1954年4月に録音された音楽
1954年4月は、冷戦、安全保障、国際法、医療、文化の各分野で大きな動きが重なった月です。4月1日、ドワイト・デイヴィッド・アイゼンハワー(Dwight David Eisenhower, 1890–1969)が署名した法律により、アメリカ合衆国空軍士官学校(United States Air Force Academy)が設立されました。4月3日には、ソビエト社会主義共和国連邦(Union of Soviet Socialist Republics)の情報機関員だったウラジーミル・ミハイロヴィチ・ペトロフ(Vladimir Mikhailovich Petrov, 1907–1991)がオーストラリアで亡命し、エヴドキア・アレクセエヴナ・ペトロワ(Evdokia Alekseevna Petrova, 1914–2002)をめぐるペトロフ事件(Petrov Affair)へ発展しました。4月7日、ドワイト・デイヴィッド・アイゼンハワー(Dwight David Eisenhower, 1890–1969)はインドシナ情勢をめぐり「落ちるドミノ」の比喩を示しました。4月22日、難民の地位に関する条約(Convention Relating to the Status of Refugees)が発効し、同日、ジョセフ・レイモンド・マッカーシー(Joseph Raymond McCarthy, 1908–1957)をめぐる陸軍=マッカーシー公聴会(Army–McCarthy hearings)が始まりました。4月26日には、ジョナス・ソーク(Jonas Salk, 1914–1995)のポリオワクチン大規模野外試験が始まり、1954年ジュネーヴ会議(1954 Geneva Conference)も開幕しました。同日、日本では黒澤明(1910–1998)の映画『七人の侍』(Seven Samurai)が公開されました。
この月の確認されている録音:0曲
1954年4月の録音に関する情報のまとめ
1954年4月の録音関連情報では、ロックンロール、リズム・アンド・ブルース、ヴォーカル・アルバム、モダン・ジャズ、ウエスト・コースト・ジャズ、ヨーロッパのモダン・ジャズまで、複数の分野で後年の録音史につながる動きが重なりました。デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)ではビル・ヘイリー・アンド・ヒズ・コメッツ(Bill Haley and His Comets)の代表的録音が行われ、アトランティック・レコーディング社(Atlantic Recording Corporation)系のキャット・レコード(Cat Records)ではザ・コーズ(The Chords)の「Sh-Boom」が市場に出ました。ジャズでは、プレスティッジ・レコード(Prestige Records)、キャピトル・レコード社(Capitol Records, Inc.)、クレフ・レコード(Clef Records)、ノーグラン・レコード(Norgran Records)、パシフィック・ジャズ・レコード(Pacific Jazz Records)、グッド・タイム・ジャズ(Good Time Jazz)、エムジーエム・レコード(MGM Records)、ブルーノート・レコード(Blue Note Records)、エスクァイア・レコード(Esquire Records)などに結びつく録音活動がありました。
デッカ・レコード
1954年4月12日、ビル・ヘイリー・アンド・ヒズ・コメッツ(Bill Haley and His Comets)は、ニューヨーク市のパイシアン・テンプル・スタジオ(Pythian Temple Studios)で「(We’re Gonna) Rock Around the Clock」を録音しました。同録音はデッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)のセッションで作られ、後年ロックンロール普及の象徴的録音として扱われることになります。同じセッションでは「Thirteen Women (And Only One Man in Town)」も録音されました。
- https://www.loc.gov/static/programs/national-recording-preservation-board/documents/RockAroundTheClock.pdf
- https://www.history.com/this-day-in-history/april-12/bill-haley-and-the-comets-record-rock-around-the-clock
アトランティック・レコーディング社/キャット・レコード
1954年4月、アトランティック・レコーディング社(Atlantic Recording Corporation)系のキャット・レコード(Cat Records)から、ザ・コーズ(The Chords)の「Sh-Boom」が発売されました。同録音は1954年3月15日に行われ、1954年4月にキャット・レコード(Cat Records)の新譜として市場に出ました。リズム・アンド・ブルース系ヴォーカル・グループの録音がポピュラー音楽市場へ広がる過程を示す、当月の重要な発売活動です。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1954/Billboard%201954-04-24.pdf
- https://www.45cat.com/record/104us
キャピトル・レコード社
1954年4月7日と4月19日、フランク・シナトラ(Frank Sinatra, 1915–1998)は、ハリウッドのキャピトル録音施設で『Swing Easy!』関連の録音を行いました。同アルバムはキャピトル・レコード社(Capitol Records, Inc.)におけるフランク・シナトラ(Frank Sinatra, 1915–1998)の初期アルバム制作の一部で、ネルソン・リドル(Nelson Riddle, 1921–1985)の編曲・指揮と結びつく録音です。また4月15日には、ジミー・ジュフリー・セプテット(Jimmy Giuffre Septet)がキャピトル・メルローズ・スタジオ(Capitol Melrose Studios)で「Nutty Pine」「Sultana」「Four Brothers」「Wrought Of Iron」を録音しました。
- https://www.jazzdisco.org/jimmy-giuffre/discography/
- https://www.jazzdisco.org/jimmy-giuffre/catalog/
- https://www.discogs.com/master/275698-Frank-Sinatra-Swing-Easy
プレスティッジ・レコード
1954年4月3日、マイルス・デイヴィス(Miles Davis, 1926–1991)は、ニュージャージー州ハッケンサックのルディ・ヴァン・ゲルダー録音場所で「Solar」「You Don’t Know What Love Is」「Love Me or Leave Me」「I’ll Remember April」を録音しました。4月29日には、マイルス・デイヴィス・オールスター・セクステット(Miles Davis All Star Sextet)が同じくハッケンサックで「Walkin’」「Blue ’N’ Boogie」を録音しました。これらはプレスティッジ・レコード(Prestige Records)に結びつく1954年4月の重要なモダン・ジャズ録音です。
クレフ・レコード
1954年4月14日、ビリー・ホリデイ・アンド・ハー・オーケストラ(Billie Holiday And Her Orchestra)は、ニューヨーク市で録音を行いました。このセッションには「What A Little Moonlight Can Do」などが含まれ、クレフ・レコード(Clef Records)系の録音として整理されています。1930年代からの代表曲を1950年代の録音環境で再録する活動として、同月のヴォーカル・ジャズ録音の重要項目です。
- https://www.billieholidaysongs.com/recording-sessions/1954-sessions/
- https://www.jazzdisco.org/billie-holiday/discography/
ノーグラン・レコード
1954年4月7日、バディ・デフランコ・カルテット(The Buddy DeFranco Quartet)は、ニューヨーク市で録音を行いました。このセッションでは「Cable Car」「Monogram」「Blues in the Closet」などが記録され、ノーグラン・レコード(Norgran Records)のカタログに結びつく録音となりました。クラリネットを中心にした1950年代モダン・ジャズの録音活動として、当月の動きに含められます。
パシフィック・ジャズ・レコード
1954年4月3日、バド・シャンク・フォー・ウィズ・スリー・トロンボーンズ(Bud Shank 4 with Three Trombones)は、ロサンゼルスのキャピトル・メルローズ・スタジオ(Capitol Melrose Studios)で録音を行いました。4月22日には、ラウリンド・アルメイダ・フォー(Laurindo Almeida 4)がロサンゼルスで録音を行いました。いずれもパシフィック・ジャズ・レコード(Pacific Jazz Records)に結びつく録音で、1950年代西海岸ジャズの展開を示す当月の重要な活動です。
- https://www.jazzdisco.org/pacific-jazz-records/discography-1952-1954/session-index/
- https://www.jazzdisco.org/pacific-jazz-records/catalog-1200-series/
- https://www.friktech.com/labels/PJTenInch.pdf
グッド・タイム・ジャズ
1954年4月2日、クレア・オースティン・ウィズ・キッド・オリー(Claire Austin With Kid Ory)は、ロサンゼルスで録音を行いました。このセッションはグッド・タイム・ジャズ(Good Time Jazz)の『Claire Austin Sings The Blues』に結びつき、「The World’s Jazz Crazy」「Down Hearted Blues」「See See Rider」などが記録されました。トラディショナル・ジャズ、ブルース系ヴォーカル、復興期ニューオーリンズ・ジャズの交差点にある録音活動です。
- https://www.jazzdisco.org/claire-austin/discography/
- https://www.jazzdisco.org/contemporary-records/good-time-jazz-records-catalog-ten-inch-series/
- https://www.jazzdisco.org/contemporary-records/good-time-jazz-records-catalog-extended-play-series/
エムジーエム・レコード
1954年4月13日、ジュッタ・ヒップ・アンド・ハー・ジャーマン・ジャズメン(Jutta Hipp And Her German Jazzmen)は、西ドイツのフランクフルト・アム・マイン(Frankfurt/Main)で録音を行いました。このセッションでは「Simone」「Frankfurt Special」「Diagram」などが記録され、エムジーエム・レコード(MGM Records)の『Leonard Feather Presents Cool Europe』に結びつきました。アメリカ国外のモダン・ジャズ録音がアメリカ系レーベルの流通に接続した事例です。
ブルーノート・レコード
1954年4月24日、ジュッタ・ヒップ・クインテット(Jutta Hipp Quintet)は、フランクフルト・アム・マイン(Frankfurt/Main)で録音を行いました。このセッションには「Cleopatra」「Ghost Of A Chance」「Blue Skies」「Laura」「Variations」などが含まれ、ブルーノート・レコード(Blue Note Records)の『New Faces-New Sounds From Germany』に結びついています。ヨーロッパのモダン・ジャズ演奏がブルーノート・レコード(Blue Note Records)のカタログに入った、1954年4月の重要な録音活動です。
- https://www.jazzdisco.org/jutta-hipp/discography/
- https://www.bluenote.com/artist/jutta-hipp/
- https://www.discogs.com/master/591917-Jutta-Hipp-Quintet-New-Faces-New-Sounds-From-Germany
ジーン・ノーマン・プレゼンツ
1954年4月28日、マックス・ローチ・アンド・クリフォード・ブラウン(Max Roach and Clifford Brown)を含むクインテットの演奏が、ロサンゼルスのカリフォルニア・クラブ(California Club)で録音されました。この録音はジーン・ノーマン・プレゼンツ(Gene Norman Presents)に結びつくライブ録音として知られています。1954年4月の西海岸におけるハード・バップ形成期の録音活動として扱えます。
- https://jazzresearch.com/clifford-brown-in-california-the-1954-sessions/
- https://www.discogs.com/master/574784-Gene-Norman-Presents-Max-Roach-And-Clifford-Brown-In-Concert
エスクァイア・レコード
1954年4月28日、ロニー・スコット・カルテット(Ronnie Scott Quartet)は、ロンドンで録音を行いました。このセッションでは「Sunshine On A Dull Day」「Fools Rush In」「Poor Butterfly」「Perfidia」が記録され、エスクァイア・レコード(Esquire Records)のカタログに結びついています。アメリカのモダン・ジャズ語法を受けた英国ジャズの録音活動として、1954年4月の録音関連情報に含められます。
