1959年11月に録音された音楽
1959年11月は、冷戦下の宇宙開発、国際規範、交通インフラ、自然科学、音楽文化が同時に動いた月です。イギリスでは2日にエムワン自動車道(M1 motorway)の最初の区間が開通し、高速道路時代を象徴する出来事となりました。4日にはアメリカ航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration)がマーキュリー計画(Project Mercury)の無人試験リトル・ジョー1A(Little Joe 1A)を打ち上げ、26日には月探査機パイオニアP-3(Pioneer P-3 / Able 4B)の打ち上げが失敗しました。14日にはキラウエア・イキ火口(Kīlauea Iki Crater)で噴火が始まり、アメリカ地質調査所(United States Geological Survey)が観測する大規模な溶岩噴泉へ発展しました。20日には国際連合総会(United Nations General Assembly)が児童の権利宣言(Declaration of the Rights of the Child)を採択しました。25日にはドイツ連邦共和国(Federal Republic of Germany)とパキスタン・イスラム共和国(Islamic Republic of Pakistan)が二国間投資協定に署名しました。27日には日本で日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約改定に反対する大規模抗議が国会周辺で起きました。29日には第二回グラミー賞(2nd Annual GRAMMY Awards)が行われ、ボビー・ダーリン(Bobby Darin, 1936–1973)とフランク・シナトラ(Frank Sinatra, 1915–1998)の録音が大きく評価されました。
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1959年11月の録音に関する情報のまとめ
1959年11月の録音産業では、ステレオ録音設備の整備、長時間盤の大量供給、映画音楽盤の販売、クリスマス商戦向けシングル、独立系レーベルの新作広告、ヒット録音の受賞と販売拡大が並行して進みました。『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月号では、アールシーエー・ヴィクター・レコード(RCA Victor Records)のスタジオ設備更新、マーキュリー・レコード(Mercury Records)とキャピトル・レコード(Capitol Records)のアルバム供給、ユナイテッド・アーティスツ・レコード(United Artists Records)の録音契約と映画音楽盤、ルーレット・レコード(Roulette Records)の録音制作、エムジーエム・レコード(M-G-M Records)の映画・季節商品、アトコ・レコード(Atco Records)のボビー・ダーリン(Bobby Darin, 1936–1973)関連商品の成功が見られます。全米レコード協会(Recording Industry Association of America)の業界報告も、1959年上半期の米国レコード販売の伸長とステレオ盤の拡大を示しており、1959年末のレコード市場がモノラル盤とステレオ盤の併売を前提に成長していたことがうかがえます。
アールシーエー・ヴィクター・レコード
アールシーエー・ヴィクター・レコード(RCA Victor Records)は、『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月21日号で、カスタム・セールス部門による3年間の録音スタジオ再建・再装備計画を終え、シカゴ・スタジオを再開しました。シカゴ・スタジオは、ニューヨーク、ハリウッド、ナッシュヴィルの各スタジオと同水準のステレオ録音装置を備える拠点として位置づけられました。同社は同時期に、ブロードウェイ作品『テイク・ミー・アロング(Take Me Along)』関連盤として RCA Victor LPM/LSP-2142、RCA Victor LPM/LSP-2164、RCA Camden CAL/CAS 550 を宣伝し、舞台音楽関連の長時間盤も年末市場に投入しました。
アトコ・レコード
アトコ・レコード(Atco Records)は、1959年11月にボビー・ダーリン(Bobby Darin, 1936–1973)関連商品の商業的成功を前面に出しました。『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月7日号では、シングル『マック・ザ・ナイフ(Mack the Knife)』が全米1位を継続し、アルバム『ザッツ・オール(That’s All)』もロングセラーとして扱われました。第二回グラミー賞(2nd Annual GRAMMY Awards)では、ボビー・ダーリン(Bobby Darin, 1936–1973)が最優秀新人賞と年間最優秀レコード賞を受け、同社の録音商品は1959年末のポピュラー音楽市場で強い存在感を示しました。同号には、キング・カーティス(King Curtis, 1934–1971)のシングル Atco 6152『ヘヴンリー・ブルース(Heavenly Blues)』も広告されています。
ウェストミンスター・レコード
ウェストミンスター・レコード(Westminster Records)は、『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月7日号で、クリスマス商戦に向けた大規模なアルバム販促を展開しました。同広告では、モノラル・アルバムとステレオ・アルバムを対象に、全国広告、新聞広告、店頭ディスプレイを連動させる販売計画が示されています。同社の1959年11月の動きは、クラシック系・高音質系アルバムを年末ギフト需要と結びつける販売戦略として位置づけられます。
フィル・ムーア・レコード
フィル・ムーア・レコード(Phil Moore Records)は、『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月7日号で、ストランド・レコード(Strand Records)系列の商品を含む新作アルバム群を広告しました。ハンス・コンリード(Hans Conried, 1917–1982)を中心にした『ピーター・ミーツ・ザ・ウルフ・イン・ディキシーランド(Peter Meets the Wolf in Dixieland)』は SL 1001 / SLS 1001 として示されています。『リーヴ・イット・トゥ・ジェーン オリジナル・オフ・ブロードウェイ・キャスト(Leave It to Jane Original Off-Broadway Cast)』は SL 1002 / SLS 1002、『ストリングス・アンド・オール・ザット・ジャズ(Strings and All That Jazz)』は SL 1003 / SLS 1003、『ポリネシアン・パラダイス(Polynesian Paradise)』は SL 1004 / SLS 1004 として広告されました。
マーキュリー・レコード
マーキュリー・レコード(Mercury Records)は、『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月7日号で、11月発売分として29枚のアルバムを供給しました。内訳はポップ・アルバム19枚、クラシック・アルバム10枚でした。ポップ部門では、グリーン・アンド・アイルズ(Green and Iles)の『キープ・イット・ゲイ(Keep It Gay)』、バディ・リッチ(Buddy Rich, 1917–1987)の『ザ・ヴォイス・イズ・リッチ(The Voice Is Rich)』、ブルック・ベントン(Brook Benton, 1931–1988)の『エンドレスリー(Endlessly)』、トニー・ウィリアムズ(Tony Williams, 1928–1992)の『ア・ガール・イズ・ア・ガール・イズ・ア・ガール(A Girl Is A Girl Is A Girl)』などが紹介され、同社はポップとクラシックを並行して年末市場へ供給しました。
キャピトル・レコード
キャピトル・レコード(Capitol Records)は、『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月21日号で、年末向けアルバムとしてポップ19枚、キャピトル・オブ・ザ・ワールド(Capitol of the World)4枚、クラシック10枚を発表しました。ポップ部門では、ディーン・マーティン(Dean Martin, 1917–1995)とジョージ・シアリング(George Shearing, 1919–2011)のアルバムが紹介されています。同号では、ダンサー、プランサー・アンド・ナーヴァス(Dancer, Prancer & Nervous)の『ザ・ハッピー・レインディア(The Happy Reindeer)』が発売後10日で50万枚出荷されたことも報じられ、同社はクリスマス商戦に向けてシングルと長時間盤の双方を強く押し出しました。
ドット・レコード
ドット・レコード(Dot Records)は、『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月21日号で、7枚のシングルと新作アルバムを発売しました。ルイ・プリマ(Louis Prima, 1910–1978)、ザ・ヒルトッパーズ(The Hilltoppers)、ザ・フォンテイン・シスターズ(The Fontane Sisters)、マック・ワイズマン(Mac Wiseman, 1925–2019)、バディ・メリル(Buddy Merrill, 1936–2021)、サム・ブテラ・アンド・ザ・ウィットネシズ(Sam Butera and the Witnesses)などが新譜群に含まれました。長時間盤では、アルトゥーロ・ハヴィエル・ゴンザレス(Arturo Javier Gonzales, 生没年不明)の『アット・ザ・フォガタ(At The Fogata)』も紹介されました。
ユナイテッド・アーティスツ・レコード
ユナイテッド・アーティスツ・レコード(United Artists Records)は、『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月21日号で、フェランテ・アンド・タイシャー(Ferrante and Teicher)と録音契約を結びました。最初のシングルは『ドリーム・コンチェルト(Dream Concerto)』と『ラヴァーズ・シンフォニー(Lovers Symphony)』として紹介され、同デュオは同社にシングルとアルバムの両方を録音する予定でした。同社の11月発売アルバムには、バーン・アイヴズ(Burl Ives, 1909–1995)の『バラッズ(Ballads)』、映画『ソロモンとシバの女王(Solomon and Sheba)』のサウンドトラック盤、『渚にて(On The Beach)』関連盤、ザ・モダン・ジャズ・カルテット(The Modern Jazz Quartet)による映画『拳銃の報酬(Odds Against Tomorrow)』関連盤、『フォーク・ソング・フェスティヴァル・アット・カーネギー・ホール(Folk Song Festival At Carnegie Hall)』が含まれました。
ルーレット・レコード
ルーレット・レコード(Roulette Records)は、『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月21日号で、パール・ベイリー(Pearl Bailey, 1918–1990)の新録音を進めました。同記事では、パール・ベイリー(Pearl Bailey, 1918–1990)が2日間で14面を録音し、テディ・レイグ(Teddy Reig, 1918–1984)がA&Rプロデューサーを務めました。アルバム『モア・ソングス・フォー・アダルツ・オンリー(More Songs For Adults Only)』は、前作『フォー・アダルツ・オンリー(For Adults Only)』に続く作品として企画されました。同じ録音機会では、クリスマス・シングル『ジングル・ベルズ(Jingle Bells)』と『ファイヴ・パウンド・ボックス・オブ・マネー(Five Pound Box Of Money)』も制作されました。
エムジーエム・レコード
エムジーエム・レコード(M-G-M Records)は、『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月21日号で、ライオン・レコード(Lion Records)名義の映画音楽盤『ベン・ハー 音楽ハイライト(Musical Highlights from Ben-Hur)』を広告しました。同広告では、モノラル盤 Lion L 70123 とステレオ盤 Lion SL 70123 が示され、32ページのカラー解説冊子付き商品として販売店へ訴求されています。同号では、エムジーエム・レコード(M-G-M Records)がクリスマス向けシングルとして、前年発売の『ドンデ・エスタ・サンタ・クロース(Donde Esta Santa Claus)』の再発売と、アート・ムーニー(Art Mooney, 1911–1993)の『ア・メリー・メリー・クリスマス・トゥ・ユー(A Merry Merry Christmas To You)』を扱ったことも示されています。
コロムビア・レコード
コロムビア・レコード(Columbia Records)は、『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月21日号で、録音制作、社内人事、アルバム販売の複数面で活動を示しました。フランク・デ・ヴォル(Frank De Vol, 1911–1999)は西海岸部門からニューヨーク本社へ移り、ゴダード・リーバーソン(Goddard Lieberson, 1911–1977)がその異動を発表しました。ジョニー・マティス(Johnny Mathis)のアルバム『ヘヴンリー(Heavenly)』は、同社の主要アルバムとして扱われました。アルバム・チャートでは、マイルス・デイヴィス(Miles Davis, 1926–1991)の『カインド・オブ・ブルー(Kind of Blue)』、マーティ・ロビンズ(Marty Robbins, 1925–1982)の『ガンファイター・バラッズ(Gunfighter Ballads)』、ミッチ・ミラー(Mitch Miller, 1911–2010)関連作品など、同社の長時間盤がジャズ、カントリー、合唱、家庭向け歌唱商品を横断して流通しました。
ゴールデン・クレスト・レコード
ゴールデン・クレスト・レコード(Golden Crest Records)は、『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月21日号で、ジョン・アンド・ソンドラ・スティール(Jon & Sondra Steele)とニューヨーク・ブラス・クインテット(New York Brass Quintet)の商品展開を進めました。ジョン・アンド・ソンドラ・スティール(Jon & Sondra Steele)は、長時間盤『ヒズ・アンド・ハーズ(His And Hers)』を録音しました。ニューヨーク・ブラス・クインテット(New York Brass Quintet)は、シングル『ザ・リトル・ドラマー・ボーイ(The Little Drummer Boy)』と『ジェズ・バンビーノ(Jesu Bambino)』を発売し、クリスマス期の器楽・宗教系レパートリーを市場に出しました。
ワーナー・ブラザース・レコード
ワーナー・ブラザース・レコード(Warner Bros. Records)は、『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月21日号で、全米のディスク・ジョッキーを対象にしたクリスマス企画を発表しました。同社は年末商戦に合わせ、放送関係者向けの販売促進を行い、レコードの露出拡大を図りました。1959年11月の同社の動きは、録音商品を放送網と連動させる販促活動として位置づけられます。
ランク・レコード・オブ・アメリカ
ランク・レコード・オブ・アメリカ(Rank Records of America)は、『キャッシュ・ボックス(The Cash Box)』1959年11月21日号で、アーヴィング・トレンチャー(Irving Trencher, 生没年不明)を東部地区販売マネージャーに任命しました。アーヴィング・トレンチャー(Irving Trencher, 生没年不明)は、レン・レヴィ(Len Levy, 生没年不明)の監督下で、トップ・ランク・インターナショナル(Top Rank International)とジャロ・インターナショナル(Jaro International)のシングルおよびアルバムを販売店とディスク・ジョッキーに宣伝する役割を担いました。同社は1959年11月に、東部地区での販売網と販促活動を強化しました。
