Music recorded in July 1910
1910年7月は、スポーツの大衆化、米州外交の再編、東アジアの勢力圏整理、航空記録の更新が同時進行した月でした。7月4日、米国ネバダ州リノではジャック・ジョンソン(Jack Johnson, 1878–1946)がジェームズ・J・ジェフリーズ(James J. Jeffries, 1875–1953)を破り、その結果をめぐって各地で騒乱が生じました。7月12日にはアルゼンチン共和国ブエノスアイレスで第四回アメリカ諸国国際会議(Fourth International Conference of American States)が開幕し、米州協調の制度整備が進みました。同じ月、日本とロシア帝国のあいだでは満洲に関する日露協定(Agreement between Japan and Russia relative to Manchuria)が成立し、南満洲と東部内蒙古をめぐる両国の利害調整が明文化されました。航空分野では7月9日に米国ニュージャージー州アトランティック・シティで飛行高度の新記録が達成され、飛行機が見世物から技術競争の対象へ移る時代を象徴しました。さらに1910年のツール・ド・フランス(Tour de France)は7月に初めてピレネー山脈を本格的にコースへ組み込み、自転車競技の難度と話題性を大きく押し上げました。
Confirmed recordings this month: 0
1910年7月の録音に関する情報のまとめ
1910年7月に一次資料で確認できる録音業界の動きは、新録音技術の発表よりも、既存蓄音機所有者を動員する販促策、宗教向け特別録音の投入、夏季の実演販売強化に集中しています。『Edison Phonograph Monthly』1910年7月号では、エジソン蓄音機(Edison Phonograph)の所有者に新規購入者の紹介を促す制度が公表され、同時にカトリック教会とキリスト教科学教会向けの特別神聖曲一覧も案内されました。また、独立記念日向けの店頭演出、山岳・湖畔・海浜の保養地にあるホテルや別荘での実演、人気流行曲を即時販売する「スペシャル」施策の継続も強調されており、1910年7月の録音産業が「何を録るか」だけでなく「どこで、誰に、どう売るか」に強く軸足を置いていたことがわかります。
プロモーション・プラン
1910年7月号では、エジソン蓄音機(Edison Phonograph)の正規所有者が新しい購入者を販売店へ紹介し、実際に新品の機械が成約した場合、特別に用意された24種のアンベロール・レコード(Amberol Records)から6枚を報奨として受け取れる制度が公表されました。これは既存所有者を販路拡大の担い手に変える仕組みであり、夏の販売促進策としてこの月の重要な動きでした。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1910-Vol-8.pdf
- https://ia601308.us.archive.org/2/items/edisonphonograph08moor/edisonphonograph08moor.pdf
特別神聖曲リスト
1910年7月号では、カトリック教会とキリスト教科学教会向けの特別神聖曲一覧が案内され、1910年7月11日ごろからジョバー向け出荷を始め、到着後ただちに販売できると説明されました。宗教共同体ごとに需要を見込んだ録音商品が、この月に明確な販売対象として整理されたことが確認できます。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1910-Vol-8.pdf
- https://ia601308.us.archive.org/2/items/edisonphonograph08moor/edisonphonograph08moor.pdf
スペシャル・レコード施策
1910年7月号では、流行歌は人気が衰える前にすぐ売らなければならないとして、「スペシャル」レコード施策の継続が強調されました。前月にも追加投入があり、継続発注している販売店が利益を得ていると記されているため、通常の月次補充とは別に、流行へ即応する販売枠がこの時期の重要施策だったことがわかります。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1910-Vol-8.pdf
- https://ia601308.us.archive.org/2/items/edisonphonograph08moor/edisonphonograph08moor.pdf
夏の保養地と店頭コンサート
1910年7月号では、独立記念日向けのウィンドー装飾に加え、山岳・湖畔・海浜の保養地にあるホテルや別荘へエジソン蓄音機(Edison Phonograph)と新しいアンベロール・レコード(Amberol Records)を持ち込み、実演によって需要を開拓する方針が詳しく勧められました。さらに、店の扉を開けて夕方に連続演奏会を行うことも推奨されており、1910年7月の録音販売が夏の行楽と密接に結びついていたことがわかります。
- https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Audio/Edison-Phonograph/Edison-Phonograph-Monthly-1910-Vol-8.pdf
- https://ia601308.us.archive.org/2/items/edisonphonograph08moor/edisonphonograph08moor.pdf
