Billboard%201953-02-14.pdf
コロムビア
コロムビア・レコード(Columbia Records)は、ジョニー・レイ(Johnnie Ray, 1927–1990)の「The Touch of God’s Hand」やフランキー・レイン(Frankie Laine, 1913–2007)の「I Believe」などで、1953年2月の業界紙上に継続して現れました。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1953年2月7日号および同月14日号では、コロムビア・レコード(Columbia Records)盤の広告・チャート上の露出が確認できます。また、ビルボード(Billboard)1953年2月21日号では、ローズマリー・クルーニー(Rosemary Clooney, 1928–2002)出演映画『The Stars Are Singing』に関連する宣伝活動も確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1953/CB-1953-02-07.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1953/CB-1953-02-14.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1953/Billboard%201953-02-21.pdf
キャピトル
キャピトル・レコード・インコーポレイテッド(Capitol Records, Inc.)は、ナット・キング・コール(Nat King Cole, 1919–1965)の「Pretend」により、1953年2月のポピュラー音楽市場で継続的に確認できます。ビルボード(Billboard)1953年1月31日号では同曲のチャート入りが確認され、ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1953年2月14日号のディスクジョッキー欄にも同曲が現れます。キャピトル・レコード・インコーポレイテッド(Capitol Records, Inc.)は、当月のラジオ放送と小売市場の双方で主要ポピュラー盤を維持していました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1953/Billboard%201953-01-31.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1953/CB-1953-02-14.pdf
デッカ
デッカ・レコード・インコーポレイテッド(Decca Records, Inc.)は、1953年2月のザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)で複数の分野にまたがる盤を確認できます。ビング・クロスビー・アンド・フレッド・ウォーリングズ・ペンシルヴェイニアンズ(Bing Crosby & Fred Waring’s Pennsylvanians)、ガイ・ロンバード・オーケストラ(Guy Lombardo Orchestra)、ラス・モーガン(Russ Morgan, 1904–1969)などのポピュラー系に加え、キティ・ウェルズ(Kitty Wells, 1919–2012)のカントリー・アンド・ウェスタン系の盤も同月号に見えます。デッカ・レコード・インコーポレイテッド(Decca Records, Inc.)は、当月の一般ポップ市場だけでなく、地域・ジャンル別市場にも継続して盤を供給していました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1953/CB-1953-02-14.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1953/Billboard%201953-02-14.pdf
マーキュリー
マーキュリー・レコード・コーポレーション(Mercury Record Corporation)は、1953年2月のポピュラー音楽およびリズム・アンド・ブルース市場の双方で活動が確認できます。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1953年2月14日号では、パティ・ペイジ(Patti Page, 1927–2013)のポピュラー盤に加え、ダイナ・ワシントン(Dinah Washington, 1924–1963)やイリノイ・ジャケー(Illinois Jacquet, 1922–2004)などのリズム・アンド・ブルース系の盤が確認できます。同号には、ボブ・シャド(Bob Shad, 1920–1985)を中心とする同社のリズム・アンド・ブルース市場への展開、アーネット・コブ(Arnett Cobb, 1918–1989)およびバディ・ジョンソン(Buddy Johnson, 1915–1977)との契約動向も記載されています。
エムジーエム
エムジーエム・レコード(MGM Records)は、ジョニ・ジェイムス(Joni James, 1930–2022)の「Why Don’t You Believe Me」や「Have You Heard」により、1953年2月のポピュラー音楽市場で引き続き確認できます。また、ハンク・ウィリアムズ(Hank Williams, 1923–1953)の死後まもない時期に、エムジーエム・レコード(MGM Records)のカントリー・アンド・ウェスタン盤が業界紙上で扱われており、同社はポピュラー音楽とカントリー・アンド・ウェスタンの双方で重要な位置にありました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1953/CB-1953-02-14.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1953/Billboard%201953-02-14.pdf
ドット
ドット・レコード・インコーポレイテッド(Dot Records, Inc.)は、テネシー州ギャラティンを拠点とする独立系レーベルとして、1953年2月の業界紙上に確認できます。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1953年2月14日号には、ヒルトッパーズ(The Hilltoppers)の「Must I Cry Again」および「I Keep Telling Myself」の広告が掲載されていました。ドット・レコード・インコーポレイテッド(Dot Records, Inc.)は、地域拠点の独立系企業が全国的なポピュラー市場へ進出していく動きの一例として位置づけられます。
アトランティック
アトランティック・レコード(Atlantic Records)は、1953年2月のリズム・アンド・ブルース市場で目立つ存在でした。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1953年2月14日号では、ルース・ブラウン(Ruth Brown, 1928–2006)の「Mama, He Treats Your Daughter Mean」、ザ・クローヴァーズ(The Clovers)の「Hey, Miss Fannie」、ビッグ・ジョー・ターナー(Big Joe Turner, 1911–1985)の「Still in Love」などが確認できます。アトランティック・レコード(Atlantic Records)は、同月のリズム・アンド・ブルース欄で複数アーティストを通じて強い流通・放送上の存在感を示していました。
チェス/チェッカー
チェス・レコード(Chess Records)およびチェッカー・レコード(Checker Records)は、1953年2月のリズム・アンド・ブルース市場で重要な盤を抱えていました。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1953年2月14日号では、ウィリー・メイボン(Willie Mabon, 1925–1985)の「I Don’t Know」、マディ・ウォーターズ(Muddy Waters, 1913–1983)の「Gone to Main St.」、リトル・ウォルター(Little Walter, 1930–1968)の「Juke」「Sad Hours」「Mean Old World」などが確認できます。チェス・レコード(Chess Records)とチェッカー・レコード(Checker Records)は、シカゴ系ブルースとリズム・アンド・ブルースの商業流通において、同月の業界紙上で明確に存在を示していました。
キング/フェデラル
キング・レコード(King Records)およびフェデラル・レコード(Federal Records)は、1953年2月のリズム・アンド・ブルース市場とカントリー・アンド・ウェスタン市場の双方に関係する企業として確認できます。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1953年2月14日号では、タイニー・ブラッドショウ(Tiny Bradshaw, 1907–1958)の「Soft」、ザ・ドミノズ(The Dominoes)の「I’d Be Satisfied」および「The Bells」などが確認できます。キング・レコード(King Records)系の活動は、当月の黒人音楽市場における独立系企業の強さを示しています。
スペシャルティ
スペシャルティ・レコード(Specialty Records)は、1953年2月のリズム・アンド・ブルース市場でロイド・プライス(Lloyd Price, 1933–2021)、パーシー・メイフィールド(Percy Mayfield, 1920–1984)、ロイ・ミルトン(Roy Milton, 1907–1983)らの盤を通じて確認できます。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1953年2月14日号では、ロイド・プライス(Lloyd Price, 1933–2021)の「Ain’t It a Shame」、パーシー・メイフィールド(Percy Mayfield, 1920–1984)の「My River’s Invitation」、ロイ・ミルトン(Roy Milton, 1907–1983)の「Blue Turning Grey」などが扱われています。スペシャルティ・レコード(Specialty Records)は、ニューオーリンズ系および西海岸系リズム・アンド・ブルースの流通で同月の市場に現れていました。
サヴォイ
サヴォイ・レコード(Savoy Records)は、1953年2月のリズム・アンド・ブルース市場で地域反応と追加注文の動きが確認できます。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1953年2月14日号では、エメット・スレイ・トリオ(Emmett Slay Trio)の「My Kind of Woman」がクリーヴランドで反応を得ていることが記載されています。サヴォイ・レコード(Savoy Records)は、全国的な大ヒットだけでなく、地域市場での反応を業界紙上に示す独立系レーベルとして確認できます。
デューク/ピーコック
デューク・レコード(Duke Records)およびピーコック・レコード(Peacock Records)は、1953年2月のリズム・アンド・ブルースおよびゴスペル市場で確認できます。ザ・キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1953年2月14日号では、ジョニー・エイス(Johnny Ace, 1929–1954)の「Cross My Heart」やアール・フォレスト(Earl Forest, 1926–2003)の盤がデューク・レコード(Duke Records)として現れます。ピーコック・レコード(Peacock Records)は、同時期のゴスペル欄でも確認でき、ヒューストンを拠点とする同系レーベル群が複数ジャンルで流通活動を行っていたことが分かります。ウィリー・メイ・ソーントン(Willie Mae Thornton, 1926–1984)の「Hound Dog」は後続の1953年3月号で広告・紹介が確認できるため、1953年2月の本文ではデューク・レコード(Duke Records)およびピーコック・レコード(Peacock Records)の当月確認分を中心に扱います。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1953/CB-1953-02-14.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1953/Billboard%201953-03-07.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1953/Billboard%201953-03-14.pdf
