1956年5月に録音された音楽
1956年5月は、冷戦下の外交、核実験、環境被害、登山史、放送文化が同時に動いた月です。日本国(Japan)とソビエト社会主義共和国連邦(Union of Soviet Socialist Republics)は5月14日、北西太平洋における公海漁業条約(Convention on deep-sea fishing in the north-western sector of the Pacific Ocean between the Union of Soviet Socialist Republics and Japan)と海難救助協力協定(Agreement between the Union of Soviet Socialist Republics and Japan on co-operation in the rescue of persons in distress at sea)に署名しました。アメリカ合衆国(United States of America)はマーシャル諸島(Marshall Islands)でレッドウィング作戦(Operation REDWING)を進め、イギリス(United Kingdom)は5月16日にモンテベロ諸島(Montebello Islands)でモザイク作戦(Operation Mosaic)の核実験を行いました。日本では5月1日に原因不明の神経疾患が水俣保健所へ報告され、のちに水俣病(Minamata disease)と呼ばれる公害被害の公的把握が始まりました。ヒマラヤでは今西壽雄(1914–1995)とギャルゼン・ノルブ(Gyalzen Norbu, 生没年不明)が5月9日にマナスル(Manaslu)へ初登頂し、5月18日にはフリッツ・ルクジンガー(Fritz Luchsinger, 1921–1983)とエルンスト・ライス(Ernst Reiss, 1920–2010)がローツェ(Lhotse)へ初登頂しました。5月24日にはスイス連邦(Swiss Confederation)のルガーノ(Lugano)で欧州放送連合(European Broadcasting Union)主催のユーロビジョン・ソング・コンテスト1956(Eurovision Song Contest 1956)が開かれ、国境を越えたテレビ音楽番組の時代を示しました。
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1956年5月の録音に関する情報のまとめ
1956年5月の録音関連情報では、ロックンロール、リズム・アンド・ブルース、カントリー、ジャズ、映画主題歌をめぐるレコード会社の動きが目立ちます。キャピトル・レコード社(Capitol Records, Inc.)ではジーン・ヴィンセント・アンド・ヒズ・ブルー・キャップス(Gene Vincent and His Blue Caps)の録音、スペシャルティ・レコード社(Specialty Records, Inc.)ではリトル・リチャード・アンド・ヒズ・バンド(Little Richard and His Band)の録音が行われました。アールシーエー・ビクター・レコード(RCA Victor Records)、サン・レコード(Sun Records)、チェス・レコード(Chess Records)、コロムビア・レコード(Columbia Records)、ヴァーヴ・レコード(Verve Records)では、5月発売盤やチャート上の動きが確認できます。
アールシーエー・ビクター・レコード
アールシーエー・ビクター・レコード(RCA Victor Records)では、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley, 1935–1977)の「ハートブレイク・ホテル(Heartbreak Hotel)」が1956年5月の主要ヒット盤として扱われました。同社は同月、「アイ・ウォント・ユー、アイ・ニード・ユー、アイ・ラヴ・ユー(I Want You, I Need You, I Love You)」も発売し、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley, 1935–1977)を中心にロックンロール市場で存在感を強めました。1956年5月のビルボード(Billboard)とキャッシュ・ボックス(The Cash Box)では、同社のシングル盤が小売・ジュークボックス市場の動きを示す重要なレコードとして確認できます。
- https://www.graceland.com/1954-1957
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1956/Billboard%201956-05-26.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1956/CB-1956-05-12.pdf
キャピトル・レコード社
キャピトル・レコード社(Capitol Records, Inc.)では、1956年5月4日にジーン・ヴィンセント・アンド・ヒズ・ブルー・キャップス(Gene Vincent and His Blue Caps)が「ビー・バップ・ア・ルーラ(Be-Bop-a-Lula)」をテネシー州ナッシュビル(Nashville, Tennessee)のブラッドリー・スタジオ(Bradley Studios)で録音しました。同曲はジーン・ヴィンセント・アンド・ヒズ・ブルー・キャップス(Gene Vincent and His Blue Caps)の代表作となり、1956年のロックンロール拡大を示すキャピトル・レコード社(Capitol Records, Inc.)の重要録音となりました。キャッシュ・ボックス(The Cash Box)1956年5月5日号では、同社の企業活動も報じられ、録音制作と販売体制の両面で動きが確認できます。
- https://www.history.com/this-day-in-history/may-4/gene-vincent-records-be-bop-a-lula
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1956/CB-1956-05-05.pdf
スペシャルティ・レコード社
スペシャルティ・レコード社(Specialty Records, Inc.)では、1956年5月9日にリトル・リチャード・アンド・ヒズ・バンド(Little Richard and His Band)がルイジアナ州ニューオーリンズ(New Orleans, Louisiana)のジェー・アンド・エム・スタジオ(J&M Studio)で「リップ・イット・アップ(Rip It Up)」「レディ・テディ(Ready Teddy)」などを録音しました。これらの録音は、ニューオーリンズのリズム・アンド・ブルースをロックンロール市場へ広げた同社の重要な制作活動です。リトル・リチャード(Little Richard, 1932–2020)の強い歌唱とバンド演奏は、1950年代半ばのスペシャルティ・レコード社(Specialty Records, Inc.)を代表する音作りを示しました。
- https://e-shop.highendstudios.de/here-s-little-richard-little-richard.html?language=en
- https://www.discogs.com/release/30626026-Various-Specialty-Records-Greatest-Hits/image/SW1hZ2U6MTEwODU4OTg5
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1956/Billboard%201956-05-26.pdf
サン・レコード
サン・レコード(Sun Records)では、ジョニー・キャッシュ・アンド・テネシー・トゥー(Johnny Cash and Tennessee Two)の「アイ・ウォーク・ザ・ライン(I Walk the Line)」が1956年5月発売盤として展開されました。同月にはロイ・オービソン・アンド・ティーン・キングス(Roy Orbison and Teen Kings)の「ウービー・ドゥービー(Ooby Dooby)」と、カール・パーキンス(Carl Perkins, 1932–1998)の「ボッピン・ザ・ブルース(Boppin’ the Blues)」も発売されました。サン・レコード(Sun Records)は、メンフィス(Memphis)を拠点にカントリー、リズム・アンド・ブルース、ロカビリーを横断する若いアーティストを相次いで市場へ送り出しました。
- https://www.johnnycash.com/59-years-ago-johnny-cash-records-i-walk-line-boot/
- https://www.boija.com/skivor/sun_roy.htm
- https://www.discogs.com/release/772572-Carl-Perkins-Boppin-The-Blues-All-Mamas-Children
チェス・レコード
チェス・レコード(Chess Records)では、チャック・ベリー(Chuck Berry, 1926–2017)の「ロール・オーバー・ベートーヴェン(Roll Over Beethoven)」が1956年5月発売盤として登場しました。同曲は、リズム・アンド・ブルースとロックンロールの境界を横断するチェス・レコード(Chess Records)の代表的なシングルの一つです。題名にベートーヴェンへの言及を含む同曲は、1950年代半ばの若者向けレコード市場でロックンロールが自立した文化的存在として広がっていく動きを示しました。
- https://www.loc.gov/static/programs/national-recording-preservation-board/documents/RollOverBeethoven.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1956/Billboard%201956-05-26.pdf
コロムビア・レコード
コロムビア・レコード(Columbia Records)では、ドリス・デイ(Doris Day, 1922–2019)の「ホワットエヴァー・ウィル・ビー、ウィル・ビー(ケ・セラ・セラ)(Whatever Will Be, Will Be (Que Sera, Sera))」が1956年5月21日に米国で発売されました。同曲はアルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock, 1899–1980)の映画『知りすぎていた男(The Man Who Knew Too Much)』に用いられ、映画音楽とシングル盤市場を結びつける代表的な事例となりました。コロムビア・レコード(Columbia Records)は、映画公開と連動する形でドリス・デイ(Doris Day, 1922–2019)の歌唱を広く流通させました。
- https://www.discogs.com/release/3106091-Doris-Day-Whatever-Will-Be-Will-Be-Que-Sera-Sera-Ive-Gotta-Sing-Away-These-Blues
- https://www.rayevans.org/music/song.cfm?tSong_id=1381
- https://hdl.library.upenn.edu/1017/d/ead/upenn_rbml_MsColl860
ヴァーヴ・レコード
ヴァーヴ・レコード(Verve Records)では、1956年5月15日にエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald, 1917–1996)のアルバム『エラ・フィッツジェラルド・シングス・ザ・コール・ポーター・ソング・ブック(Ella Fitzgerald Sings the Cole Porter Song Book)』が発売されました。同作は、ノーマン・グランツ(Norman Granz, 1918–2001)が展開したヴァーヴ・レコード(Verve Records)の初期活動を代表するアルバムです。作曲家別に楽曲をまとめる構成は、ジャズ歌手のアルバム制作を単発の流行歌集ではなく、体系的なレパートリー企画として提示しました。
- https://www.ververecords.com/verve/our-story/
- https://www.loc.gov/static/programs/national-recording-preservation-board/documents/EllaFitzgeraldColePorterSongBook.pdf
- https://www.discogs.com/master/249899-Ella-Fitzgerald-Sings-The-Cole-Porter-Song-Book
マーキュリー・レコード
マーキュリー・レコード(Mercury Records)は、1956年5月のビルボード(Billboard)で、パッケージ商品の販売促進策を報じられました。同社はシングル盤だけでなく、ロングプレイ盤やパッケージ商品を通じた販売拡大を進めていました。1950年代半ばのレコード市場では、ヒットシングルと並行してアルバム商品を小売店で訴求する動きが強まり、マーキュリー・レコード(Mercury Records)の販売活動もその流れに位置づけられます
