1959年10月に録音された音楽

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1959年10月に録音された音楽

1959年10月は、冷戦下の宇宙開発、国際政治、大衆文化、美術、文学が大きく動いた月です。2日、ロッド・サーリング(Rod Serling, 1924–1975)が企画・脚本の中心を担ったテレビ番組『トワイライト・ゾーン(The Twilight Zone)』がアメリカ合衆国(United States of America)で放送開始されました。4日、ソビエト社会主義共和国連邦(Union of Soviet Socialist Republics)はルナ3号(Luna 3)を打ち上げ、月の裏側を初めて写真で地球へ送信しました。8日、イギリス総選挙(United Kingdom general election)が行われ、ハロルド・マクミラン(Harold Macmillan, 1894–1986)率いる英国保守党(Conservative and Unionist Party)が政権を維持しました。13日、アメリカ航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration)はエクスプローラー7号(Explorer 7)を打ち上げ、地球放射収支などの観測を進めました。21日、フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright, 1867–1959)設計のソロモン・R・グッゲンハイム美術館(Solomon R. Guggenheim Museum)がニューヨークで開館しました。同じ21日、ラダック地方コンカ峠(Kongka Pass)付近のホット・スプリングス(Hot Springs)で、中華人民共和国(People’s Republic of China)軍の待ち伏せによりインド共和国(Republic of India)の警察官10人が死亡し、国境緊張が深まりました。文学では、サルヴァトーレ・クァジーモド(Salvatore Quasimodo, 1901–1968)が1959年ノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)に選ばれました。

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1959年10月の録音に関する情報のまとめ

1959年10月の録音関連市場では、秋商戦に向けたシングル盤、ステレオLP、映画音楽、季節商品、旧録音再編集シリーズの販売促進が並行して進みました。業界誌キャッシュ・ボックス(The Cash Box)では、アトコ・レコード(Atco Records)、アトランティック・レコード(Atlantic Records)、コロンビア・レコード(Columbia Records)、アールシーエー・ビクター(RCA Victor)、マーキュリー・レコード(Mercury Records)、ワーナー・ブラザース・レコード(Warner Bros. Records)、トゥエンティース・フォックス・レコード(20th Fox Records)、エム・ジー・エム・レコード(MGM Records)、キャピトル・レコード(Capitol Records)、デッカ・レコード(Decca Records)、オーディオ・フィデリティ・レコード(Audio Fidelity Records)、チェス社(Chess Corp.)、シーコ・レコード(Seeco Records)の活動が確認できます。ステレオ再生環境の普及を背景にした店頭実演、ハイ・ファイ・ショーでの録音実演、LPカタログの再活用、リズム・アンド・ブルース系録音のポップ市場進出が、同月の特徴として表れました。

アトコ・レコード/アトランティック・レコード

アトコ・レコード(Atco Records)は、ボビー・ダーリン(Bobby Darin, 1936–1973)の「Mack the Knife」を1959年8月にシングル化し、1959年10月のキャッシュ・ボックス(The Cash Box)では各地の販売報告やチャートで大きく扱われました。同録音はブロードウェイ由来の楽曲をポップ・シングルとして再構成した事例で、1959年秋のアメリカ合衆国(United States of America)のポピュラー音楽市場を代表するヒットになりました。アトランティック・レコード(Atlantic Records)では、ザ・ドリフターズ(The Drifters)の「There Goes My Baby」に続く新作として「Dance with Me」(Atlantic 2040)が広告され、リズム・アンド・ブルース系レーベルの録音がポップ市場へ広がっていました。

コロンビア・レコード

コロンビア・レコード(Columbia Records)は、1959年10月のキャッシュ・ボックス(The Cash Box)でジョニー・マティス(Johnny Mathis, 1935–)の映画関連シングル「The Best of Everything」/「Cherie」(4-41491)を広告していました。同号のアルバム欄では、ジョニー・マティス(Johnny Mathis, 1935–)の『Heavenly』がモノラル盤・ステレオ盤の双方で扱われ、同社は映画主題歌、ポピュラー・ヴォーカル、ステレオLPを並行して展開していました。また、ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash, 1932–2003)は1959年10月にコロンビア・レコード(Columbia Records)のニューヨーク録音スタジオで撮影された資料が残っており、同月の録音活動とアルバム制作の継続が確認できます。

アールシーエー・ビクター

アールシーエー・ビクター(RCA Victor)は、1959年10月のキャッシュ・ボックス(The Cash Box)でアイズレー・ブラザーズ(The Isley Brothers)の「Shout」(RCA Victor 7588)をリズム・アンド・ブルース系の注目盤として扱っていました。また、1959年10月6日–7日には、マーティ・ペイチ(Marty Paich, 1925–1995)関連のセッションがアールシーエー・ビクターズ・ミュージック・センター・オブ・ザ・ワールド(RCA Victor’s Music Center of the World)で行われた記録があり、同社のハリウッド録音拠点はジャズ・ポピュラー領域でも稼働していました。アールシーエー・ビクター(RCA Victor)は、ロックンロール、リズム・アンド・ブルース、ジャズ系アルバム制作を並行して扱う大手レーベルとして、1959年10月の市場で存在感を示していました。

マーキュリー・レコード

マーキュリー・レコード(Mercury Records)は、1959年10月17日号のキャッシュ・ボックス(The Cash Box)でディナ・ワシントン(Dinah Washington, 1924–1963)を大きく扱っていました。同誌では、「What a Diff’rence a Day Makes」によってディナ・ワシントン(Dinah Washington, 1924–1963)がポップ市場でも大きく伸び、「Unforgettable」がベストセラー欄で上昇中であること、さらに最新アルバム『The Queen』がマーキュリー・レコード(Mercury Records)から発売されたことが伝えられています。ブルース、ジャズ、ポップの境界をまたぐヴォーカル録音の商業展開が、同月の同社活動として表れました。

ワーナー・ブラザース・レコード

ワーナー・ブラザース・レコード(Warner Bros. Records)は、1959年10月3日号のキャッシュ・ボックス(The Cash Box)で、前週のハイ・フィデリティ・ショーにおけるステレオ試聴ポストへの反応が大きかったと報じられています。同社は、ステレオ再生環境で訴求できる新譜を販売店向けに示し、ステレオLPと店頭体験を結びつけた販促に力を入れていました。1959年10月の同社活動は、単なる新譜広告ではなく、ステレオ録音と高忠実度再生を小売現場で体験させる販売戦略として位置づけられます。

トゥエンティース・フォックス・レコード

トゥエンティース・フォックス・レコード(20th Fox Records)は、1959年10月17日号のキャッシュ・ボックス(The Cash Box)で「October program」として秋商戦向けの販促条件を広告し、全カタログ20パーセント割引、秋発売分の交換特典、90日決済条件を示していました。同広告では、ハリー・シメオン・コラール(Harry Simeone Chorale)の『Sing We Now of Christmas』(FOX 3002)が「The Little Drummer Boy」の原録音を含む商品として強調され、すでに20万件超の注文を受けたとされています。季節商品、映画関連音源、旧録音の再商品化を組み合わせたレーベル販売戦略が進められていました。

エム・ジー・エム・レコード

エム・ジー・エム・レコード(MGM Records)は、1959年10月17日号のキャッシュ・ボックス(The Cash Box)で『Benny Goodman Treasure Chest』(MGM 3E9)を広告し、同月の記事でも同商品に対する流通業者・販売店向けの販売促進策が報じられています。同商品は、ベニー・グッドマン(Benny Goodman, 1909–1986)の1937年–1938年録音をまとめた3枚組で、未発売録音を含むものとして扱われていました。1959年10月時点で、スウィング時代の録音を新たなLP商品として再構成する動きが進んでいました。

キャピトル・レコード

キャピトル・レコード(Capitol Records)は、1959年10月31日号のキャッシュ・ボックス(The Cash Box)で、10月発売のポップ・アルバム新譜と販売店向け販促策を示していました。同資料では、キングストン・トリオ(The Kingston Trio)関連の店頭什器、ケイ・スター(Kay Starr, 1922–2016)の『Movin’』向け販促、新譜に対する支払猶予策が示されており、キャピトル・レコード(Capitol Records)はフォーク・ブーム、ポピュラー・ヴォーカル、LP販売を結びつけて秋商戦を組んでいました。1959年10月の同社活動は、シングル盤だけでなく、アルバムを小売店でまとめて売るための販促設計を伴っていました。

デッカ・レコード

デッカ・レコード(Decca Records)は、1959年10月17日号のキャッシュ・ボックス(The Cash Box)で、創業25年を意識した旧録音再編集シリーズ『The Music Goes Round and Round』6枚を発売し、販売店向け販促物と「Buy Six, Pay For Five」施策を11月30日まで行うことを示していました。同シリーズは、同社カタログに蓄積された過去の録音をLP時代の商品として再構成する企画でした。デッカ・レコード(Decca Records)の当月活動は、カタログ運用と周年販促を結びつけた事例として位置づけられます。

オーディオ・フィデリティ・レコード

オーディオ・フィデリティ・レコード(Audio Fidelity Records)は、1959年10月17日号のキャッシュ・ボックス(The Cash Box)で、シドニー・フレイ(Sidney Frey, 1920–1968)がニューヨーク・ハイ・ファイ・ショー(New York Hi-Fi Show)でライブ・ステレオ録音実演を行ったと報じられています。同記事では、フェランド・シルヴェント・アンド・ヒズ・フラメンコ・ダンサーズ(Ferrando Sirvent and His Flamenco Dancers)を用いた録音工程とステレオ技術の説明が扱われており、同社はステレオ録音を製品の内容だけでなく、公開実演による技術訴求として販売促進に用いていました。1959年10月の録音関連市場では、録音技術そのものを展示会で見せる販促が行われていました。

チェス社/チェッカー・レコード

チェス社(Chess Corp.)およびチェッカー・レコード(Checker Records)は、1959年10月31日号のキャッシュ・ボックス(The Cash Box)で、ボ・ディドリー(Bo Diddley, 1928–2008)の「Say Man」とLP『Go Bo Diddley』を通じた販売上の動きが確認できます。「Say Man」は会話調の構成を持つリズム・アンド・ブルース系シングルとしてポップ市場にも浸透し、同時にLP『Go Bo Diddley』の販促が進められていました。チェス社(Chess Corp.)の同月活動は、シングルのヒットをアルバム販売へ結びつけるロックンロール系レーベルの展開として確認できます。

シーコ・レコード

シーコ・レコード(Seeco Records)は、1959年10月17日号のキャッシュ・ボックス(The Cash Box)で、自社LPカタログ紹介番組「Command Performance」をダブリュー・ビー・エー・アイ・エフエム(WBAI-FM)で1959年10月4日に開始したことが確認できます。同番組はシーコ・レコード(Seeco Records)のLPカタログを紹介する内容で、ラテン音楽系を含む同社カタログをFM放送と結びつけて販促する試みでした。1959年10月の同社活動は、レコード会社が放送メディアを使ってLPカタログ全体を聴取者へ提示する事例として位置づけられます。