Music recorded in July 1896

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Music recorded in July 1896

1896年7月は、政治と社会が大きく揺れた月でした。アメリカ合衆国ではアメリカ合衆国民主党全国大会(Democratic National Convention)で、ウィリアム・ジェニングス・ブライアン(William Jennings Bryan, 1860–1925)が1896年7月9日にいわゆる「金の十字架」演説を行い、通貨制度をめぐる対立が大衆政治の中心に躍り出ます。カナダ自治領(Dominion of Canada)ではウィルフリッド・ローリエ(Wilfrid Laurier, 1841–1919)が1896年7月11日に首相に就任し、国内の言語・地域バランスをめぐる政治運営が新局面に入ります。社会運動では、ワシントンD.C.で全米有色婦人クラブ協会(National Association of Colored Women’s Clubs)が1896年7月に結成され、黒人女性の連帯が全国組織として可視化されました。ヨーロッパではロンドンで国際社会主義労働者・労働組合会議(International Socialist Workers and Trade Union Congress)が1896年7月26日–8月1日に開催され、労働運動と社会主義諸潮流の緊張関係が表面化します。科学技術では、グリエルモ・マルコーニ(Guglielmo Marconi, 1874–1937)が英国郵政総局(General Post Office)で1896年7月27日に無線電信の実演を行い、通信の「無線化」が公的領域へ入り込みました。日本では1896年7月20日–22日に信濃川流域で大洪水が起きたことが、後年の気象・治水研究でも言及される出来事として残っています。

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1896年7月の録音に関する情報のまとめ

1896年7月の録音に関する史料は、会社別の台帳やカタログ、後年に編集されたディスコグラフィによって把握できる部分と、月単位まで日付を確定しにくい部分が混在しています。とくにコロンビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company)は1896年8月に恒久的な番号体系へ移行したことが確認でき、1896年7月はその移行直前期にあたります。ただし、個々の録音が「1896年7月」とまで確定できるかどうかは資料ごとに差があり、月が未確認のまま残る例もあります。

1896年選挙シーズンと「キャンペーン録音」カタログ(印刷日付は資料上未確認)

コロンビア・フォノグラフ社(Columbia Phonograph Company)のカタログ群には「1896B – Campaign Records: Bryan vs. McKinley」と整理された一群があり、1896年のアメリカ合衆国大統領選挙に向けた需要(演説・争点・支持歌など)と録音商品の結びつきを示唆します。カタログ自体の印刷日付は資料上未確認ですが、少なくとも1896年7月9日の「金の十字架」演説以降、政治熱が高まる中で同種の録音商品が注目を集め得た点は、当時の政治と録音産業の接点として重要です。

グラモフォン陣営のスタジオ整備(1896年)と円盤録音の競争環境

1896年には、エミール・ベルリナー(Emile Berliner, 1851–1929)のグラモフォン事業をめぐり、ニューヨークやフィラデルフィアに恒久スタジオが開設されたことが記述されています。月を1896年7月に限定して断定はできませんが、円盤(ディスク)側の量産性・流通の利点を背景に、蝋管(シリンダー)中心の市場へ競争圧力が強まっていく環境が、この時期に形成されていました。