1960年3月に録音された音楽
1960年3月は、冷戦下の対立、反植民地化、人権運動、宇宙開発、ポピュラー文化が同時に動いた月です。3月4日、キューバ共和国のハバナ港でフランス船ラ・クーブル(La Coubre)が爆発し、75人のキューバ人港湾労働者と複数のフランス人乗組員が死亡しました。3月5日、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley, 1935–1977)がアメリカ合衆国陸軍(United States Army)を除隊し、芸能活動の再開へ向かいました。3月11日、アメリカ航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration)は太陽周回探査機パイオニア5号(Pioneer 5)を打ち上げ、惑星間空間の観測を進めました。大韓民国では3月15日の大統領選挙・副大統領選挙をめぐる不正が問題化し、李承晩(Syngman Rhee, 1875–1965)政権への抗議が拡大しました。3月17日、ドワイト・デーヴィッド・アイゼンハワー(Dwight David Eisenhower, 1890–1969)は、フィデル・カストロ(Fidel Castro, 1926–2016)政権に対する秘密工作計画を承認しました。3月21日、南アフリカ連邦(Union of South Africa)のシャープビルで、パス法に抗議する群衆に警察が発砲し、69人が死亡しました。
この月の確認されている録音:0曲
1960年3月の録音に関する情報のまとめ
1960年3月の録音関連資料では、ナッシュビル、ニューヨーク市、ハリウッド、エングルウッド・クリフス、シカゴなどの録音拠点で、ポップ、リズム・アンド・ブルース、ジャズ、ブルースの重要録音が確認できます。大手レーベルでは、アールシーエー・ビクター(RCA Victor)がエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley, 1935–1977)の除隊後最初の新録音を即時発売し、コロムビア・レコード(Columbia Records)はマイルス・デイヴィス(Miles Davis, 1926–1991)とギル・エヴァンス(Gil Evans, 1912–1988)の大編成録音を継続しました。独立系では、ブルーノート・レコード(Blue Note Records)、リバーサイド・レコード(Riverside Records)、プレスティッジ・レコード(Prestige Records)、モニュメント・レコード(Monument Records)で、後年の代表作につながる録音が集中しています。
アールシーエー・ビクター
アールシーエー・ビクター(RCA Victor)では、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley, 1935–1977)が1960年3月20日にナッシュビルのアールシーエー・スタジオB(RCA Studio B)で「Stuck on You」と「Fame and Fortune」を録音しました。この2曲は、アメリカ合衆国陸軍(United States Army)除隊後の最初の新録音シングルとして、1960年3月23日に発売されました。アールシーエー・ビクター(RCA Victor)は曲名未定の段階で大量のスリーヴを準備し、録音後短期間でプレスと出荷を行ったことが確認できます。
- https://www.elvisthemusic.com/music/stuck-on-you/
- https://www.elvisthemusic.com/track/stuck-on-you-5/
- https://www.elvisthemusic.com/track/fame-and-fortune/
コロムビア・レコード
コロムビア・レコード(Columbia Records)では、マイルス・デイヴィス(Miles Davis, 1926–1991)とギル・エヴァンス(Gil Evans, 1912–1988)による『Sketches of Spain』の録音が1960年3月まで継続しました。資料上、同作は1959年11月と1960年3月にニューヨーク市のコロムビア30丁目スタジオ(Columbia 30th Street Studio)で録音されたことが確認できます。1960年3月10日の録音は、同作の制作過程における最終期のセッションとして位置づけられます。
- https://www.milesdavis.com/albums/sketches-of-spain/
- https://www.discogs.com/release/4764232-Miles-Davis-Sketches-Of-Spain
キャピトル・レコード
キャピトル・レコード(Capitol Records)では、フランク・シナトラ(Frank Sinatra, 1915–1998)の『Nice ’n’ Easy』関連録音が1960年3月1日–3日にハリウッドのキャピトル・スタジオ(Capitol Studios)で行われました。同作はネルソン・リドル(Nelson Riddle, 1921–1985)の編曲・指揮によるバラード中心のアルバムで、1960年7月にキャピトル・レコード(Capitol Records)から発売されました。3月録音分は、同作の中心的なセッションとして確認できます。
- https://www.sinatra.com/frank-sinatras-nice-n-easy-celebrates-60th-anniversary/
- https://www.discogs.com/master/144077-Frank-Sinatra-Nice-N-Easy
デッカ・レコード
デッカ・レコード(Decca Records)では、ブレンダ・リー(Brenda Lee)が1960年3月27日–28日にナッシュビルのブラッドリー・フィルム・アンド・レコーディング・スタジオ(Bradley Film and Recording Studio)で録音を行いました。3月28日の録音には「I’m Sorry」が含まれ、制作はオーウェン・ブラッドリー(Owen Bradley, 1915–1998)が担当しました。同曲は1960年にデッカ・レコード(Decca Records)からシングルとして発売され、1999年にグラミー殿堂賞(GRAMMY Hall Of Fame)入りした録音として確認できます。
- https://countrydiscoghraphy2.blogspot.com/2016/08/brenda-lee.html
- https://www.grammy.com/news/the-making-of-brenda-lees-im-sorry
エービーシー・パラマウント・レコード
エービーシー・パラマウント・レコード(ABC-Paramount Records)では、レイ・チャールズ(Ray Charles, 1930–2004)の『The Genius Hits the Road』が1960年3月25日と3月29日にニューヨーク市で録音されました。同作はアメリカ合衆国各地を主題にした企画盤で、「Georgia on My Mind」を含むアルバムとして発売されました。アトランティック・レコード(Atlantic Records)から移籍した後のエービーシー・パラマウント・レコード(ABC-Paramount Records)期における重要な録音活動として確認できます。
- https://www.jazzmessengers.com/en/81314/ray-charles/thegeniushitstheroad
- https://www.discogs.com/release/6634664-Ray-Charles-The-Genius-Hits-The-Road
ブルーノート・レコード
ブルーノート・レコード(Blue Note Records)では、アート・ブレイキー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey & the Jazz Messengers)の『The Big Beat』が1960年3月6日にニュージャージー州エングルウッド・クリフスのヴァン・ゲルダー・スタジオ(Van Gelder Studio)で録音されました。同セッションには、リー・モーガン(Lee Morgan, 1938–1972)、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter, 1933–2023)、ボビー・ティモンズ(Bobby Timmons, 1935–1974)、ジミー・メリット(Jymie Merritt, 1926–2020)が参加しました。「Dat Dere」「Lester Left Town」などがこの録音に含まれ、1960年のハード・バップを代表するブルーノート・レコード(Blue Note Records)の活動として確認できます。
- https://www.jazzdisco.org/blue-note-records/discography-1959-1960/
- https://store.bluenote.com/products/art-blakey-the-jazz-messengers-the-big-beat-uhq-cd
- https://www.discogs.com/release/13027059-Art-Blakey-The-Jazz-Messengers-The-Big-Beat
リバーサイド・レコード
リバーサイド・レコード(Riverside Records)では、1960年3月に複数のジャズ録音が確認できます。サム・ジョーンズ(Sam Jones, 1924–1981)の『The Soul Society』は、1960年3月8日と3月10日にニューヨーク市のリーヴス・サウンド・スタジオ(Reeves Sound Studios)で録音されました。また、キャノンボール・アダレイ・クインテット(The Cannonball Adderley Quintet)の『Them Dirty Blues』関連録音の一部は、1960年3月29日にシカゴのテルマー・レコーディング・スタジオ(Ter-Mar Recording Studios)で行われ、「Work Song」「Jeannine」「Easy Living」「Them Dirty Blues」が同日の録音として確認できます。
- https://www.jazzdisco.org/sam-jones/discography/
- https://www.jazzdisco.org/riverside-records/discography-1960/
- https://www.discogs.com/release/403961-The-Cannonball-Adderley-Quintet-Them-Dirty-Blues
プレスティッジ・レコード
プレスティッジ・レコード(Prestige Records)では、1960年3月にヴァン・ゲルダー・スタジオ(Van Gelder Studio)で複数の系列レーベル録音が行われました。ブルースヴィル(Bluesville)ではルーズヴェルト・サイクス(Roosevelt Sykes, 1906–1983)の『The Return of Roosevelt Sykes』が3月1日–2日に録音され、ロニー・ジョンソン(Lonnie Johnson, 1899–1970)の録音も3月8日に確認できます。ニュー・ジャズ(New Jazz)ではジジ・グライス(Gigi Gryce, 1925–1983)の『Saying Somethin’!』が3月11日に録音され、スウィングヴィル(Swingville)ではレックス・スチュワート(Rex Stewart, 1907–1967)の『The Happy Jazz of Rex Stewart』が3月18日に録音されました。
- https://www.jazzdisco.org/prestige-records/discography-1960/
- https://www.jazzdisco.org/van-gelder-studio/catalog-1960/
- https://www.jazzdisco.org/prestige-records/catalog-bluesville-1000-series/
モニュメント・レコード
モニュメント・レコード(Monument Records)では、ロイ・オービソン(Roy Orbison, 1936–1988)が1960年3月25日にナッシュビルのアールシーエー・ビクター・スタジオB(RCA Victor Studio B)で「Only the Lonely (Know the Way I Feel)」を録音しました。同曲はロイ・オービソン(Roy Orbison, 1936–1988)とジョー・メルソン(Joe Melson, 1935–2022)の作品で、フレッド・フォスター(Fred Foster, 1931–2019)が制作を担当しました。1960年5月にモニュメント・レコード(Monument Records)から発売され、ロイ・オービソン(Roy Orbison, 1936–1988)の代表的な初期ヒットにつながる録音として確認できます。
- https://www.discogs.com/master/226135-Roy-Orbison-Only-The-Lonely-Know-How-I-Feel-Here-Comes-That-Song-Again
- https://www.britannica.com/topic/Only-the-Lonely-song-by-Orbison
- https://en.wikipedia.org/wiki/Only_the_Lonely
