Music recorded in June 1912

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Music recorded in June 1912

1912年6月は、政治介入、火山災害、映画産業の再編、労働立法、都市災害が同時進行した月でした。6月5日には、キューバ政府の治安維持不全を理由に、アメリカ合衆国政府がグアンタナモでアメリカ合衆国海兵隊を上陸させ、島内情勢は緊張を深めました。6月6日からはアラスカ半島のノヴァラプタ(Novarupta)が約60時間にわたり大噴火し、20世紀最大級の火山災害として広域に降灰をもたらしました。映画界では、カール・レムリ(Carl Laemmle, 1867–1939)が主導したユニバーサル・スタジオ(Universal Studios)の母体形成が1912年に進み、独立系映画会社の統合が加速しました。社会政策では、マサチューセッツ州で女性と未成年者を対象とする最低賃金法が6月に成立し、アメリカ合衆国の州法として先駆的な転機になりました。さらに6月30日にはカナダのレジャイナを竜巻が直撃し、多数の死傷者と大きな市街地被害を出しました。

Confirmed recordings this month: 0

1912年6月の録音に関する情報のまとめ

1912年6月の録音関係では、トマス・アルバ・エジソン(Thomas Alva Edison, 1847–1931)陣営が、円筒レコード事業を単なる新譜発売だけでなく、展示利用、高級再生機、次月以降の販売計画を結びつけて展開していたことが確認できます。6月号の『エジソン・フォノグラフ・マンスリー(The Edison Phonograph Monthly)』には、ベルギー植民地博物館でのコンゴ録音再生への採用例、8月発売予定新譜の詳細、そして「エジソン・オペラ(Edison Opera)」機による再生音への強い評価が並び、1912年半ばのエジソンが録音内容と再生装置の両面を同時に売り込んでいたことを示しています。

ベルギー植民地博物館でのコンゴ録音再生

1912年6月号では、ベルギー政府がテルヴューレン近郊の植民地博物館で、コンゴで作成された現地語・歌・楽器の記録を一般公開用に再生する機械として「エジソン・アンベローラ(Edison Amberola)」を採用したと紹介されています。録音物が家庭娯楽だけでなく、博物館展示の再生媒体として用いられていたことを示す、月内に確認できる具体例です。

8月発売予定の新譜告知

同じ6月号には、1912年8月向け新譜一覧が掲載され、注文締切を6月10日、一般販売解禁を7月25日とする流通日程が明記されています。内容は、ジャック・オッフェンバック(Jacques Offenbach, 1819–1880)の《ホフマン物語》の「舟歌」のようなコンサート系から、アントニン・ドヴォルザーク(Antonín Dvořák, 1841–1904)の《アメリカン・カルテット》緩徐楽章、アメリカ合衆国陸軍ラッパ合図集第一部、カル・スチュワート(Cal Stewart, 1856–1919)の語り物、アルゼンチン・タンゴまで幅広く、1912年半ばのエジソン新譜編成が、オペラ・室内楽・教育的音源・流行曲を横断していたことがわかります。

エジソン・オペラ機による再生音の高評価

6月号には、「エジソン・オペラ(Edison Opera)」で最新のコンサート・レコードを再生した読者の書簡も載り、金管の音色やヴァイオリンの響板の共鳴まで再現できると高く評価されています。販促色のある資料ではありますが、高級再生機とコンサート録音を組み合わせて市場を広げようとする、1912年6月時点の販売戦略を直接示す一次資料です。