1957年3月に録音された音楽
1957年3月は、脱植民地化、冷戦下の中東政策、欧州統合、自然災害、児童文化の転換が同時に進んだ月でした。6日、英領ゴールド・コースト(British Gold Coast)はガーナ(Ghana)として独立し、クワメ・エンクルマ(Kwame Nkrumah, 1909–1972)が首相となりました。7日、アメリカ合衆国議会(United States Congress)はドワイト・デイヴィッド・アイゼンハワー(Dwight David Eisenhower, 1890–1969)大統領のアイゼンハワー・ドクトリン(Eisenhower Doctrine)を承認しました。8日前後にはスエズ運河(Suez Canal)の航行再開が進み、スエズ危機後の国際交通秩序が回復へ向かいました。9日、アリューシャン列島(Aleutian Islands)のアンドリアノフ諸島(Andreanof Islands)付近で大地震が発生し、津波が太平洋各地に及びました。25日には欧州経済共同体設立条約(Treaty establishing the European Economic Community)と欧州原子力共同体設立条約(Treaty establishing the European Atomic Energy Community)がローマで署名されました。文化面では、セオドア・スース・ガイゼル(Theodor Seuss Geisel, 1904–1991)の『ザ・キャット・イン・ザ・ハット(The Cat in the Hat)』が刊行され、初等読書教育と児童書の表現に大きな影響を与えました。
この月の確認されている録音:0曲
1957年3月の録音に関する情報のまとめ
1957年3月の録音産業では、ロックンロール、リズム・アンド・ブルース、ドゥーワップ、ポピュラー歌手のシングル、ブロードウェイ・アルバムが並行して市場を動かしました。ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(Radio Corporation of America)のアールシーエー・ビクター(RCA Victor)はエルヴィス・プレスリー・ウィズ・ザ・ジョーダネアーズ(Elvis Presley with The Jordanaires)の新譜でロックンロール市場の中心にあり、ルーレット・レコード(Roulette Records, Inc.)、ケイデンス・レコード(Cadence Records)、キャメオ・レコード(Cameo Records)などの新興・独立系レーベルも全国市場で存在感を強めました。チェス・レコード(Chess Records)、アトランティック・レコーディング・コーポレーション(Atlantic Recording Corporation)のアトコ・レコード(Atco Records)、スペシャルティ・レコード(Specialty Records)、インペリアル・レコード(Imperial Records)は、リズム・アンド・ブルースとロックンロールの接点を広げました。
アールシーエー・ビクター
ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(Radio Corporation of America)のアールシーエー・ビクター(RCA Victor)は、1957年3月にエルヴィス・プレスリー・ウィズ・ザ・ジョーダネアーズ(Elvis Presley with The Jordanaires)の「オール・シュック・アップ(All Shook Up)」をRCA Victor 47-6870として発売しました。同盤の録音は1957年1月に行われたものです。同月には、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley, 1935–1977)の「トゥー・マッチ(Too Much)」RCA Victor 47-6800も米国市場で高い順位を維持し、同社のロックンロール部門の販売力を示しました。
- https://www.elvisrecords.com/all-shook-up-thats-when-your-heartaches-begin/
- https://www.elvis.net/wordsmusic/rel1957.html
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1957/CB-1957-03-30.pdf
ルーレット・レコード
ルーレット・レコード(Roulette Records, Inc.)は、1957年3月にバディ・ノックス(Buddy Knox, 1933–1999)の「パーティ・ドール(Party Doll)」Roulette 4002で全国的な注目を集めました。同曲は1957年3月30日付の米国ポピュラー・チャートで首位に達し、新興レーベルであったルーレット・レコード(Roulette Records, Inc.)の名を広く知らしめました。録音は1956年にノーマン・ペティ(Norman Petty, 1927–1984)のスタジオで制作されたものです。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1957/Billboard%201957-03-30.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1957/CB-1957-03-30.pdf
ケイデンス・レコード
ケイデンス・レコード(Cadence Records)は、1957年3月1日にジ・エヴァリー・ブラザーズ(The Everly Brothers)の「バイ・バイ・ラヴ(Bye Bye Love)」をナッシュヴィルのアールシーエー・ビクター・スタジオ(RCA Victor Studio)で録音しました。同曲はCadence 1315として1957年3月に発売され、ポップ、カントリー、リズム・アンド・ブルースの市場を横断する大ヒットとなりました。ジ・エヴァリー・ブラザーズ(The Everly Brothers)の緊密な兄弟ハーモニーは、1950年代後半のロックンロールとカントリー・ポップの接点を示しました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1957/CB-1957-03-30.pdf
- https://www.discogs.com/master/272567-The-Everly-Brothers-Bye-Bye-Love
キャメオ・レコード
キャメオ・レコード(Cameo Records)は、1957年3月にチャーリー・グレイシー(Charlie Gracie, 1936–2022)の「バタフライ(Butterfly)」Cameo 105で大きく台頭しました。同曲の録音は1956年12月30日とされますが、1957年3月には全米チャート上位での動きが確認できます。フィラデルフィアを拠点とするキャメオ・レコード(Cameo Records)は、このヒットによって全国市場での存在感を強めました。
- https://www.philadelphiamusicalliance.org/walk-of-fame/charlie-gracie-2/
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1957/CB-1957-03-09.pdf
- https://www.discogs.com/master/435002-Charlie-Gracie-Butterfly-Ninety-Nine-Ways
チェス・レコード
チェス・レコード(Chess Records)は、1957年3月にチャック・ベリー(Chuck Berry, 1926–2017)の「スクール・デイ(School Day)」をChess 1653として発売しました。同曲は「ディープ・フィーリング(Deep Feeling)」をカップリングしたシングルで、学校生活の情景をロックンロールの語法に結びつけた代表的作品です。録音は1957年1月21日で、同年春のロックンロール市場におけるチェス・レコード(Chess Records)の影響力を示しました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1957/Billboard%201957-04-06.pdf
- https://www.discogs.com/master/317318-Chuck-Berry-School-Day-Ring-Ring-Goes-The-Bell-Deep-Feeling
アトコ・レコード
アトランティック・レコーディング・コーポレーション(Atlantic Recording Corporation)のアトコ・レコード(Atco Records)は、1957年3月にザ・コースターズ(The Coasters)の「ヤング・ブラッド(Young Blood)」と「サーチン(Searchin’)」をAtco 6087として発売しました。録音は1957年2月15日に行われました。ジェリー・リーバー(Jerry Leiber, 1933–2011)とマイク・ストーラー(Mike Stoller)の制作体制は、ドゥーワップとリズム・アンド・ブルースをポップ市場へ広げるうえで重要な役割を果たしました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1957/CB-1957-03-30.pdf
- https://www.capitol6000.com/coasters.html
- https://www.discogs.com/master/184493-The-Coasters-Young-Blood-Searchin
スペシャルティ・レコード
スペシャルティ・レコード(Specialty Records)は、1957年3月にリトル・リチャード(Little Richard, 1932–2020)の「ルシール(Lucille)」と長時間盤『ヒアズ・リトル・リチャード(Here’s Little Richard)』で業界誌上の露出を高めました。「ルシール(Lucille)」は1957年2月発売とされ、1957年3月にはチャートと宣伝の両面で継続して扱われました。『ヒアズ・リトル・リチャード(Here’s Little Richard)』は、ロックンロールを長時間盤市場へ展開するうえで重要な作品となりました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1957/Billboard%201957-03-23.pdf
- https://www.friktech.com/richard/LittleRichardDiscography.pdf
- https://www.discogs.com/master/118091-Little-Richard-Heres-Little-Richard
インペリアル・レコード
インペリアル・レコード(Imperial Records)は、1957年3月にファッツ・ドミノ(Fats Domino, 1928–2017)の「アイム・ウォーキン(I’m Walkin’)」Imperial 5428で強い市場活動を示しました。同曲は1957年初頭の録音・発売として扱われ、同年3月にはリズム・アンド・ブルースとポップの双方で存在感を示しました。インペリアル・レコード(Imperial Records)は、ニューオーリンズ系リズム・アンド・ブルースを全国のポピュラー市場へ接続する独立系レーベルとして機能していました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1957/CB-1957-03-23.pdf
- https://www.vocalgroupharmony.com/7ROWNEW/ImperialRecordsPartFour.htm
- https://www.discogs.com/master/197973-Fats-Domino-Im-Walkin-Im-In-The-Mood-For-Love
ドット・レコード
ドット・レコード(Dot Records)は、1957年3月にタブ・ハンター(Tab Hunter, 1931–2018)の「ヤング・ラヴ(Young Love)」Dot 15533で全米チャート首位を記録していました。同じ月の業界誌では、ザ・ヒルトッパーズ(The Hilltoppers)の「マリアンヌ(Marianne)」なども確認できます。ドット・レコード(Dot Records)は、映画・テレビで人気を持つスター歌手と白人ポップ市場向け録音を組み合わせる販売戦略を展開していました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1957/CB-1957-03-09.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1957/Billboard%201957-03-02.pdf
マーキュリー・レコード
マーキュリー・レコード(Mercury Records)は、1957年3月にザ・ダイアモンズ(The Diamonds)の「リトル・ダーリン(Little Darlin’)」Mercury 71060で大きな動きを見せました。同曲は1957年2月発売とされ、1957年3月にはポピュラー市場で上昇していました。リズム・アンド・ブルース由来の楽曲を白人ヴォーカル・グループがカバーし、全国ポップ市場へ広げた事例として重要です。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1957/CB-1957-03-09.pdf
- https://www.discogs.com/master/306071-The-Diamonds-Little-Darlin-Faithful-And-True
コロムビア・レコード
コロムビア・レコード(Columbia Records)は、1957年3月にガイ・ミッチェル(Guy Mitchell, 1927–1999)の「ロック・ア・ビリー(Rock-A-Billy)」Columbia 40877を新譜として扱いました。『ザ・ビルボード(The Billboard)』1957年3月23日号には同盤のレビューが確認できます。同社は、従来型ポピュラー歌手の録音にもロックンロールやロカビリー的な語彙を取り込み、ブロードウェイ録音市場では『マイ・フェア・レディ(My Fair Lady)』関連アルバムの販売力も維持していました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1957/Billboard%201957-03-23.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1957/CB-1957-03-30.pdf
キャピトル・レコード
キャピトル・レコード(Capitol Records)は、1957年3月の長時間盤市場でフランク・シナトラ(Frank Sinatra, 1915–1998)の『クロース・トゥ・ユー(Close to You)』Capitol W 789、ナット・キング・コール(Nat “King” Cole, 1919–1965)の『アフター・ミッドナイト(After Midnight)』Capitol W 782などを通じて存在感を保っていました。シングル中心のロックンロール市場と並行して、キャピトル・レコード(Capitol Records)は成人向けポピュラー・ヴォーカル長時間盤の市場を維持していました。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1957/Billboard%201957-03-02.pdf
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Cash-Box/50s/1957/CB-1957-03-09.pdf
ヴァーヴ・レコード
ヴァーヴ・レコード(Verve Records)は、1957年3月26日にリッキー・ネルソン(Ricky Nelson, 1940–1985)の「アイム・ウォーキン(I’m Walkin’)」を録音しました。同録音はVerve 10047として発売され、テレビ出演者からレコード歌手へ進出する初期の重要事例となりました。リッキー・ネルソン(Ricky Nelson, 1940–1985)の録音活動は、1950年代後半のテレビとポピュラー音楽市場の結びつきを示しました。
- https://countrydiscography.blogspot.com/2010/11/rick-nelson-part-i.html
- https://www.discogs.com/master/563869-Ricky-Nelson-Im-Walkin-A-Teenagers-Romance
サン・レコード
サン・レコード(Sun Records)は、1957年3月前後にジェリー・リー・ルイス(Jerry Lee Lewis, 1935–2022)の「ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン(Whole Lotta Shakin’ Goin’ On)」Sun 267の初期流通へ進んでいました。同曲は1957年2月27日にメンフィスで録音されたとされます。発売月については資料上1957年3月または1957年4月とする扱いが見られるため、1957年3月時点では初期流通期として位置づけられます。
- https://tims.blackcat.nl/messages/jerry_lee_lewis.htm
- https://www.discogs.com/master/130694-Jerry-Lee-Lewis-Whole-Lotta-Shakin-Goin-On-Itll-Be-Me
