Mary Had A Little Lamb / Thomas Alva Edison (1877)
1877年、トーマス・アルバ・エジソン(Thomas Alva Edison)は、音を録音し再生する画期的な装置「蓄音機(Phonograph)」を発明しました。この発明は、音響技術の歴史における革命的な出来事であり、現代の音楽業界や放送技術の基礎を築くことになりました。その最初の録音としてエジソンが朗読したのが、有名な英語の童謡「Mary Had a Little Lamb(メリーさんのひつじ)」でした。1877年12月6日のことです。
エジソンは、電信技術や電話の改良に取り組む中で、「音を記録し、それを後で再生できる装置」のアイデアを思いつきました。彼の蓄音機は、錫箔(スズホイル)を巻いた円筒の表面に、音の振動を針で刻み込む仕組みを採用しました。録音された音は、同じ針を使って再生することが可能で、これが世界初の録音・再生技術となりました。
エジソンは、蓄音機の実演のために「メリーさんのひつじ」の詩を朗読しました。この詩は19世紀初頭にアメリカで書かれた童謡で、多くの人々に親しまれていました。彼がこの詩を選んだ理由は明確ではありませんが、短くリズミカルで、発音がはっきりと聞こえやすかったためと考えられています。
エジソンが1877年に録音した音声自体は現存していませんが、この出来事は記録されており、彼の発明の重要性を象徴するものとして語り継がれています。1927年、蓄音機発明の50周年記念式典において、エジソン自身が「メリーさんのひつじ」を再度朗読し、その録音は現在もインターネットアーカイブなどで聞くことができます。
エジソンの蓄音機は、当初は「音声の記録」を目的として発明されましたが、その後、音楽の録音・再生技術として発展し、現代のレコードプレーヤーやCD、デジタル音楽技術へとつながっていきました。エジソンは蓄音機の改良を続けましたが、やがて円筒型の録音媒体は円盤型(レコード)へと進化し、音楽産業の発展を加速させました。
エジソンの「メリーさんのひつじ」の録音は、世界で初めての音声録音として歴史に刻まれています。この技術革新により、人類は音を記録し、未来に伝える手段を手に入れました。エジソンの発明は、現代の音楽や放送、さらにはデジタルオーディオ技術の発展に多大な影響を与えました。
