1905年6月に録音された音楽

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1905年6月に録音された音楽

1905年6月は、国家体制と社会運動が同時に揺れた月でした。ノルウェー王国ではノルウェー議会がスウェーデンとの連合解消を宣言し、独立に向けた政治過程が進みました。ロシア帝国では黒海艦隊の戦艦ポチョムキンで反乱が起き、1905年革命の象徴的事件として各地の動揺を増幅させました。労働運動では、アメリカ合衆国で産業別組織化を掲げるインダストリアル・ワーカーズ・オブ・ザ・ワールド(Industrial Workers of the World)の結成大会が始まりました。経済・国際協調の面では、ローマで国際農業研究所(International Institute of Agriculture)設立のための条約が署名され、統計や農業情報の国際共有が制度化へ向かいます。科学では、アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein, 1879–1955)の特別相対性理論の中核論文が1905年6月30日付で示され、時間と空間の理解を更新する道筋が明確になりました。

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1905年6月の録音に関する情報のまとめ

1905年6月の録音関連では、ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)が業界向けに発行したエジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)で、エジソン・ゴールド・モールド・レコード(Edison Gold Moulded Records)の新譜運用、価格、流通上の取り扱い、ならびにコイン・スロット型機の販売方針などが具体的に示されています。同時期のエジソン系ビジネスは、家庭向けのレコード販売だけでなく、業務用途・設置用途(コイン投入式)を含む複線の市場を意識していたことが確認できます。

エジソン・ゴールド・モールド・レコードの運用(新譜リストと価格表示)

エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)では、月次で「新譜(Advance List)」を提示し、ジョバー(卸)とリテール(小売)が先行発注できる運用が採られていました。価格面では、アメリカ合衆国における標準サイズのエジソン・ゴールド・モールド・レコード(Edison Gold Moulded Records)が1枚35セント、コンサート(大音量)規格が1枚75セントといった販売条件が明示されています。こうした固定価格の提示は、録音物そのものを「規格化された商品」として流通させる姿勢を示します。

サンプル盤(試聴用レコード)の統制と流通上のルール

同誌では、ジョバー向けに送付されるサンプル盤(試聴用レコード)を「販売してはならない」旨が明確に注意されています。サンプル盤は本来、発注前に内容を試聴し、販売見込みを判断するためのものであり、流通段階での横流しや先行販売は契約上の問題として扱われました。録音物の需要予測と販売促進を両立させるため、サンプル盤の位置づけが制度的に管理されていた点が重要です。

コイン・スロット型フォノグラフの販売方針(設置運用と直轄化)

エジソン・フォノグラフ・マンスリー(Edison Phonograph Monthly)には、コイン・スロット型フォノグラフの取り扱い方針が掲載され、設置・保守に手間がかかるため、平均的なディーラー運用には不向きであるという認識が示されています。そのうえで、一定の機種(例:ウィンザー型、マジェスティック型)については、会社側がより直接的に設置運用を担う方針(専管に近い体制)をとることが述べられています。録音物の販売だけでなく、再生装置を「稼働させて回収する」ビジネスの比重が、同時期に明確に意識されていたことが読み取れます。