1954年1月に録音された音楽
1954年1月は、冷戦下の安全保障、情報処理、航空安全、映像メディア、大衆文化が同時に動いた月です。1月1日、ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(Radio Corporation of America)の放送部門であるナショナル・ブロードキャスティング・カンパニー(National Broadcasting Company)は、トーナメント・オブ・ローゼズ・パレード(Tournament of Roses Parade)を全米向けにカラー放送しました。1月7日にはジョージタウン大学(Georgetown University)とアイビーエム社(International Business Machines Corporation)によるロシア語–英語機械翻訳実験が公開されました。1月10日、ブリティッシュ・オーバーシーズ・エアウェイズ・コーポレーション781便(British Overseas Airways Corporation Flight 781)のデ・ハビランドDH.106コメット1(de Havilland DH.106 Comet 1)がエルバ島沖で墜落し、ジェット旅客機の構造疲労問題が注目されました。1月12日、ジョン・フォスター・ダレス(John Foster Dulles, 1888–1959)は大量報復ドクトリン(massive retaliation doctrine)を説明しました。1月21日にはアメリカ合衆国海軍(United States Navy)のノーチラス(USS Nautilus, SSN-571)が進水し、1月25日には1954年ベルリン会議(Berlin Conference, January 25–February 18, 1954)が開幕しました。文化面では、1月14日にマリリン・モンロー(Marilyn Monroe, 1926–1962)とジョー・ディマジオ(Joe DiMaggio, 1914–1999)が結婚しました。
この月の確認されている録音:0曲
1954年1月の録音に関する情報のまとめ
1954年1月の録音関連資料では、独立系レーベルを中心に、リズム・アンド・ブルース、ブルース、モダン・ジャズ、トラディショナル・ジャズの録音活動が複数確認できます。サン・スタジオ(Sun Studio)ではエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley, 1935–1977)のデモ録音が行われ、チェス・レコード(Chess Records)とチェッカー・レコード(Checker Records)ではマディ・ウォーターズ(Muddy Waters, 1913–1983)を含む複数セッションが残されました。フェデラル・レコード(Federal Records)、アトランティック・レコード(Atlantic Records)、プレスティッジ・レコード(Prestige Records)、サヴォイ・レコード(Savoy Records)、マーキュリー・レコード(Mercury Records)、ファンタジー・レコード(Fantasy Records)、ノーグラン・レコード(Norgran Records)、グッド・タイム・ジャズ(Good Time Jazz)でも、当月の録音活動を確認できます。
サン・スタジオ
1954年1月4日、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley, 1935–1977)は、メンフィス・レコーディング・サービス(Memphis Recording Service)のサン・スタジオ(Sun Studio)で「I’ll Never Stand in Your Way」と「It Wouldn’t Be the Same Without You」を録音しました。この録音はサン・レコード(Sun Records)での商業デビュー録音とは区別されるデモ・アセテートであり、1954年7月の「That’s All Right」以前の録音活動として位置づけられます。
- https://www.elvisthemusic.com/track/ill-never-stand-in-your-way-3/
- https://www.elvisthemusic.com/track/it-wouldnt-be-the-same-without-you-2/
- https://www.graceland.com/1954-1957
チェス・レコード/チェッカー・レコード
1954年1月、チェス・レコード(Chess Records)とチェッカー・レコード(Checker Records)では、シカゴ系ブルースとリズム・アンド・ブルースの複数セッションが確認できます。1月の録音として、ダニー・オーヴァービー・ウィズ・キング・コラックス・アンド・オーケストラ(Danny Overbea with King Kolax & Orch.)の「Stomp and Whistle」「Ebony Chant」、ジミー・ビンクリー・アンド・ヒズ・コンボ(Jimmy Binkley and his Combo)の「Boogie on the Hour」「Wine, Wine, Wine」が記録されています。1月7日にはマディ・ウォーターズ(Muddy Waters, 1913–1983)が「I’m Your Hoochie Cooche Man」と「She’s So Pretty」を録音し、同日にジミー・ロジャース・アンド・ヒズ・ロッキング・フォー(Jimmy Rogers and his Rocking Four)の「Blues All Day Long」「Chicago Bound」も録音されました。1月16日にはレオン・D・ターヴァー・アンド・ザ・コルドーンズ(Leon D. Tarver and The Chordones)のセッションが行われ、同社系レーベルが1954年初頭にもブルースとヴォーカル・グループ録音を並行して進めていたことが分かります。
- https://campber.people.clemson.edu/chess2.html
- https://blues.org/blues_hof_inductee/im-your-hoochie-coochie-man-muddy-waters-chess-1954/
- https://www.loc.gov/programs/national-recording-preservation-board/recording-registry/registry-by-induction-years/2004/
キング・レコード/フェデラル・レコード
1954年1月14日、キング・レコード社(King Record Company)系のフェデラル・レコード(Federal Records)では、ハンク・バラード(Hank Ballard, 1927–2003)を含むザ・ロイヤルズ(The Royals)が「Work with Me Annie」を録音したとされます。この録音は後にザ・ミッドナイターズ(The Midnighters)名義の代表作として扱われ、1954年のリズム・アンド・ブルースからロックンロールへつながる重要な録音のひとつになりました。
- https://secondhandsongs.com/performance/158334/all
- https://www.bsnpubs.com/king/kingstory.html
- https://www.rhino.com/article/hank-ballard
アトランティック・レコード/キャット・レコード
1954年1月、アトランティック・レコード(Atlantic Records)系の録音活動では、1月14日にジミー・ルイス(Jimmy Lewis, 生没年不明)がニューヨークで「Danger」「Love Broke My Heart Again」「Last Night I Was In Heaven」を録音しました。このうち「Love Broke My Heart Again」と「Last Night I Was In Heaven」は、同社系のキャット・レコード(Cat Records)の記録に含まれています。1月27日にはビッグ・マイク・ゴードン(Big Mike Gordon, 生没年不明)が「Well, Well, Well」「Why Don’t You Do Right」「No More Whiskey」「You Got To Give」を録音しており、アトランティック・レコード(Atlantic Records)がリズム・アンド・ブルース系の録音を継続的に確保していたことが確認できます。
- https://www.jazzdisco.org/atlantic-records/discography-1954/
- https://www.jazzdisco.org/atlantic-records/discography-1954/session-index/
プレスティッジ・レコード/ニュー・ジャズ
1954年1月のプレスティッジ・レコード(Prestige Records)では、複数のモダン・ジャズ録音が確認できます。1月6日にはテディ・チャールズ・ニュー・ディレクション・カルテット・フィーチャリング・ボブ・ブルックマイヤー(Teddy Charles New Direction Quartet Featuring Bob Brookmeyer)がニューヨークで録音し、1月8日にはジェームズ・ムーディ・アンド・ヒズ・バンド(James Moody And His Band)がヴァン・ゲルダー・スタジオ(Van Gelder Studio)で「NJR」「100 Years From Today」「Keepin’ Up With Jonesy」「Workshop」を録音しました。1月13日にはレナード・フェザー・プレゼンツ・ジャズ・クラブ・ユーエスエー・イン・スウェーデン・フィーチャリング・ジミー・レイニー・オール・スターズ(Leonard Feather Presents Jazz Club USA In Sweden Featuring Jimmy Raney All Stars)のストックホルム録音が同社関連の記録に含まれ、アメリカ国内録音だけでなく欧州録音も同社カタログ形成に関わっていました。
サヴォイ・レコード
1954年1月のサヴォイ・レコード(Savoy Records)では、1月15日にルーサー・ボンド・アンド・ヒズ・エメラルズ(Luther Bond And His Emeralds)がシンシナティで「See What You Done」「What If You」「Starlight Starbright」「You Were My Love」を録音しました。1月19日にはジョージ・スティーヴンソン(George Stevenson, 生没年不明)がニューオーリンズで「She Can’t Be Found」「Meet Me At Grandma’s Joint」「Teasin’ Tan」「You Left Me Her To Cry」を録音しています。サヴォイ・レコード(Savoy Records)は、1954年1月にもヴォーカル・グループとニューオーリンズ系リズム・アンド・ブルースの双方を扱っていました。
- https://www.jazzdisco.org/savoy-records/discography-1954/
- https://www.jazzdisco.org/savoy-records/discography-1954/session-index/
マーキュリー・レコード
1954年1月、マーキュリー・レコード(Mercury Records)では、ラルフ・マーテリー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Ralph Marterie And His Orchestra)がシカゴのユニバーサル・レコーディング(Universal Recording)で録音したことが確認できます。記録上の曲目には「Purple Shades」「Dry Marterie」「Detour」「Tula Rosa (Valley Of The Roses)」「Until Six」などが含まれます。ラルフ・マーテリー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Ralph Marterie And His Orchestra)の録音は、当時のポピュラー・オーケストラ録音と同社系レーベル運用を示す資料になります。
ファンタジー・レコード
1954年1月27日、ファンタジー・レコード(Fantasy Records)では、ナット・ピアース=ディック・コリンズ・ノンテット(Nat Pierce – Dick Collins Nontet)がサンフランシスコで録音しました。記録上の曲目には「Drop The Other Shoe」「I’ll Never Be The Same」「Honey Baby」「Easy Living」「Keepin’ Out Of Mischief Now」「Some Of These Days」「Blue Lester」「The King」などが含まれます。このセッションは、西海岸のファンタジー・レコード(Fantasy Records)が1954年初頭にモダン・ジャズ系の小編成録音を扱っていた例です。
ノーグラン・レコード/クレフ・レコード
1954年1月、ノーマン・グランツ(Norman Granz, 1918–2001)系のノーグラン・レコード(Norgran Records)とクレフ・レコード(Clef Records)に関連する録音として、1月4日にベニー・カーター・クインテット・ウィズ・ジョー・グローヴァー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Benny Carter Quintet With Joe Glover And His Orchestra)がロサンゼルスのラジオ・レコーダーズ(Radio Recorders)で録音しました。1月23日にはスタン・ゲッツ・カルテット(Stan Getz Quartet)がロサンゼルスで「Nobody Else But Me」「With The Wind And The Rain In Your Hair」「I Hadn’t Anyone Till You」「Down By The Sycamore Tree」を録音しています。ノーマン・グランツ(Norman Granz, 1918–2001)系のレーベルは、1954年1月にも西海岸録音を通じてジャズ・カタログを拡充していました。
- https://www.jazzdisco.org/verve-records/discography-1954/
- https://www.jazzdisco.org/verve-records/discography-1954/session-index/
グッド・タイム・ジャズ
1954年1月23日、ファイアハウス・ファイヴ・プラス・トゥー(Firehouse Five Plus Two)は、ロサンゼルスのキャピトル・レコード社(Capitol Records)のメルローズ・スタジオA(Melrose Studio A)で録音しました。このセッションでは「Southern Comfort」「Basin Street Blues」「Tuck Me To Sleep In My Old Kentucky Home」「At A Georgia Camp Meeting」が記録されています。グッド・タイム・ジャズ(Good Time Jazz)は、1954年1月にもトラディショナル・ジャズ系録音を継続していたことが分かります。
- https://www.jazzdisco.org/firehouse-five-plus-two/discography/
- https://www.jazzdisco.org/firehouse-five-plus-two/discography/session-index/
