1959年4月に録音された音楽
1959年4月は、冷戦下の政治再編、宇宙開発、国際開発金融、映画・音楽産業が同時に動いた月です。4月6日、第31回アカデミー賞(The 31st Academy Awards)では映画『恋の手ほどき』(Gigi)が作品賞などを受賞し、映画音楽アルバム市場にも波及しました。4月8日、ワシントンD.C.(Washington, D.C.)で米州開発銀行設立協定(Agreement Establishing the Inter-American Development Bank)が採択されました。4月9日、アメリカ航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration)はマーキュリー7宇宙飛行士(Mercury 7 Astronauts)を発表しました。4月10日、日本では明仁親王(1933–)と正田美智子(1934–)の結婚が行われました。第14代ダライ・ラマのテンジン・ギャツォ(Tenzin Gyatso, 1935–)は4月20日にインド共和国(Republic of India)のムスーリー(Mussoorie)へ到着しました。フィデル・アレハンドロ・カストロ・ルス(Fidel Alejandro Castro Ruz, 1926–2016)は同月にアメリカ合衆国(United States of America)を訪問し、4月17日に米国新聞編集者協会(American Society of Newspaper Editors)で演説しました。4月25日には砕氷船ディベルヴィル(D’Iberville)がセントローレンス海路(St. Lawrence Seaway)の最初の全通航を開始し、4月27日には劉少奇(1898–1969)が中華人民共和国主席(Chairman of the People’s Republic of China)に選出されました。
この月の確認されている録音:0曲
1959年4月の録音に関する情報のまとめ
1959年4月の録音産業では、ステレオ45回転盤、ステレオ長時間盤、映画・舞台関連アルバム、テレビ番組連動シングル、販売店向け販促が重なって展開されました。アメリカ合衆国(United States of America)の主要レコード会社は、録音済み素材を新しい再生環境や映像メディアと結びつけ、シングル、長時間盤、サウンドトラック、オリジナル・キャスト・アルバムを並行して販売しました。特に、映画賞やテレビ番組の人気、ステレオ再生機器の普及、店頭ディスプレイを組み合わせた販売施策が目立ちます。
キャピトル・レコード
キャピトル・レコード(Capitol Records)は、1959年4月27日にステレオ45回転シングル市場へ参入する計画を示しました。『ビルボード』(Billboard)1959年4月13日号は、同社の初回発売を6面とし、そのうち4面を通常のモノラル盤との同時発売、2面を既発モノラル盤のステレオ版と説明しています。対象には、ペギー・リー(Peggy Lee, 1920–2002)、ボビー・ハマック(Bobby Hammack, 1922–1990)、ロニー・アンド・ロイ(Ronnie & Roy)、アール・ホリマン(Earl Holliman, 1928–2024)、レイ・アンソニー(Ray Anthony, 1922–)、ジョニー・オーティス(Johnny Otis, 1921–2012)が含まれていました。販売価格は1枚1.15ドルとされ、キャピトル・レコード(Capitol Records)は市場需要または素材の適性がある場合にステレオ・シングルを出す方針を示しました。
- https://archive.org/details/bub_gb_UiAEAAAAMBAJ
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1959/Billboard%201959-04-13.pdf
- https://www.bsnpubs.com/stereoproject/history.html
コロンビア・レコード
コロンビア・レコード(Columbia Records)は、1959年4月に舞台録音とジャズ・アルバム販促の両面で動いていました。『ビルボード』(Billboard)1959年4月13日号の記事では、同社がビート世代を題材にしたブロードウェイ・ミュージカル『ザ・ナーヴァス・セット』(The Nervous Set)のオリジナル・キャスト録音権を取得したことが報じられています。同号の広告では、『マイ・フェア・レディ』(My Fair Lady)ステレオ版、『ジュノ』(Juno)、『エイブ・リンカーン・イン・イリノイ』(Abe Lincoln in Illinois)などの舞台関連アルバムが示され、5月開幕予定の『ジプシー』(Gypsy)も予告されています。また、同社は1959年5月1日予定の「コロンビア・ジャズ・フェスティバル」(Columbia Jazz Festival)として、デイヴ・ブルーベック(Dave Brubeck, 1920–2012)、マイルス・デイヴィス(Miles Davis, 1926–1991)、デューク・エリントン(Duke Ellington, 1899–1974)、ベニー・グッドマン(Benny Goodman, 1909–1986)らのジャズ商品群を販売店向けに宣伝しました。
- https://archive.org/details/bub_gb_UiAEAAAAMBAJ
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1959/Billboard%201959-04-13.pdf
アールシーエー・ヴィクター
アールシーエー・ヴィクター(RCA Victor)は、1959年4月にオリジナル・キャスト・アルバム、ポピュラー歌手アルバム、テレビ音楽アルバムを並行して販売していました。『ビルボード』(Billboard)1959年4月13日号では、舞台『レッドヘッド』(Redhead)のオリジナル・キャスト・アルバム LOC/LSO-1048 が広告され、グウェン・ヴァードン(Gwen Verdon, 1925–2000)、リチャード・カイリー(Richard Kiley, 1922–1999)、ボブ・フォッシー(Bob Fosse, 1927–1987)らの舞台実績と結びつけて紹介されています。同号では、パット・スズキ(Pat Suzuki, 1930–)の2枚のアルバム LPM/LSP-1965 と LPM-2005 について、雑誌広告、ディスクジョッキー向け販促、店頭ディスプレイ、テレビ番組・ラジオ番組広告、スチュードベーカー(Studebaker)販売店による45回転拡張再生盤配布を組み合わせた販売施策も報じられています。さらに、ヘンリー・マンシーニ(Henry Mancini, 1924–1994)の『ピーター・ガン』(Peter Gunn)RCA Victor LPM 1956 は同号のアルバム・チャートで上位に掲載されていました。
- https://archive.org/details/bub_gb_UiAEAAAAMBAJ
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1959/Billboard%201959-04-13.pdf
エムジーエム・レコード
エムジーエム・レコード(M-G-M Records)は、第31回アカデミー賞(The 31st Academy Awards)の結果を受け、映画『恋の手ほどき』(Gigi)のサウンドトラック・アルバムを販促しました。『ビルボード』(Billboard)1959年4月13日号の記事は、エムジーエム・レコード(M-G-M Records)がアカデミー賞授賞前から販売店用の告知物を用意し、受賞後にアルバム販売を伸ばす狙いで配布したことを伝えています。同記事は、同社が『恋の手ほどき』(Gigi)のアルバム販売を50万枚と報告し、受賞効果によりさらに10万枚を見込んだとしています。同号のアルバム・チャートでは、同作は「Sound Track」として M-G-M E 3461 ST の番号で掲載されています。
- https://archive.org/details/bub_gb_UiAEAAAAMBAJ
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1959/Billboard%201959-04-13.pdf
- https://www.oscars.org/oscars/ceremonies/1959
マーキュリー・レコード
マーキュリー・レコード(Mercury Records)は、1959年4月13日号で、ポップ、リズム・アンド・ブルース、ヴォーカル作品を同時に宣伝しました。広告では、サラ・ヴォーン(Sarah Vaughan, 1924–1990)の「A Mother’s Love」Mercury 71433、ブルック・ベントン(Brook Benton, 1931–1988)の「Endlessly」Mercury 71443、ダイナ・ワシントン(Dinah Washington, 1924–1963)の「What a Difference a Day Makes」Mercury 71435 が掲載されています。ブルック・ベントン(Brook Benton, 1931–1988)については、既に「It’s Just a Matter of Time」Mercury 71394 がヒットしていた状況を受け、アルバム『イッツ・ジャスト・ア・マター・オブ・タイム』(It’s Just a Matter of Time)SR 60077/MG 20421 の注文促進も行われていました。
- https://archive.org/details/bub_gb_UiAEAAAAMBAJ
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1959/Billboard%201959-04-13.pdf
ワーナー・ブラザーズ・レコード
ワーナー・ブラザーズ・レコード(Warner Bros. Records)は、1959年4月にテレビ番組連動シングルとジャズ・アルバム販売を同時に展開していました。『ビルボード』(Billboard)1959年4月13日号は、ワーナー・ブラザーズ・レコード(Warner Bros. Records)がエドワード・バーンズ(Edward Byrnes, 1932–2020)と独占録音契約を結んだと報じています。同記事では、エドワード・バーンズ(Edward Byrnes, 1932–2020)がアメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー(American Broadcasting Company)のテレビ番組『サンセット77』(77 Sunset Strip)で「クーキー」(Kookie)を演じていたこと、初回盤「Kookie Kookie—Lend Me Your Comb」が『ディック・クラーク・ショー』(Dick Clark Show)で披露されたことが記されています。同号の広告では、ワーナー・ブラザーズ・レコード(Warner Bros. Records)が『ジャズ・フェスティバル・イン・ステレオ』(Jazz Festival in Stereo)などをモノラル盤・ステレオ盤で販売し、ジョージ・アヴァキアン(George Avakian, 1919–2017)の特別監修を前面に出していました。
- https://archive.org/details/bub_gb_UiAEAAAAMBAJ
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1959/Billboard%201959-04-13.pdf
デッカ・レコード
デッカ・レコード(Decca Records)は、1959年4月に映画音楽アルバムの権利処理をめぐる訴訟記事で扱われました。『ビルボード』(Billboard)1959年4月13日号は、グレン・ミラー(Glenn Miller, 1904–1944)の遺産管理側が、ユニバーサル・インターナショナル・ピクチャーズ(Universal International Pictures)およびデッカ・レコード(Decca Records)を相手にした訴訟がニューヨーク州最高裁判所(New York Supreme Court)で審理に入ったと報じています。対象は映画『グレン・ミラー物語』(The Glenn Miller Story)のサウンドトラック・アルバムで、映画内使用の許諾がレコード・アルバム化の許諾を含むかどうかが争点でした。
- https://archive.org/details/bub_gb_UiAEAAAAMBAJ
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1959/Billboard%201959-04-13.pdf
エービーシー・パラマウント・レコード
エービーシー・パラマウント・レコード(ABC-Paramount Records)は、1959年4月13日号でポール・アンカ(Paul Anka, 1941–)の ABC-10011 を大きく広告し、同盤がステレオ45回転盤 S-10011 としても入手可能であることを示しました。該当広告は、ドン・コスタ(Don Costa, 1925–1983)がオーケストラと合唱を編曲・指揮したことも示しています。ポール・アンカ(Paul Anka, 1941–)の ABC-10011 は「I Miss You So」/「Late Last Night」として確認できます。
- https://archive.org/details/bub_gb_UiAEAAAAMBAJ
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/50s/1959/Billboard%201959-04-13.pdf
ユナイテッド・アーティスツ・レコード
ユナイテッド・アーティスツ・レコード(United Artists Records)は、1959年4月下旬の業界紙で映画サウンドトラック販売の好調が報じられました。『ミュージック・リポーター』(The Music Reporter)1959年4月27日号は、同社販売・販促担当のレスター・リーズ(Lester Lees, 生没年不明)が西海岸出張から戻り、映画『お熱いのがお好き』(Some Like It Hot)のサウンドトラック・アルバムが急伸していると報告したことを伝えています。映画公開とレコード販売が連動する形は、同月のエムジーエム・レコード(M-G-M Records)やデッカ・レコード(Decca Records)の動向とも並行していました。
リバティ・レコード
リバティ・レコード(Liberty Records)は、1959年4月下旬の業界紙で、マーティン・デニー(Martin Denny, 1911–2005)の「Quiet Village」の販売見通しと、4月発売アルバムの販促が確認できます。『ミュージック・リポーター』(The Music Reporter)1959年4月27日号は、リバティ・レコード(Liberty Records)のアル・ベネット(Al Bennett, 生没年不明)が7都市の販売行脚から戻り、「Quiet Village」が最初の2週間で50万枚の販売目標に向かっていると述べたことを伝えています。同記事では、同社の販促担当ドン・ブロッカー(Don Blocker, 生没年不明)が西海岸で4月発売アルバムの販売機会を広げていたことも報じられています。
トゥエンティース・フォックス・レコード
トゥエンティース・フォックス・レコード(20th Fox Records)は、1959年4月下旬の業界紙で複数のシングル広告を出していました。『ミュージック・リポーター』(The Music Reporter)1959年4月27日号では、アル・マルティーノ(Al Martino, 1927–2009)の「I Can’t Get You Out Of My Heart」/「Two Hearts Are Better Than One」20th Fox 132、ハリー・シメオン・コラール(The Harry Simeone Chorale)の新作、ザ・リトル・トイ・バンド(The Little Toy Band)の「The Little Tin Man」20th Fox 139 が広告されています。
