1956年8月に録音された音楽

スポンサーリンク

1956年8月に録音された音楽

1956年8月は、スエズ運河国有化後の国際危機、欧米の政党政治、欧州の労働災害、北アフリカの法制度改革、計算機科学の新展開が重なった月です。ロンドンでは1956年8月16日–23日にスエズ運河会議(Suez Canal Conference)が開かれ、エジプト共和国(Republic of Egypt)をめぐる英仏米などの外交調整が続きました。ベルギー王国(Kingdom of Belgium)のボワ・デュ・カジエ炭鉱(Bois du Cazier)では1956年8月8日に火災が起こり、262人が死亡しました。チュニジア王国(Kingdom of Tunisia)では1956年8月13日に個人身分法典(Code du statut personnel)が公布され、家族法改革が進みました。ドイツ連邦共和国(Federal Republic of Germany)では1956年8月17日にドイツ連邦憲法裁判所(Bundesverfassungsgericht)がドイツ共産党(Kommunistische Partei Deutschlands)の違憲・解散を命じました。アメリカ合衆国(United States of America)では民主党全国大会(Democratic National Convention)と共和党全国大会(Republican National Convention)が開かれ、大統領選挙に向けた候補者指名が進みました。ダートマス大学(Dartmouth College)ではダートマス人工知能夏期研究計画(Dartmouth Summer Research Project on Artificial Intelligence)が進行し、人工知能研究の呼称と構想が明確化しました。文化面では、画家ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock, 1912–1956)が1956年8月11日に死去しました。

この月の確認されている録音:0曲

1956年8月の録音に関する情報のまとめ

1956年8月の録音産業では、高忠実度再生、長時間レコード、アルバム販売促進、メールオーダー型レコード・クラブ、ロックンロール系シングルの拡大が並行して進みました。大手レコード会社は新譜の発売だけでなく、販売網、広告、アルバム企画、輸入盤、再生品質を前面に出し、専門レーベルはジャズや現代音楽の領域で独自の存在感を示しました。ヴァーヴ・レコード(Verve Records)ではエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald, 1917–1996)関連の重要録音が行われ、リバーサイド・レコード(Riverside Records)やコンポーザーズ・レコーディングズ社(Composers Recordings, Inc.)も、ジャズ批評や文化外交の文脈で目立つ動きを見せました。

コンサート・ホール・ソサエティ

クロウェル=コリアー出版社(Crowell-Collier Publishing Company)は、1956年8月にコンサート・ホール・ソサエティ社(Concert Hall Society, Inc.)のレーベルと複数のメールオーダー型レコード・クラブを取得しました。コンサート・ホール・ソサエティ社(Concert Hall Society, Inc.)は、長時間レコードと会員制販売を結びつけたクラシック音楽系レーベルとして展開しており、この取得は、1950年代半ばのレコード産業で通信販売型の流通が重要になっていたことを示しています。

RCAビクター

1956年8月のアールシーエー・ビクター・レコード部門(RCA Victor Record Division)は、シングル市場とアルバム販売促進の双方で強い存在感を示しました。同部門は秋季アルバム施策「ベスト・バイ(Best Buy)」を展開し、アルバム販売の拡大を図りました。シングル市場では、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley, 1935–1977)のRCA Victor 47-6604「Hound Dog」/「Don’t Be Cruel」と、ヒューゴ・ウィンターハルター・アンド・ヒズ・オーケストラ(Hugo Winterhalter and His Orchestra)のRCA Victor 47-6537「Canadian Sunset」が、1956年8月のヒット作として大きく扱われました。

コロムビア・レコード

コロムビア・レコード社(Columbia Records, Inc.)は、1956年8月に「Your Future Is Sound」を掲げ、録音品質、販売体制、業界向け訴求を結びつけた展開を行いました。パーシー・フェイス(Percy Faith, 1908–1976)の新譜も同月の業界誌で取り上げられ、ムード音楽、長時間レコード、高忠実度再生を組み合わせた同社の市場戦略が表れています。

キャピトル・レコード

キャピトル・レコード社(Capitol Records, Inc.)では、グレン・ウォリックス(Glenn Wallichs, 1910–1971)が、1960年までにディスク産業が5億ドル規模に達するとの見通しを示しました。高忠実度再生、長時間レコード、販売方法、一般景気が成長要因として語られており、1956年8月の録音産業が、音質とアルバム市場を成長軸として意識していたことが分かります。

デッカ・レコード

デッカ・レコード社(Decca Records, Inc.)は、ドイチェ・グラモフォン(Deutsche Grammophon)との関係を通じて、欧州の同時代作品の輸入を進めました。1956年8月のアメリカ合衆国(United States of America)の録音市場では、ポピュラー音楽やロックンロールだけでなく、現代音楽・クラシック音楽の国際流通も重要な動きとなっていました。

コンポーザーズ・レコーディングズ

コンポーザーズ・レコーディングズ社(Composers Recordings, Inc.)のカタログは、1956年8月にアメリカ合衆国国務省(United States Department of State)の購入対象となり、欧州、アジア、中東のアメリカ情報センター(American information centers)およびドイツ連邦共和国(Federal Republic of Germany)・中央欧州のアメリカ・ハウス(America Houses)へ配布される計画となりました。現代音楽の録音物が、商業販売だけでなく文化外交の媒体としても扱われていたことを示しています。

ヴァーヴ・レコード

ヴァーヴ・レコード(Verve Records)では、1956年8月16日にキャピトル・スタジオ(Capitol Studios)で、エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald, 1917–1996)とルイ・アームストロング(Louis Armstrong, 1901–1971)による『エラ・アンド・ルイ(Ella and Louis)』が録音されました。制作はノーマン・グランツ(Norman Granz, 1918–2001)で、伴奏にはオスカー・ピーターソン(Oscar Peterson, 1925–2007)、ハーブ・エリス(Herb Ellis, 1921–2010)、レイ・ブラウン(Ray Brown, 1926–2002)、バディ・リッチ(Buddy Rich, 1917–1987)が参加しました。エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald, 1917–1996)の『エラ・フィッツジェラルド・シングス・ザ・ロジャース・アンド・ハート・ソング・ブック(Ella Fitzgerald Sings the Rodgers and Hart Song Book)』も、1956年8月21日–31日に録音されました。

リバーサイド・レコード

リバーサイド・レコード(Riverside Records)のRiverside RLP 209『ザ・ユニーク・セロニアス・モンク(The Unique Thelonious Monk)』は、1956年8月のアルバム評で取り上げられました。演奏者はセロニアス・モンク(Thelonious Monk, 1917–1982)で、同作はスタンダード曲を中心にしたピアノ・トリオ作品として、同月のジャズ・アルバム市場に位置づけられます。

キング・レコード

1956年8月のアメリカ合衆国(United States of America)のシングル市場では、キング・レコード(King Records)のビル・ドゲット(Bill Doggett, 1916–1996)によるKing 4950「Honky Tonk」が大きく伸長しました。同作はリズム・アンド・ブルース市場に加え、ポピュラー市場でも広く扱われ、独立系レーベルのインストゥルメンタル・リズム・アンド・ブルースが全国的に浸透していたことを示しています。