Music recorded in October 1908

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Music recorded in October 1908

1908年10月は、政治秩序の再編と大衆社会の拡大が同時に進んだ月でした。10月1日にはフォード・モーター・カンパニー(Ford Motor Company)のT型フォード(Model T)が一般向けに発売され、自動車の大量生産と普及を象徴する転機となります。5日にはフェルディナント1世(Ferdinand I, 1861–1948)がブルガリアのオスマン帝国からの完全独立を宣言し、上旬にはオーストリア=ハンガリー帝国(Austria-Hungary)によるボスニア・ヘルツェゴヴィナ併合がボスニア危機を引き起こしました。ロンドンではエメリン・パンクハースト(Emmeline Pankhurst, 1858–1948)らの運動を背景に、女性社会政治同盟(Women’s Social and Political Union)や女性自由連盟(Women’s Freedom League)による女性参政権要求が議会周辺で可視化します。スポーツ面では10月14日にシカゴ・カブス(Chicago Cubs)がワールドシリーズ連覇を達成し、28日から29日にはロンドン五輪でフィギュアスケート競技が行われ、近代オリンピック初の冬季競技となりました。31日の大会閉幕まで、国際緊張、技術革新、社会運動、大衆娯楽が一つの月に濃密に重なっていました。

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1908年10月の録音に関する情報のまとめ

1908年10月の録音界では、ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)が4分用のエジソン・アンベロール・レコード(Edison Amberol Record)を前面に押し出し、既存機向けアタッチメント、新型機、全国広告を組み合わせた大きな市場転換を進めました。従来の2分レコードはなお併売されていましたが、販売現場では長時間再生が最大の訴求点となり、同時に大統領候補の演説レコードやハリー・ローダー(Harry Lauder, 1870–1950)の新譜のような時事性の高い企画も10月商戦を支えました。

アンベロールの初回展開

1908年10月1日、ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)は、4分用のエジソン・アンベロール・レコード(Edison Amberol Record)の初回リストに基づく販売を進めました。告知では50点の新譜に加え、従来機を2分用と4分用の両方に対応させるアタッチメント、さらに対応新型機が一体の計画として示され、10月は円筒レコード市場の更新が具体化した月となりました。

アンベロール広告の拡大

1908年10月半ばから、同社はアンベロールの全国広告を大きく拡張しました。『サタデー・イブニング・ポスト』(The Saturday Evening Post)1908年10月24日号には、新条件を訴える中央見開き2頁広告を出す計画が示され、さらに『コリアーズ・ウィークリー』(Collier’s Weekly)など主要雑誌への連続出稿も告知されています。10月の録音文化は、新製品そのものだけでなく、それを全国同時に売り込む印刷メディア戦略と強く結びついていました。

タフトとブライアンの演説レコード

1908年10月の店頭では、ウィリアム・ハワード・タフト(William Howard Taft, 1857–1930)とウィリアム・ジェニングス・ブライアン(William Jennings Bryan, 1860–1925)の演説レコードが強い時事性を持って扱われました。販促文面では、両候補のエジソン録音を合計22点として宣伝し、店頭実演や選挙直後の再訴求まで具体的に指示しています。10月の録音販売は、娯楽商品であると同時に、選挙報道と結びついた時事メディアでもありました。

ハリー・ローダー新譜と10月興行

ハリー・ローダー(Harry Lauder, 1870–1950)のレコードも10月商戦の重要な柱でした。1908年10月号では、彼のアメリカ再来と10月12日のニューヨーク公演開始に合わせ、10月10日ごろ出荷予定の追加3点が告知されています。9月の新譜に続く追加投入であり、舞台興行とレコード販売を同期させる初期ポピュラー音楽ビジネスの手法がよく表れています。