1918年10月に録音された音楽
1918年10月は、第一次世界大戦の終結が一気に現実味を帯びた月でした。西部戦線ではムーズ=アルゴンヌの戦い(Battles of the Meuse-Argonne)が続き、連合国軍はドイツ帝国(German Empire)軍を圧迫しました。ドイツ帝国(German Empire)では10月3日に新内閣が成立し、月末には議会の信任を基礎とする体制への転換が進みました。10月24日にはヴィットリオ・ヴェネトの戦い(Battle of Vittorio Veneto)が始まり、オーストリア=ハンガリー帝国(Austria-Hungary)の崩壊を早めました。10月28日にはチェコスロヴァキア共和国(Czechoslovak Republic)が独立を宣言し、10月29日のキール反乱(Kiel Mutiny)はドイツ帝国(German Empire)内部の動揺を決定的にしました。10月30日にはムドロス休戦協定(Armistice of Mudros)が結ばれ、オスマン帝国(Ottoman Empire)の参戦も終局へ向かいました。その一方でインフルエンザ・パンデミックは世界的に深刻化し、アメリカ合衆国では10月だけで推計19万5,000人が死亡しました。
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1918年10月の録音に関する情報のまとめ
1918年10月の録音業界では、戦時下とインフルエンザ流行下でも家庭娯楽としての蓄音機とレコードの販促が続きました。『トーキング・マシン・ワールド』(The Talking Machine World)1918年10月15日号では、新歳入法案に含まれた10パーセントの床税案が業界の大きな懸念として扱われる一方、各社の広告では年末需要を見据えた機械とレコードの販売強化が進んでいました。
Victor
ヴィクター・トーキング・マシン社(Victor Talking Machine Co.)は、10月初頭の広告で「Victor Records and Victor Machines are scientifically coordinated and synchronized」と述べ、機械とレコードの組み合わせ自体を品質保証の中心に置いていました。10月19日の広告では「The Victrola is the answer to closed theaters」として、劇場閉鎖下の家庭娯楽需要に正面から応えていました。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=DT19181001.1.2
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=SBNT19181019.1.5
Edison
トーマス・A・エジソン社(Thomas A. Edison, Inc.)は、10月9日の広告で「Re-Creation Edison」を前面に掲げ、新機種を175ドル、229ドル、280ドルの価格帯で提示しました。10月27日の広告では「Know The Edison」としてエジソン・ダイヤモンド・ディスク蓄音機の理解促進を図っており、当月の販促は音質優位と製品理解の浸透に重点が置かれていました。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=LCT19181009.1.10
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=DT19181027.1.6
Columbia
コロムビア・グラフォフォン社(Columbia Graphophone Co.)は、10月6日の広告で20ドルのコロムビア・グラフォノーラを掲げ、「This Columbia Grafonola plays any standard disc record」と互換性を訴えました。10月11日には販売店が新しいコロムビア・グラフォノーラ売場と実演室を案内し、10月23日の広告では自動車に比肩する家庭耐久消費財としてグラフォノーラを売り出していました。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=DT19181006.1.9
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19181011-01.1.32
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=DT19181023.1.3
ブルンスウィック
ブルンスウィック=バルク=コーレンダー社(Brunswick-Balke-Collender Co.)は、1918年10月に「ULTONA」機構を最大の特徴として訴求していました。10月11日の広告では「Remember THE ULTONA is an exclusive Brunswick feature」と明記され、ブルンスウィック蓄音機とパテー盤を組み合わせた販売が行われていました。月末の広告でも「all-record reproducer」としての性格が強調されており、他社盤再生の利便性が販売の中核でした。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=INN19181011-01.1.15
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=DCDD19181026.1.2
Aeolian Vocalion
エオリアン=ヴォカリオン社(Aeolian-Vocalion)は、10月20日の広告で「The Aeolian Vocalion. Plays all records」と明示し、あらゆるレコードを再生できる点を大きく打ち出しました。機械の互換性と満足保証を前面に出した販促は、同月の市場で重要な競争軸になっていました。
Sonora
ソノラ・フォノグラフ社(Sonora Phonograph Co.)は、10月21日の広告で「It Is the SONORA」と掲げ、購入前に試聴することを勧めていました。家族や来客に長く楽しみを与える家庭用機械として訴求しており、在宅需要を意識した販売姿勢が明確です。
star
スター・ピアノ社(Starr Piano Co.)は、10月14日の広告でスター・フォノグラフを「family gift」と位置づけ、家庭向け贈答品として売り出しました。10月24日の広告では8種類の機種を80ドルから340ドルまでの価格帯で並べ、年末需要を見据えた品揃えの広さを示していました。
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=RPD19181014.1.6
- https://newspapers.library.in.gov/?a=d&d=RPD19181024.1.9
putty
パテ・フレール・フォノグラフ社(Pathé Frères Phonograph Co.)の製品は、10月11日の広告で「Pathe records are guaranteed to play one thousand times without showing perceptible wear」と保証訴求されていました。耐久性を明確な販売文句として押し出していたことが、1918年10月の販促から確認できます。
