Music recorded in December 1909
1909年12月の世界は、学術、政治、社会、都市インフラが同時に動いた月でした。10日にはストックホルムとオスロで1909年のノーベル賞授賞式が行われ、セルマ・ラーゲルレーヴ(Selma Ottilia Lovisa Lagerlöf, 1858–1940)の文学賞や、無線電信の発展を対象とした物理学賞などが国際的な注目を集めました。17日にはベルギー王レオポルド2世(Leopold II, 1835–1909)が死去し、ベルギー王アルベール1世(Albert I, 1875–1934)の時代に移りました。ニューヨークでは「二万人の蜂起」と呼ばれる婦人既製服労働者の大規模ストライキが12月も続き、移民女性労働者の待遇問題が可視化されました。25日にはコスタリカのサンホセで第四回国際衛生会議(Fourth International Sanitary Convention)が始まり、31日にはマンハッタン橋(Manhattan Bridge)が正式開通し、公衆衛生と近代都市交通の整備が並行して進んでいたことを示しました。
Confirmed recordings this month: 0
1909年12月の録音に関する情報のまとめ
1909年12月の録音関連では、ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)の年末商戦が非常に強く、工場は残業運転となっていました。その一方で、メキシコ向けの現地録音盤はすでに大きな規模に達しており、ジョン・フィリップ・スーザ(John Philip Sousa, 1854–1932)の楽団とハーバート・L・クラーク(Herbert L. Clarke, 1867–1945)を前面に出した12月盤も販促材料になっていました。さらに12月上旬の営業部通達では、翌1910年分の先行発売盤や特別盤の供給日程が具体的に固められており、1909年12月は年末需要の処理と翌年計画の確定が重なった月だったといえます。
工場の繁忙と年末商戦
1909年12月の時点で、ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(National Phonograph Company)は工場業務が「rush order」の状態にあり、多くの部門で残業が必要だったと報告しています。本文は、この需要増を単なる祝祭期需要だけでなく、全般的な産業活動の回復が音楽商材に反映し始めた結果として説明しており、1909年12月の録音市場が拡大局面に入っていたことを示しています。
- https://archive.org/details/edisonphonograph07moor
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1909-Vol-7.pdf
メキシコ向け録音の拡充
メキシカン・ナショナル・フォノグラフ・カンパニー(Mexican National Phonograph Co.)は、メキシコシティでの需要に対応するため、録音技師を過去3年間現地に派遣し、1909年末までにメキシコ人演者による標準盤444点とアンベロール盤41点をすでに発売していました。しかも本文では、標準盤とアンベロール盤の双方で、さらに数百点を月次発行する予定だと述べており、1909年12月の段階でエジソン系録音事業がスペイン語圏市場へ大きく展開していたことが確認できます。
- https://archive.org/details/edisonphonograph07moor
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1909-Vol-7.pdf
スーザ楽団とハーバート・L・クラークの12月盤
ジョン・フィリップ・スーザ(John Philip Sousa, 1854–1932)率いる楽団は、1909年12月12日にニューヨーク・ヒッポドロームでその年の大規模巡業を締めくくる予定とされていました。その最重要ソリストであったハーバート・L・クラーク(Herbert L. Clarke, 1867–1945)は、愛奏曲「The Bride of the Waves」をアンベロール310番として12月リストに出しており、『エジソン・フォノグラフ・マンスリー』はこれをクラーク最初のソロ盤として扱っています。1909年12月の録音販売では、著名演奏家を前面に出したカタログ構成が明確に進んでいました。
- https://archive.org/details/edisonphonograph07moor
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1909-Vol-7.pdf
- https://cylinders.library.ucsb.edu/detail.php?query=990033363910203776&query_type=mms_id
1910年初頭の供給計画が12月中に確定
1909年12月7日付の営業部通達は、1910年分の先行発売盤について、1月分を1909年12月24日午前8時に出荷し、1909年12月25日午前8時に販売開始とする年間スケジュールを示しました。さらに12月13日付通達では、ポーク・ミラー(Polk Miller, 1844–1913)とその「Old South Quartette」による7点、およびメイソン賛歌4点を、1910年1月3日頃の特別リストとして一斉出荷する方針が告知されています。1909年12月は、年末需要への対応だけでなく、翌年の録音供給体制を具体化した管理月でもありました。
- https://archive.org/details/edisonphonograph08moor
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1910-Vol-8.pdf
